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トルコのクーデーター未遂事件:第2日

2016-07-17 21:35:32 | 欧州情勢複雑怪奇

今日のNHK7時のニュースのトップ記事はコルビジェの作品である国立西洋美術館が世界遺産に登録されました、だった。おめでとうございます、ではあるし私はあのあたり一帯好きですからいいといい感じのニュースだたけど、でも、今それをインターネットで見たらふと妙な文章に出会った。

トルコのイスタンブールで開かれているユネスコの世界遺産委員会は、軍の一部が起こそうとしたクーデターの試みにより審査が中断されましたが、17日再開され、国立西洋美術館の世界文化遺産への登録を決めました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160717/k10010599271000.html

 

軍の一部だったか、主力ほとんどだったかはまだ確定してない。軍の一部と言えるためには、軍の中の目立ったリーダーが出てきて、その一部に対して投降を呼びかけるというのが古今東西のスタイルでしょう。しかしその事象はなかったと思います。

クーデター失敗の理由は、エルドアンを捉える or 殺害する、を達成できなかったことと、一般人が政府と聖職者の呼びかけに応じて大量に外に出て応戦を決めたこと。

つまり、トルコ軍は自分でケツをふいていない。

だからこそ、これからトルコ政府は一般人の支持を背景に、トルコ軍の精査をする、という話。

■ 西側の態度がおかしい

西側の報道でおやと思ったのは、クーデーター失敗を察知し軍人8人がヘリに乗ってギリシャに亡命を求めた件。早々に、民主的な手順に従ってトルコは行動してほしいとかなんとか西側の国々は書いている。

しかし、その前に、軍事力を使った政府転覆に対する憎悪とか、非難とかが異常に弱いですよね。これって一体何よ、とまず思う。まぁ、ぶっちゃけクーデーターって英米の支配の道具ですからね。ダメって言えないよね(笑)。

ともあれ、ギリシャは兵士を引き渡す模様。

Greece to extradite insurgents fleeing from Turkey - Anadolu Agency
http://tass.ru/en/world/888816

 

■ トルコのインジルリク空軍基地

インジルリクの米空軍基地は、クーデター失敗確定前後から現地当局によって出入りを禁じられていた。その上で、トルコ側が送電を止めたので基地は停電。

といっても、もちろん一般電源に頼って軍事行動やってるわけではないから、必要部分は発電しているだろうし、やる気になれば飛行できるだろうが、とりあえず米軍はおとなしくしている。少なくとも、何するんだよ、みたいな抗議をしたとは伝えられていない。

トルコの外相は、インジルリクの軍人が関与した、とも言っている模様。

トルコのチャヴシオール外相は、同国で発生したクーデターの試みに、トルコ南部インジルリクの米空軍基地の軍人らが関与したと発表した。

http://jp.sputniknews.com/incidents/20160717/2504387.html

 

そういえば、エルドアンは短時間とはいえ飛行機をトルコ国内でどこにも着陸させられなかった時間帯があったように見える。

 

と、これらの断片からは、やっぱ、あれは空軍がかなり全力でクーデターに加担したっつー話なのでは?という疑念がぬぐえない。

今後のお楽しみ。

 

■ トルコ軍によるロシア機撃墜事件なるもの

クーデーター未遂事件勃発後かなり早い時間帯に出ていた記事が非常に洞察力があって素晴らしかった。元インドの外交官のBhadrakumar さん。よく見る名前。

Winners, losers in Turkey’s coup bid 
http://atimes.com/2016/07/winners-losers-in-turkeys-abortive-coup/

 

成り行きがどうなるかまだわからないが、一つだけ言えるのはこれはいわゆるケマル以来の流れを受け継ぐトルコ軍、みたいな話ではない、と。で、NATOがらみの話がなんとなく示唆されている。

コメント欄に、昨年末トルコ軍によるロシア機撃墜事件があったが、あれは、トルコとロシアを離すためのトラップだったんだろうという文があるけど、その線は捨てがたいと私も思う。

そして、そうであればこそ、プーチンはむしろ派手に怒ったのかな、とか思った。ロシアはトルコに経済で圧力をかけられるので、それを全力で使うことで、一般トルコ人に危機意識を持たせて、その上でエルドアンがロシアに謝るという道筋をむしろ示したって恰好。謝れよ、というのは、謝ったら対話再開の道が用意されてるぜと言ってるも同然だから。
 

■ プーチン、エルドアンに電話する

で、まる一日たって今日はプーチンが、エルドアンにお電話。

プーチン大統領 エルドアン大統領にトルコの秩序と安定の回復を願う
http://jp.sputniknews.com/politics/20160717/2505290.html

 

表面的なご挨拶に見えるけど、でも、ロシア人観光客の安全の確保をお願いしますね、とプーチンが語ったということは、ロシアの側に危険が及ぶ事態にはなっていないことの表明でもある。

また、予定していた通り、両大統領は近々会うと確認したことも重要。つまり、トルコはプーチンにごめんなさいをした路線を今回の事件があっても変更しません、の確認になる。

 

あと、トルコ外相とイラン外相は、クーデーター発生から3度目の電話会談をしました、とイランのニュースに載っていた。

イランの外相は、クーデターに対してもこっぴどい言い方で非難していたと思う。

そういうわけで、こっち方面は静かに、しかし繋がってるまんなって感じ。ええ、隣国ですから、だしね。

 

シリア問題は、アメリカとロシアの協力は折り合えていないことに合意した、のまま動かず。

嵐の前のなんとやらになるんだろうか。

 

■ ギュレン氏問題

ペンシルベニア州にいるギュレン氏を引き渡せとエルドアンは言っているんだけど、テレビではもっと激しい言い方をしている模様。英Independentに出ていた。

いわく、トルコはテロリストの引渡しに応じなかったことは一度もない。もしトルコが戦略的パートナーだというのなら、アメリカは引き渡すべきだ、

だそうだ。

Turkey coup: Tensions between US and Erdogan administration rise after failed power grab
http://www.independent.co.uk/news/world/europe/turkey-coup-erdogan-barack-obama-us-tensions-air-space-isis-a7141151.html


最初、ひょっとしたらこの人の引渡しを落としどころにして使おうとしているのかなと一応思ってたんだけど、話を大きくしたらそれもできなくなる。わからない。

しかし、一方で、このギュレン氏というのはトルコのみならず、中央アジア一帯のイスラムに影響力を持った人だという話なんだけど、それだけでなくヒラリーと関係がある人だという話まで出てきて、どこまでどうなのか不明。

 

これに対してケリー国務長官は、完全否定で、まったくのでっちあげで両国間にとって有害だと語っているんだが、いや~、そりゃ戦車だけ、つまりトルコ陸軍だけっつーならアメリカが知らないってのもあり得るかなと思うけど、制空権取ってた行動を考えれば、米軍基地がまったく存じ上げませんでしたというのは難しいんでないの? なんのために制空権取ってんだよ、でしょう。

 


 

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2 コメント

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まだ終わってない (ブログ主)
2016-07-18 16:33:35
いやでも、まだ終わってないですよこれ。

あと、プーチンは得点いらんでしょう、既に別格ですから(笑)。
返信する
『NATOの政治工作浮上』 (ローレライ)
2016-07-18 05:28:19
トルコクーデターは『NATOサミット』の後で『NATOの政治工作浮上』させたイベントになり、プーチンには得点となった。
返信する

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