かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 53

2022-04-15 12:17:39 | 短歌の鑑賞
  渡辺松男研究2の8(2018年1月実施)『泡宇宙の蛙』(1999年)
    【百年】P40~
     参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉真帆    司会と記録:鹿取未放
     
53 圧しゆがめられたるさまに椎の木の瘤はあるなり一つ目の瘤

         (後日意見)
 椎の木はどこの野山にも見られ、実は炒めて食べることができるそうだ。瘤のある椎の木もよく見かけるが、この歌の瘤は「圧しゆがめられたる」だから綺麗な円形ではなくぐにゃりと歪んでいるのであろう。瘤が何個もある個体もあるが、この木には歪んだ瘤が一つだけ付いていて、それを「一つ目の」と言っている。この結句「一つ目の」があることで、写実のような歌が一転ルドンの絵のようなシュールなものになる。(鹿取)

 

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