浜松が40度を超える暑さとなっていた。名古屋が糞暑いのは知ってたし、伊勢湾は海やない、巨大な温泉やと思ったこともあるが、なぜ浜松と思ってちょっとサーチしたらフェーン現象であるようだ。日本は山だらけなのでこういうことは多くの地点で起こり得る。
それはそうと、この間ベラルーシの大統領選挙の混乱の話を書き、多分、ルカシェンコがロシアに折れてくるオッズは高そうだという見込みを書いた。
ベラルーシ大統領選の混乱&ロシア世界
多分、そんな感じになってる。
ルカちゃんたちの様子は、ベラルーシの地元メディアがいろいろと伝えていて、それをそのまま読めるロシア勢はリアルタイムでみんな知ってる。
で、13日あたりに、ルカちゃんはこんなことを言ったらしい。
ベラルーシを守ることは今日、まさしく我々全体のスペース、すなわちUnion Stateを守るおとと同じだ。
…Defending Belarus today is nothing less than defending our entire space, the Union State [of Belarus and Russia], and an example for others… If Belarusians can’t stand, the wave will flow there.
https://www.rt.com/news/498101-lukashenko-color-revolution-putin/
この間書いた通り、そのUnion State、すなわちロシアとベラルーシの連合国家構想を自分で約束しておきながらこの10年妨害しまくっていたのがルカシェンコ。
だから、ここに来て、自分からUnion Stateを共通の空間であると言ったのは新しい展開。
その翌日、ルカシェンコはプーチンにお電話。
クレムリンの要約によれば、双方は、現在の問題はすぐに落着するだろうとの自信を表明。
主要な問題は、破壊的な勢力が、Union Stateの枠組み内にあるロシアとベラルーシの二国の共通の利益ある関係に損害を与えようとこれらの問題を利用しないようにすることだ。
Alexander Lukashenko informed Vladimir Putin about the developments following the presidential election in Belarus. Both sides expressed confidence that all existing problems will be settled soon. The main thing is to prevent destructive forces from using these problems to cause damage to mutually beneficial relations of the two countries within the Union State.
http://en.kremlin.ru/events/president/news/63893
などと言明し、
さらに、ベラルーシに入ったロシア人33を、ベラルーシで破壊工作をしようとしているなどとしてベラルーシ当局が逮捕していた件は、32人がロシアに帰った。(1人はベラルーシとロシアの二重国籍者だったのでちょっとタンマということらしい)
これは、ルカシェンコたちがウクライナ&ポーランドあたりの釣り出しプロットに乗せられた話は、終わりにしますということでしょう。人質は返した、と。
そこで、クレムリンのサイトの文章の最後のパラグラフはこのように述べている。
両国は、様々なレベルにおいてさらに定期的な接触をすることに合意し、同盟関係強化に対する約束を再確認した。この強化は、ロシアとベラルーシという兄弟国家の中核的な利益を完全に満たすものである。
They also agreed on further regular contacts at various levels, and reaffirmed their commitment to strengthening allied relations, which fully meets the core interests of the fraternal nations of Russia and Belarus.
http://en.kremlin.ru/events/president/news/63893
もう、言い抜けさせないといった趣ではあるまいか。
■ どう整理するんだろう
とはいえ、これであっさり終わることはなくて、まずなんといってもベラルーシ国内で、ルカシェンコに反発している人たちはこの大統領選挙の不首尾で増えた。
若い人たちを中心に、ルカシェンコ嫌いが病的な感じになってる。実際、そりゃ無理もないところはある。
この様子を、西側メディアは今はルカシェンコ政権に対する反発として伝えているけど、それをそのまま、旧ソ連への憎しみみたいな方向で引っ張りたいのであろう、と想像できる。
ロシアとベラルーシ、ロシアとウクライナの分離工作の主たるテーマはそれだからね。基本的に、ベラルーシとウクライナはスターリン(またはボルシェビキ)の犠牲、というのが主軸。
だがしかし、ウクライナは西ウクライナに、ナチ以来のバンデラ主義者がわんさかいたので、スターリンは悪=ヒトラーこそ正義、というのが入り込む余地があったが、ベラルーシにそこまでの基地外が大挙して存在するという話は聞かない。
むしろ、2014年のウクライナ危機によってウクライナがどうなったのかを見て、ああなっちゃお終いと思ってる人の方が多いだろうと考えられている。正常ならそうなる、。
■ ポーランド・リトアニア要素
ところが、今度は、ポーランドという汲めども尽きぬヘイトの泉の中心勢力が出張ってきてて、そこが、リトアニアと組んでベラルーシを取りに来ているのであろうといった感じ。
主たるストーリーは、ポーランド・リトアニア連合王国は素晴らしい、ロシアは悪い奴だ、ポ・リ連合を復活させるべきなのだ、という感じ。
これを寝ぼけたポーランド人とリトアニア人が酒場の冗談で言ってる分にはいいけど、NATOを組み込んでやると、それはもう明確にロシア地域への侵略構想にしかならない。
位置関係はこんな感じ。
Suwalki Gapという、ベラルーシからロシアの飛び地であるカリーニングラードへの細い路をふさぐとカリーニングラードは孤立する、→ このあたり一帯からロシアを追い出せる、という発想のマップ。
で、この15世紀とか16世紀の話を、2020年1月にポーランドとリトアニアの防衛大臣がマジで語っていたりするのがこの地平のヤバいところだったりするわけね。
我々は何世紀にもわたって証明されてきたメカニズムと協力に戻るべきなのだ。我々はタンネンベルクの戦い(1410年)やオルシャの戦い(1514年)以前に我々が持っていた何かに向かって前進している
Poland and Lithuania to plan joint Suwalki Gap defence
https://www.lrt.lt/en/news-in-english/19/1137647/poland-and-lithuania-to-plan-joint-suwalki-gap-defence
"We are going back to mechanisms and cooperation proven over centuries. We are heading toward something we had before the Battle of Grunwald [in 1410] or the Battle of Orsha [in 1514]," Lithuanian Defence Minister Raimundis Karoblis told reporters after the meeting with his Polish counterpart Mariusz Błaszczak on Wednesday.
で、2020年のロシアはしかし、それほど大騒ぎはしていない。地図見ればわかる通り、ベラルーシを攻撃の突破口にされた場合には、もはや後はないんだから、そりゃもう、そうなったら全力で当たるしかないという覚悟でしょう。そんなことはしかし、今日に始まったことではない。
ロシア軍は10万人死のうが100万人死のうが防衛戦を戦う覚悟はできている。そのために国を防衛する軍を鍛えているんだから。
では、NATOはどうでしょう? アメリカ人やらドイツ人は、このいかれたポーランド人とかリトアニア人のために、どれぐらい死ぬ覚悟が出来ているんでしょうか?
結局、それが問題。そしてそこを直視したくないから、カラー革命で内部的に政変を起こして、なんだかソフトな話にしてしまいたいが、よくよく見ていれば国境を巡る侵略問題。
東方拡大しないといってソ連軍を退却させ、ワルシャワ条約機構を解体させ、自分だけ生き延びて東方拡大して、重犯の犯罪者組織となって今に至るNATOさんでした、というお話。
NATO東方拡大:ゴルバチョフはマジで約束されていた
西側は今もナチ。
■ 今後
ベラルーシで、opposition(野党)というカテゴリーで括られている人たちの中には当然、ルカたちの悪政に抗することを目標とした、混乱や破壊的出来事を望んでない人たちもいるんだろうけど、問題なのは、明らかに西側が送り込んだ奴ら。
この人たちのうちの、この間大統領線選挙で西側各国からめぼしい人扱いされていたおばさんは、さっさとリトアニアに逃げた。
そこからベネズエラのグアイドみたいに、臨時政権的なものを作ってベラルーシの権力は実はこっちが正統だとか言い出すんじゃないかという説もあったんだけど、ここ数日の展開の中にはその話の続報はない。
ロシアとベラルーシがマジで安全保障を中心に動いている以上、そんなフザケタ話は通じなくなったとも言えるでしょう。しかし、もちろん、油断はできない。
ともあれ、ベラルーシの今後は、もしルカが馬鹿なことを考えず、またNATOが無責任な介入をしないのであれば、
まずは(1) 安全保障的なところの不安を解消させて(つまり、ベラルーシがNATO側に寄るかもしれない、みたいな半端な態度を解消させて)、
次に、(2) ベラルーシ国内の工作員を放り出して、
その後に(3) ベラルーシ内の政治状況を変える、みたいな感じになるんじゃなかろうか。
ルカは、(3)の入り口まで責任を持って(持たされて)、大統領選挙をやり直すなりして体制一新、みたいな感じではなかろうか。
しかし、もちろんこれで平和になるわけではない。NATOという犯罪者集団が解散するか、でなければ、やっぱりポーランドをなんとかしないことにはこの地平に安全も平和もないと思う。東欧ユダヤ問題というか、ガリチア問題とでも申しましょうか、ここらへんこそ汲めども尽きぬヘイトの泉だと思う。
エプスタイン事件 (4) マックスウェル家
■ オマケ:不埒な日本のメディア
日本の朝日、NHKは、今般の大統領選を、こんな感じで書いていた。この不埒な記事は記録おくべきだろう。
「主婦」が「欧州最後の独裁者」を追い詰める ベラルーシ大統領選の行方
https://globe.asahi.com/article/13603139
独裁者に主婦が挑む ベラルーシ大統領選挙 情勢に注目
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200809/k10012560091000.html
旧ソビエトのベラルーシで9日、大統領選挙が行われています。強権的な統治を続け、6選を目指すルカシェンコ大統領に対して、
政治経験のない女性の候補者が支持を広げていて、選挙の結果しだいでは国民の抗議活動が拡大する可能性もあります。
この「主婦」は上述の通り、結局大統領選挙後、デモに出た人たちを置いて、リトアニアに逃げた。
いやしかし、日本の主たるメディアの馬鹿さ加減は凄いね。
ベラルーシ問題というのは、下手な動きをすれば、NATOとロシアの核戦争さえ目算に入る問題。そして、リトアニアやポーランド、一部ウクライナというのは、勝手に大戦争を起こしかねない非常に無責任な勢力。
それを支援してしまうのが現在の日本の主たるメディア。価値がない。卑怯者。
■ オマケ:エアボーン、西部国境に移動
ベラルーシの空挺部隊を西部国境側に移動させる、とルカが言っている模様。西部側とは、つまり、リトアニア、ポーランド側。
Belarus’ Lukashenko to move air assault brigade to country’s western border amid protests & NATO activity in Poland, Lithuania
https://www.rt.com/news/498122-lukashenko-air-brigade-borders/
Belarusian President Alexander Lukashenko has said an air assault brigade will be moved to the country’s border, amid massive anti-government protests that the leader has dubbed a “color revolution” directed by foreign agents.
しかし、この動きからはむしろ、ルカシェンコはまだなんとかなると思ってるんじゃないかって気がする。
旧ソ連構成国中もっとも独軍の占領期間が長かったせいもあるでしょうが、共和国全人口の3分の1がわずか3年で失なわれたというのは、ちょっと想像が追いつかないレベルの一大殺人騒ぎで、頭がクラクラしてきます。
お久しぶりです。
でも、現在のEUは、
スターリンとヒトラーは同等に第二次世界大戦に責任を負っているという、ポーランド主導のトンデモ説を是認しているので、この線であらゆる説が組まれて幾星霜・・・・と考えると、みんなおかしくなるというのも理解はできます。
こちらこそお久しぶりです。
暫くぶりにコメントさせていただきましたが、ロシアとWW2の開戦責任にかかわるEU・ポーランドの策動については、貴ブログの記事を欠かさず拝読しておりましたので、事態の構図・深層を少しなりとも理解することができました。心から感謝いたします。
元々こちらのブログの常連コメンターの方々は、かなりレベルの高い考察・実体験に基づくご指摘などを投稿されていましたが、その後さらに同様のコメンターの方々が増え、より厚みを増してきたようにお見受けします。
これなら「私のようなハンパ者が無理に背伸びして口を挟むものではない」と思えましたので、現在コメントは控えるようにしています(むろん、当方の感情のざわめきが自制を上回ったときには、今回のように駄文ながら投稿させていただくこともあるかと)。
ここまで長文たいへんに恐縮ですが、とにかく、貴ブログは現代世界の成り立ちと現在国際社会で生起している数々の困難を理解するにあたって、貴重な見識と示唆を諸方面から与えてくれる場だと思います(主さまの記事の文体がべらんめえぽいところもすごく好ましい笑)。
今後ともこちらで勉強させていただければ幸いです。
なにとぞよろしくお願いいたします。
過分のお言葉で、かなり困ってしまいますが、でも、いろいろご存じの方が登場してくださるのは私もとっても嬉しく思ってます。もちろん名無しの在日も!