個別的自衛権では足らないから集団的自衛権が必要だと考えている人々の中には、おそらく、東アジアにもNATOみたいなのがあるといいなぁ、とか思ってる人がいるんじゃないかと思う。
みんなしてソ連に立ち向かうってカッコいい! 東アジアにもNATOを作って中露をぶっとばせ!みたいな。
しかしそのNATO諸国も、なんだかぐだぐだってのが現状らしくはある。
ピューリサーチセンターというあの有名な調査会社が行った調査が6月10日付けで発表になっていた。
NATO Publics Blame Russia for Ukrainian Crisis, but Reluctant to Provide Military Aid
http://www.pewglobal.org/2015/06/10/nato-publics-blame-russia-for-ukrainian-crisis-but-reluctant-to-provide-military-aid/
非常に多くの質問があって面白いので今週末時間があったらもっと書きたいけど、とりあえず目立ったものを2つばかり出すと、まずはこれ。トップページにあったもの。
「NATO諸国の多くは同盟国を防衛するための武力行使に気乗りしない」というのがタイトル。
その下の質問部分、If Russian got into.....の部分は次の通り。
近隣諸国でNATO同盟国となっている国とロシアとが深刻な軍事衝突に至った場合、あなたはその国を守るために自分の国が軍事力を行使すべきだと思いますか、すべきでないと思いますか
米国で37%が「すべきでない」、カナダ、イギリス、ポーランドも同等。
スペイン、フランス、イタリーは5割前後、ドイツに至っては58%が「すべきでない」
過半数以上が「すべきでない」のは、フランス、イタリア、ドイツ。
これって結構驚くべき結果のような気がする。
NATOは自動参戦義務のある機構なので、こんな調査をしても、つまり民意なんか関係ないと言って言えないことはないんだが、でも、3割強以上、まして半数が望んでない軍事行動を起こすなんて民主主義国家では無理じゃないっすかね、とは思う。
なんでこんな結果になるかといえば、そもそもNATOってのが、あのどでかい戦争の後の戦後処理として、ドイツを抑え込んで、ロシア(ソ連)を外に出すつもりで西欧諸国が作った政治的機構という側面が大きかったので、今更何をするのよ、という感じで見られているんだろうなぁと思う。
文字通り冷戦の名残りなので、まだこんな組み合わせをやるのは軍事産業の自己都合ぐらい思って腹を立てている人が多数いるものと思われますです。
あと、民主主義が発達するとこういう個々の国の主権が没になるような同盟は歓迎されないってのも大有りでしょう。例えばポーランドとかエストニアが明らかに自分で挑発しまくってロシアにかかっていった場合、なんでその他の国々がそのために金出して兵士を死なせなならんのよ、となるだろう。責任とれよ、独立国なんだろ、となる。
それが一番見えてるのは当然ドイツでしょう。
ついでに、これは前からだいたいこんな結果という調査。ウクライナに何を支援すべきかで、米国とドイツが分かれている。米国の46%はウクライナに武器を送れというが、ドイツではそれは19%。
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