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リビア停戦に向けて格闘中&理由なき先制攻撃

2020-01-15 01:50:58 | 欧州情勢複雑怪奇

NATOは、2011年に、国連安保理の決議に違反してガーダフィーを凌辱して、ぶち殺し世界を震撼させつつ、リビアを国ごとぶっ潰して内戦状態にさせた。人の命と生活に比べりゃ安いものだろうが、その際ガーダフィーが持っていた大量の金(ゴールド)、現金は今もどうなっているのかよくわからない。

要するに、西側諸国はお得意の殺人、凌辱、破壊と強盗を働いた。ほんと、かっぱらい集団。

で、そのリビアが内戦から9年経ってようやく、停戦を模索している。ロシア(とトルコ)がある種のギャランター的に振る舞うことで停戦の恰好を作っていったような感じ。

ロシアとトルコはリビアの紛争解決に向けて対応を調整し、紛争の当事者に対し日付が1月12日(日)に変わる時点から一切の攻撃を停止し、即座に和平協議を開始するよう要求した。

https://jp.sputniknews.com/politics/202001147010924/

 

で、そのリビアで対立する2つの勢力、国民合意政府(統一政府)のファイズ・サラージ首相と「リビア国民軍」代表のハリファ・ハフタル陸軍元帥については去年書いたこのへん。なかなか興味深いんですよ、これが。

リビア:リビア国民軍進軍中

 

で、その2人が、モスクワに行って話し合ったが、ハフタルの方が停戦の文書に署名せずにモスクワを去ったところ。

とはいえ、停戦に対する意思の確認が完全に壊れたという話ではないものとみられている。

次は19日にベルリンで話し合いを持つようだ。この間書いた通り、ドイツとロシアはこの件ではしっかり連絡が取れている関係。そしてトルコも利害は逆だが、関係線が構築されている。

メルケル&プーチン会談@モスクワ

武力を持ってわーわーやっているところを鎮めるには、理解力の高い外交官と共に秩序のある国軍組織が必要だという例のような話になってきましたね。(トルコには問題はあるが)

 

■ アメリカによるテロ行為の余波

まぁ、もう、俺が恐怖だと感じたら誰だって、いつだって殺せるんだとかいう馬鹿なことを言い散らかしているポンペオとトランプを中心に何かが動く予感はないですね。

そもそも、何を言い出すのか知れたものではないだけでも困った人たちが、いきなり他国で殺人を犯しても平気の平左という恐ろしい事態を招いた。

こんな人たちに信用なんかあるわけないでしょう。明日何を言い出すかわかんないし、気にいらなきゃ暗殺しちゃう奴らと誰が話せるんだい、って話。しかも後に来るのは嘘、嘘、嘘だらけのtwitter情報ときてる。

 

このへんは、主流メディアだけ見てるとわからなくなるけど、各国の外交筋はかんかんだと思う。あと、ちゃんとした軍人もね。相手の正規の軍人を暗殺しちゃうって、ちゃんとした軍人のやることではない。今日のアメリカは既にちゃんとした軍を持っていない存在。存在ごとテロリストになりおおせたと言うべき。

 

■ 理由なき先制攻撃のベツレヘム理論

このへんは、そういえばイギリスの元外交官のCraig Murrayが、急迫不正の危機があれば何やってもOKみたいなことを外交界隈に導入した男の話を書いていた。ブッシュ政権、ブレア政権の時代のDavid Bethlehemという弁護士が、これでいいんだと言い出したところが問題だったと言っていた。

Lies, the Bethlehem Doctrine, and the Illegal Murder of Soleimani

https://www.unz.com/article/lies-the-bethlehem-doctrine-and-the-illegal-murder-of-soleimani/

 

なんとなくそういえば昔読んだような気もちょっとするけど、あらためてちゃんとまとまった記事になっていたので参考になる。

急迫の危機がある場合の正当防衛というのは一般に認められる。しかし、それは危険が切迫していると後で考えてもそれは合理的だったとある程度言えるようなものにしか適用されない、というのは世界中のどこでも受け要られれるある種の文明社会の掟のようなもの。

それを、いつ、どこで、どんな危険があるのかもしれないものを「急迫」と呼ぶのか、あるいは、どこからどう出てきたか知らない情報によってそれでも先制攻撃していいのか。具体的に考えるととてもOKできない場合が含まれる。プロットを組み立てた側が流す偽の情報を「急迫」と呼ぶのか、といった場合など。

しかし、この、極めて不正確で大ざっぱで例外規定で絞り込むようなこともされていない、法的安定性の担保も糞もない「急迫なら先制攻撃OK理論」を是認しているのが、このBethlehemという弁護士なんだそうだ。ブレア時代、この「理論」はイギリスの外務省がアドバイスを求めているあらゆる法学者に拒否されて、そこでこの特定の弁護士が登場した模様。

(このあたり、安倍の閣議決定による憲法破壊をほとんどすべての憲法学者および多数の学者が否定したら、3人ぐらいのインチキくさい奴らが出てきてお墨付きを与えた恰好になってそのまま推移していることと真そっくり。いやほんと、実にまったく同じ構図だ!!)

 

そして、この理論は恐ろしいことに、イギリス、アメリカ、イスラエルにおいて、「急迫」の場合にドローン攻撃してもいいという話の枠組みの土壌になっているんだそうだ。

例えば、現実にあった問題として、シリアでドローン攻撃をしたが、英の政府(情報機関)は何に基づいて攻撃したのかの情報を開示しない。つまり、理由の部分がブラックボックス化したままでOKになっちゃってる。

Syria drone strikes: UK attorney general refuses to disclose advice 

https://www.theguardian.com/politics/2015/sep/15/syria-drone-strikes-uk-attorney-general-refuses-to-disclose-advice

 

これを盛大に認めてしまったら、各国政府は気にいらない人を勝手な憶測、勝手な判断で暗殺しまくっても、国内(この3国だが)では罪に問われないとなりかねない状況が現在なわけです。

 

しかも、ガセ情報が流されまくりで、スレイマーニはアメリカ人を何百人も殺したのだ、とかいうのをポンペオが言うだけでなく、エリザベス・ウォーレンあたりもさかんに言ってたりする。

冷静に見て、シーア派よりスンニ派の方がよほど多くアメリカ人を殺してるだろうに、シーア派の大将だけを狙ってアメリカ人の敵みたいに言うのはまったく間違ってるとマーリーも言うが、私も言いたい。ほんとに嘘つき。

さらには、スレイマーニは911の影にもいたと言わんばかりのことを言っていたのがポンペオ。サウジの名前でも上げてみろよって話でしょう。

 

 

ということで、この3国の異常な傾向に最低でも疑義を突きつけるためにも、イランのこの判断は各国外交コミュニティー、国際法コミュニティーから望まれているんじゃまいか。

イランの判事が、トランプをスレイマーニ暗殺について国際司法裁判所に訴え出ることを考えているらしい。

Tehran Plans to Take Trump to International Court for Soleimani’s Assassination – Iran’s Top Judge

https://sputniknews.com/middleeast/202001131078026671-tehran-plans-to-take-trump-to-international-court-for-soleimanis-assassination--irans-top-judge/

 

そういえば、去年あたりアフガニスタンに関してアメリカを国際司法裁判所に提訴して裁こうという話がでていて、アメリカがその判事の人たちをアメリカに入国させないとかなんとか脅しているという記事があった。実際問題入国できても突如不法に拘束されそうなのがアメリカ。

 


 


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ローレライ)
2020-01-15 11:02:00
西側の作った失敗国家をリストラするスキルはチェチェンを再建したロシア頼みの西側無責任連合!
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Unknown (ローレライ)
2020-01-15 04:16:16
失敗国家を再建するロシアのスキルにNATO側もタジタジなリビアの顛末!
返信する

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