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Dデーに向かって画策中の欧州、特にフランス

2014-06-02 13:27:01 | 欧州情勢複雑怪奇

神聖同盟とかいってどうしてもロシアとドイツ(プロシア+オーストリア)の関係に注目してしまう今日この頃だけど、実のところ最近面白い動きをしているのがフランス。

来週、フランスでいわゆるD-デイの記念行事があるので、なおさらフランスは張り切っている。Dデーとはつまり、ノルマンジー上陸作戦の作戦決行日で、今年は70周年にあたり記念の催しが開かれている。
(毎年なんかしらやっていると思うけど、確か5年に一回ぐらい大きくやってる?)

で、そういう日なので、ソ連後継国のロシアも出席する。

5月上旬にこの話が出た時に、フランスの国防大臣が、「ナチとの戦いで900万人も死んだ国の大統領を呼ばないなんてことはできませんよ。東部戦線がなければノルマンディーもなかったでしょう」と言っていた。

http://www.bloomberg.com/news/2014-05-08/merkel-welcomes-putin-s-attendance-at-june-d-day-ceremony.html

それどころか、フランスのオーランド首相は、1日前にプーチンと会談するらしい。また、ウクライナの今度選ばれたチョコレート王たるプルシェンコポロシェンコ氏も招待するという話。ウクライナも当時はソ連なので出席する意味はあるしね。だったらベラルーシのルカシェンコも呼ぶべきでは?という気もする。

France invites Ukraine's Poroshenko to join Putin to mark D-Day
http://www.france24.com/en/20140528-france-invites-poroshenko-putin-d-day/

フランスが俄然張り切っている。この姿は、そういえば2008年のグルジアでの戦争の際のサルコジを思わせるものがある。

■ミストラルをNATOに買わせよう

いつもながら、フランスはなぜだか妙に自由。不自由な時でも自由な気分でやってないか?的な不思議なことをする。アメリカに怒られても全然気にしている様子がない。いや、気にして小さくなったりもするんだけど、いつの間にか元に戻る。

このたびも、いや2008年の時から既に問題になっていたんだけど、ミストラル級揚陸艦をロシアに売ろうとしているフランスは、アメリカ他から非難されようとも販売の意志を翻さない。

とうとうアメリカの下院議員がミストラルをNATOが買えばいい、と言いだす。キャンセルしたらキャンセル料高いし、雇用も失われるしとフランス側が答えたことに対する逆襲だと思う。(そんなお金を誰が用立てるのかまでは詰まってないオファーみたいだけど)

Lawmakers suggest NATO, not Russia, buy French warships
http://www.reuters.com/article/2014/05/29/us-france-russia-mistral-usa-idUSKBN0E929I20140529

ところがフランスは、翻意の意志ありませんと言っている模様。

そういえば、1か月ぐらい前にはスペインが、ロシア軍に寄港を許したといって、ちょっとした騒ぎになっていたこともあった。え、ダメなの?みたいな感じで話が終わってしまった。なんなのこのフランス、スペインの緊張感のなさは(笑)。

とはいえ、

France to go through with Mistral deal with Russia despite US indignation
May 30, 16:19 UTC+4
http://en.itar-tass.com/world/734068

BNPパリバが、米国が発動しているイラン他への制裁に違反したとして多額の罰金が課せられているという事情もある。

こういうのって、やっぱり嫌がらせなんじゃないかと勘ぐってしまう・・・。だって、米英の銀行なら隠せることも画策することもあるでしょう? とはいえBNPはドル決済を外されたらかなわないから罰金を支払うことになるでしょう、多分。

■ 面従腹背系じゃないのかなぁ・・・ドイツ

ノルマンディーの式典の話で日本の記事がちょっと面白い、というかへんだと思う・・・。

ノルマンディー式典:プーチン氏の隣は? 欧米首脳嫌う?
毎日新聞 2014年06月01日 12時15分(最終更新 06月01日 16時58分)

http://mainichi.jp/select/news/20140601k0000e030146000c.html

【ベ ルリン篠田航一】フランス北西部ノルマンディー地方で6日に開催される第二次世界大戦のノルマンディー上陸作戦70周年記念式典で、ロシアのプーチン大統 領が2月のウクライナ政変後、初めて欧米首脳らと一堂に会する。ドイツなどでは「今、最も嫌われている首脳」(独誌シュピーゲル)であるプーチン氏の隣に 誰が位置するかが注目されている。

誰が座るか・・・。確かに難しいといえば難しいですね。フランスのオランドじゃないんですかね?

でも、「今、最も嫌われている首脳」というわりには、オランドは前日にディナーをする(通常ケンカ状態ではない)らしいし、オバマも密会あるかもよという説もある。だから、こういう話はあまり意味がないと思う。

というより、ノルマンディーの記事を書くのになぜドイツのシュピーゲルを見に行くのかが不思議だ。ノルマンディーがらみと、先月の欧州戦域終結の日はナチスをみんなして破りましたをお祝いする日なので、ドイツの首相は主役にはなれない。

■ 冷戦で話がおかしくなっている第二次世界大戦欧州戦線

そのうちまとめて書こうと思ってるけど、第二次世界大戦の欧州戦線の主たるプレーヤーには、どうしたってソ連が入る。ドイツ兵の4/5ぐらいは東部戦線で死んでいる。ついでにいえば、ドイツはノルマンディーがなくても、ほぼ負けていたといっていい。ノルマンディーは仕上げ。

といって別にノルマンディー上陸作戦をけなしたいわけでは全然なく、アメリカ人、イギリス人、カナダ人が頑張ったことは本当。すごい作戦だったとも思う。

しかし、だからといってソ連の役割を無視していいという話にはならない。が、しかし、冷戦をやっていたもので、これらのセレモニーはすべて、長いこといわゆる西側諸国だけで行っていた。それで、なのか、そうでない理由があるのかわからないけど、とにかく現状を見るに、まるで欧州戦線はノルマンディーで決せられたみたいな妙な解釈が横行している。ソ連の役割を小さくしたいという動機からこうなったんだろうとは思うのね。

もちろんロシア人はこれに腹を立てているんだけど、私が現実に知った人で腹を立てていたのは、ポーランド人とかルーマニア人とか、日頃ロシア人を憎んでいるとされている、というか現行そういう立ち位置に立たされている人たち。ドイツ人、イギリス人も歴史を知っている人は当然反抗してるけど。

アメリカ人はおかしい、ノルマンディーでナチが倒れたと思ってる、そんなことはない! と彼らは憤慨する。

私はこれを、単純に歴史音痴のアメリカ人がテレビ番組なんかで話を簡単にしているだけだろう、ぐらいに思っていたのだけど、どうもそうじゃなくて、昨今の成り行きを見るに、これはイギリス、アメリカの一部のグループの画策だった可能性は大有りだなと最近思う。

ここでもまた、歴史認識ってほんとに大事。

そうそう、ロシアが第二次世界大戦についての歴史認識を歪曲することは許されないといった発言をするのは、まずもってこの欧州並びに米国におけるおかしな現状のことを言っているのであって、太平洋戦線なんか全然頭にないと思う。しかし、それを中国共産党にいいように使われている、と。


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