「マスコミに載らない海外記事」さんがTTIPの秘密文書漏えいについての記事をエントリーされていた。
TTIP-アメリカの経済帝国主義
Paul Craig Roberts
2016年5月3日
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/ttip--45ba.html
環太平洋や、環大西洋“連携協定”に署名するほどまでに、議員が非常に腐敗しているか、非常に愚かな世界の国々に対し、グリーンピースは大いに貢献してくれた。グリーンピースが、アメリカ政府と世界的大企業が、ヨーロッパに強要している漏洩秘密TTIP文書を入手し、公開したのだ。
これはほんとに重要。TTIPは日本を含むTPPの欧州版。TPPは太平洋周辺、TTIPは大西洋周辺で、これによってアメリカの大企業を中心とした経済帝国主義の完成版をやろうって話ですね。
で、どなたもご存じのとおりこの協定の異常さは、そもそも何を締結しているのかを国民に知らされないまま協定を結ぶというその形式に現れている。
そこで、オランダのグリーンピースがTTIPの秘密文書を入手してインターネットにアップした。
ここ。
https://www.ttip-leaks.org/
■ 欧州内のその後の動き
これに対する動きとしては、オランダがTPPIについて国民投票を実施するよう既に10万通の署名を確保した模様。ほぼ間違いなくこの数値は上がっていくと思われるので、そうなれば国民投票への道が開けるかも、ってところ。
さらに、フランスはオランド大統領がだいぶ後退した態度を取っている。もともとこの人は支持率13%とかいうものすごい状態なので、国民的に反対が盛り上がれば押し通せない。
イギリスも反対する人たちがかなりいるように見える。また、現在の首相は保守党だけど、保守党がみんな賛成かというとそうではない。そもそもEUから脱退しろと騒ぐUKIP(イギリス独立党)を支持しているのはもともと保守党の人たち。
ということで、イギリスの場合は主権を売り渡すのは誤りだという主張が非常に強く底辺にあり、それが脱EUに繋がっているので、このリークによってEUからの脱退推進に拍車がかかったりする可能性もある。同じく主権が奪われる話だから。
イギリスの保守大衆紙の人気コラムニスト、アンブローズ・エバンズ-プリチャードが、議会制民主主義を脅かすのならTTIP協定は廃案にさせろ、と書いている。
Let the TTIP trade pact die if it threatens Parliamentary democracy
http://www.telegraph.co.uk/business/2016/05/04/let-the-ttip-trade-pact-die-if-it-threatens-parliamentary-democr/
エバンズ-プリチャードの場合、人気というよりある種のインサイダーだろうと考えられている人なので、これはこれで含みあるよなぁとか思う。
■ オマケの妄想
オランダ、フランス、イギリスが並んだというところがミソだなぁって気もする。
とりあえず国民がいて国家がある派だよね、このへんはと言いたいものがある。だからこそ、上からカバーかけて支配構造を作られることに対する反発が起こる。
その意味で、この問題も折からの反エスタブリッシュメント問題ですね。
ドイツも国内世論は反対派の方が圧倒的に多いみたいだが、この国は残念ながら民主主義的にはものごと進みませんので期待できない。伊達にプロパガンダ本家やってるわけではない。
あと、もう一つの視点は、オランダ、フランス、イギリスあたりは、完全な売国政治家を除けば、左右関係なく、どうもこのEUがドイツ第四帝国になっていることに対する懸念があるだろうと思えるあたり。
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これも一つのNATO問題としても読める。
つまり、NATOは、German down, Russians out, Americans in という公然の秘密で作り、一方でEUという平和的な話を進めていったはずなのだが、いつの間にか、ジャーマン・コントロールのドイツ第四帝国になってましたってのが現状なので、西の方から順次不満が高まってるって感じ?
もう、フランスが露仏同盟を組むのもいいなとか言い出し、イギリスがEUを脱退してEUを弱体化させてるぐらいになる必要があるのかもなぁ、とか思う。あり得ないって今は思うけど、この状態が永遠に続くというのも同時にあり得ない、なわけだしね。
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革命を体験したからなのか、そうだから革命遺産をそのように解釈できるようになったのか、というのは議論の分かれるところだと思いますが、いずれにしても、一人ひとりがあってそれがnationだ、という発想のない集団には主権の意味は腑に落ちないってことだろうと思います。
それに引き換え彼らをバッシングする我が国の捕鯨厨ネトウヨときたら…
あいつらミーハーで権力者の尻を追いかけて、その癖損したら自分の責任逃れする奴らです。もうファッションナショナリストって呼びましょうか?
グリーンピースは今回はGJでしたし、それを無駄にしないでさっさと行動に移すオランドも素晴らしい。
欧州の様子を伝える気がない、問題にしないウチの主要メディアの大本営化が恐ろしいです。