いやいやいや、面白いものを拾ってしまった。
Google Newsを開けたら目についたので開けて読んだ。
ロシア軍機撃墜:2回領空侵犯 撃墜前、トルコ計21回警告 NATO分析
毎日新聞 2015年11月28日 東京夕刊
http://mainichi.jp/shimen/news/20151128dde001030017000c.html
【ブリュッセル斎藤義彦】トルコ・シリア国境付近で24日にトルコ軍機に撃墜されたロシア軍機が、2回連続してトルコ領空を侵犯していたことが分かった。トルコが加盟する北大西洋条約機構(NATO)の外交筋が、レーダーの航路分析で判明したと毎日新聞に明らかにした。ロシア側は「警告はなく、シリア上空で撃墜された」と主張しているが、根拠が揺らぐことになる。
全編この「外交筋」という人の見解が書いてある記事。で、その謎の外交筋がレーダー分析で判明したんだ、と語ったからといって、ロシアの「根拠が揺らぐことになる」というのは飛び過ぎでしょう。
さらに、この「外交筋」によれば、
◇トルコ防空強化、NATO合意へ
外交筋は、12月1日から開かれるNATO外相会議が、トルコの防空能力強化やミサイル防衛などを柱にした「支援・保障パッケージ」で合意することも明らかにした。
過激派組織「イスラム国」(IS)の脅威に対抗するため、今年8月から検討されていたが、ロシアに対する加盟国の防衛もにらんで決定する。
つまり、トルコがロシア機を撃墜したことが問題になっているんだが、なぜだかNATOは対ロシアの防空強化をするらしい(笑)。
もともとNATOは欧州側とトルコに対ロシアのミサイル防衛装置を置きたくて仕方がない。今に始まったことではない。
そこも謎だけど、イスラム国はそんなにすごい武器を持ってるんですか?ここもねぇ~。誰が供給してるんのよ、って話。あははは。
まとめると、以前は、NATO他アメリカの軍産は、イランの脅威をネタにロシア向けの防衛網を築こうとしていた。しかし、イラン危機が終わったのにまだ欧州側に配備しようとしていたので、ロシアは、ほらね、前から言った通り、ミサイル防衛網はテロともイランとも関係がない、ロシア向けなんだ、と盛大に発表してた。つか、でも、みんなそれ知ってるから、ではあるんだけど。
で、今度はトルコを暴発させて危機を作ってなぜだか対ロシアで盛り上がろうってのがNATOの方針なんですかね。あははは。
いやぁ謎な話だが、結局この組織は無理が通れば道理が引っ込むとか、テロ(恐怖)で人を脅せば誰も反対しないとかいう方針を捨てろよ、と思う。軍事って実は力だけじゃないってのをとことん理解できない組織になってる、ってか、そういう奴らに乗っ取られたんだろうね。
まぁ、とにかく「外交筋」はそう言ったんだからそうなるんだというのが毎日新聞のスタンスなんでしょう。
こういう状況なんですが。IS→トルコ→NATO問題
■ NATO主犯説の根拠、日本で開陳か?
いやぁ、これを読んでとても面白く思ったのは、ここ2、3日、アメリカ人、ロシア人他のネットすずめの間では、トルコがあんな大胆なことを単独で決断するわけはない、ということはアメリカ政府が関与しているに決まってるだろ、ただオバマとは限らないが、みたいな話題があふれていた。
このあたりは、アメリカ人はフランクなわけで、トルコがNATOまたはアメリカ政府の許可なくこんな判断をするわけがない、と見定めてるわけね。
で、偶発的ならそれもありだけど、問題となる時間があまりにも短いので、ロシアが言うように「待ち伏せ」だろうってのはもう動かんやろ、と。領空侵犯か否か問題より、この短さはつまり事前に計画してなきゃ判断できない、っていうところがより重要になってる。(よしんば領空侵犯があったとしても、敵対国としてはっきり戦闘状態にあるわけでもないのにいきなり撃つなんてあるわけねーだろ、だし)
で、今日毎日新聞でこんな記事を読んで思うのは、つまり、怪しいのはNATOってことでよろしいか? ですね~。笑ってられないけど、でも、そうなんだー、みたいな気がしてワクワク。
北大西洋条約機構 North Atlantic Treaty Organization じゃなくて、
北大西洋テロリスト機構 North Atlantic Terrorist Organization
じゃないのか、とか冗談を言われるぐらいになっちゃってるしなぁ、この組織。
結局この組織は、解体するとなると騒ぎになるのでやらないだろうけど、でも、一回手を入れないと大変な組織になってるのは間違いないと思う。軍に振り回された国家がどうなったのかを私たちは知っている。
ナチスドイツはまだしも国防軍系統とかがヒトラーは狂人すぎるとして暗殺しようとする人たちがいたわけだけど、それすらないのが現在のアメリカだとしたら、モラル的には現在のアメリカはナチス体制下のドイツ以下だな、とも言っておこう。
そう、モラルを失っていることにさえ気づいていない。覇権にモラルは不要なのか
ジョージ・ケナンが1997年に語ったという、
NATOの拡大は、アメリカの冷戦以降の外交方針の「致命的な誤り」となるだろう
ってのが、結局適切だったという話になるんでしょう。
永続敗戦論――戦後日本の核心 (atプラス叢書04) | |
白井 聡 | |
太田出版 |