韓国向けの半導体輸出に規制をかけたそうで、なにやら騒ぎが起きている。
徴用工の問題がどうしたなどというのは、民間機撃墜しておきながらロシアが悪いといって制裁をかけたのと同じ話。理由なんてどうでもいい世界。
ではなぜこうなるのか。
私のブログの考えとしては、一貫して同じこと言ってますが、ユーラシア統合 vs 西側優位世界の堅持の対立だと思う。
つまり、韓国はかなり大陸側によってきている。政治的イッシューだけでなく経済も、ユーラシアが一致していってそこに市場があるのなら、韓国にとっては現時点で優位性を持った業種がいくつかあるわけだからそこに入っていった方がお得。少なくとも無視するいわれはない。
ということで、ロシア主導のユーラシア経済連合(EAEU)とFTA交渉をしてみたりしている。
Russia, South Korea to formally start free trade zone talks, says Lavrov
https://tass.com/economy/1064214
これは大変な交渉だと思うからそう簡単に行くとは両方とも思ってないだろうけど、話し合いのテーブルがあることは事実。
こういうことが、西側優位世界にとってはまかりならん、だし、韓国は西側世界にいることの優位性でおいしい思いをさせてやった、というのが西側の統一見解でしょう。だから、俺も俺の敵も同じように扱うなら落とし前つけてやる、みたいな発想でウチの態度の悪い政権が今制裁をかけて、うししし、と言っているみたいなところ。
で、今朝の日経のこういう記事が来るんだと思うんだな。
日米G2による国際秩序を
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO46922250T00C19A7EN2000/
6月末に開催した20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の成果は、米国と日本、すなわち「G2」が新しい世界秩序を主導する可能性が出てきたことだ。
リーマン・ショック直後からはG20が世界の主要課題を議論してきた。だが、主要7カ国(G7)でのマクロ政策の国際協調やその監視のような実質的成果は上げられず、世界は主導国がなく重要事項が決定されない「Gゼロ」状況が続いてきた。
しかし、今回のサミット…
この調子は、G20前から書かれてる。
中国・ロシアが退潮する世界で、際立つ日米協調「G1.5」の存在感
https://www.newsweekjapan.jp/kawato/2019/06/g15.php
<欧州議会選もペルシャ湾への米艦派遣も結局腰砕け――習近平もプーチンも弱みを抱えて笑うのは「安倍トラ」だけ>
なぜこういう記事が来るのか。
それは、日本国民または日本企業にとって、必ずしも利益が見えない行動を取らされるからでしょう。韓国と交易している日本企業は日本企業側に技術的優位性があったとしても、双方に利があるから交易しているわけで、それを壊すのは双方の個別企業にとってはどうあれ不利益だし、今後もサプライチェーンを解消することとなったら収益機会が制限される。これでは不満もでる。
だから、これは作戦なんだ、俺たちは勝っているんだ、ちょっと我慢せい、という意図で、世界に冠たる日本とアメリカなのだ、などと言ってみる。まんま、大東亜共栄圏はもうすぐだ、みたいな調子と思えばいいのでは?
つまり、CIAは今や大本営って感じ? あはははは。
ということは、こういう調子が来る時はそれは私たちにとって状況は芳しくないのだと察知することが前世紀からの知恵というものという気もする。
最低限言えるのは、米を中心とする西側世界にはまったく余裕が見えないということ。そんなことはない、GDP(名目)を見ろ、とかいうのだけが頼りって感じ。GDPは金融産業を入れてるからふくらましが可能な構造だからこれをもってあらゆる意味で「強い」とは言えない、そういう指標じゃないというのは昨今はアメリカ人たちがさかんに言っている。言うまでもなく金融セクターが巨大すぎて、その反対に製造業セクターが壊滅的に凋落したから。こういうのはGDPでは見えない。
■ どこまでも行くんでしょう
2月にこんなことを書いていた。
で、今後の課題は、結局アメリカの認識改革になると思うわけですよ、と書きたいところだけど、もはやそのフェーズを過ぎたのではあるまいか?
つまり、アメとEUの一部が基地外のままでも、ユーラシアの残りの部分は相応に、必要な紛争解決メカニズムを自分たちで作っていけばいい。ロシアや中国のような情報機関の充実した国がそこを補いつつセンターになって、貸座敷よろしく安全なところであちこちで会議開いて考えれば足りる。後は、不必要にアメの手先を入れないことが重要、みたいな感じ。これがつまり、上海協力機構の空間でしょ?
倒錯の時代の終わりが見えて来たのだなと考えてみる
どこまでやるんですかね。
まぁでも、終わりはないでしょう。
■ 日本にとってはどうなのか
率直にいって日本にとってはこういう地政学問題を底にした消耗戦に巻き込まれるのはまったく不利だと思う。
なぜなら、日本はその時々の技術的、知見的優位性みたいなものを持って、それを自由貿易というプラットフォームで走らせる時優位性を保てるチャンスがある、という国だから。
つまり、よーしわかった、それなら断交だといってしばらく鎖国しても大丈夫という、基本的に自給自足が可能だったソ連みたいな国情ではない。(ロシアはソ連ほど大きくない。大きくないがソ連を崩壊させたことの知見を無駄にしなかった分、やたらに知恵のまわるロシアになってる)
フェア、公正を担保する機構を備えた自由貿易ってのが日本にとってはもってこいの考え方でしょう。それを自分でぶち壊していくってどうなのよ、と思う。
でも多分、そうだ、日本の材料産業は世界一なのだ、俺たちがいなければ云々カンヌンに負けるんだと思うんだな。しかし、技術はいつでも、「必要は発明の母」がベースなんだと思うわけですよ。発明があるから必要が生まれるわけじゃない。だから、相手を追い詰めると相手は別のことを考えてくる可能性は増大する。
ここらへん、おごってると見えなくなるものらしくはある。
■ 関連記事
ユーラシア vs 西側:マッキンダー理論とSCO
ユーラシア vs お手軽ファシズム同盟
この大きなユーラシアの中で、ユーラシア経済連合(EAEU)、上海条約機構(SCO)、東南アジア諸国連合(ASEAN)が協力して、「すべてのユーラシアの国々が効果的に協力できるようになる」。
「他方で、中国は「一帯一路」というコンセプトを進めている」
再近BS放送でウラジオストックと中央アジアの
アルマトイが放送された。
アルマトイには高麗人・ドイツ人・ポーランド人の子孫が多く住んでいる。
今も残る戦争の影だ。
ロシアと中国がもっと中央アジアの多くの民族を紹介すべきだ。
中国の中央アジアの民族政策には疑問を持つ。
日本の報道機関が中央アジアの歴史と民族と文化を紹介したことはない。
中国は今大規模な鉄道網の開発に熱心だ。
まもなく多くのアジアの民族がその鉄道を利用して中国からヨーロッパそして多くのヨーロッパの民族が逆に
中国に押し寄せるだろう。
そしてユーラシア大陸は復活するだろう。
長い道のりだ。