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ロシアがユーラシアに基軸を揃えてきたことの余波

2014-12-23 02:43:18 | アジア情勢複雑怪奇

大抵が周回遅れの情報が流れて来るのが日本語の情報なので、今になってロシアはルーブル安で潰れそうだみたいな記事が週刊誌なんかに出ているみたいだ。日本のニュースって、政治がらみはもう捨ててるけど、経済ニュースさえおかしいんだよね。なんでかっていうと事実に基づいてないから。例えば、ロシアはルーブル安が止まらない、というのを枕詞に使ってしまって、そこから思う存分筆者が空想を拡げて、最後は、大変な時代だ、みたいなどうとでも言えるようなことを書く。まぁ、平和といえば平和だけど。

前にも書いたけど、ロシア経済ってソ連と違って各国と繋がってるので原油安、ルーブル急落によってロシアだけが痛むっていうシナリオはあり得ないので、実のところ世界の金融関係者は結構ハラハラしてる。

ロシアは国家債務の割合は低いけど民間の外債部分が結構あってそれがデフォルトになるんじゃないか、みたいなことが懸念されている、というか、そう誘導したいと欧米主流メディアは書きまくってる。けど事実としてのロシアは持ってるものも大きいのでなんか話がちゃらんぽらんになってる感じ。

さらに、チャイナがロシアを支援に回っているのが非常に重要。ロシアの経済危機についてチャイナはできる限りにおいてロシアを支援しますよ、という声明まで出してる。やっぱりこのへんは機構改革を念頭においてユーラシア諸国が組んでいるって話なんだろうなと思う。

日経新聞では、原油安によって中国は安い原油を買うことができ万々歳みたいな書き方をしてるけど、かかってるのはもっと大きなものでしょう。しかしホントに日本の政治音痴ぶりはやがて身を亡ぼす勢いだ

China pledges to help Russia overcome economic hardships
http://rt.com/news/216563-china-russia-economic-hardships/
中国はロシアを支援する用意がある
http://japanese.ruvr.ru/2014_12_22/281588021/

 

あと、チャイナ、インド、トルコ、イランとロシアはそれぞれ現地通貨決済を決めているので、ここではドル需要、ユーロ需要はなくなったわけですね。この持続的効果がまた大きな話でしょう。

だからフローの話はいいとして、問題は投資資金の話、金利の話になるんでしょう。ロシアもそうだしこれら新興諸国が共通して対策したいのは、先進国がお金を刷ってそれを低利で世界中にばらまく、するとその金利に勝てないから外資を使ってしまう(無謀に刷らずともそもそも先進国の方が安定しているから金利が低い、しかし現状はそこを踏み越えてる)。しかしこのモデルは金融緩和してお金を刷りまくってバブルになったら世界中から引き上げる、ってのが仕組みだからそのたびに新興諸国はバブル破壊に付き合わされるとも言える。であれば、この流れに対抗しないと安定した成長モデルにならないだろう。ではどうするか、というのが現在でそのための機構改革が進められているんだろうな、と。

こんなの上手くいくわけないんだ、と先進国側はそう言うことになってるんだけど、でも、ドルを外すだけで大分この影響は避けられるのも間違いないわけで、見通しがまったく暗いって話でもないでしょう。

外国資本をどうコントロールするかの工夫も求められるんでしょう。それは利益を持っていかれるからというだけでなく、タイムフレームの問題。外国投資家は勝手なリターンを設定して投資してくるわけだからその時間軸に沿って自国の経済、自国のあり方を壊しちゃうのが本質的に問題なんじゃないですかね。だから、規制を導入するとは時間軸を外国人から取り戻すという哲学的意味もあるなぁとか思う。というか利息とは時間の貨幣化なんだよね。

だから、イランとロシアなんかがそうだけど、なんでもかんでも利息の付くお金に頼らず、限りなく物々交換的に決済する部分を増やす方向というのは、そんなこと考えてるかどうか知らないけど現状モデルへのカウンターだよな、とか思って私は楽しみにみてる。面白いよなぁ、みたいな。物々交換っていっても、イモと人参とかじゃなくて、あの人たちは原発と原油とかいうスケールでできる人たちなんだけど(笑)。

■ 交易民の復活?

つまりね、これらを考え合わせると、ぼんやりとしたものではあるが、思想の転換が誘発されているのではないのかって気がするのね。金融資本主義という、殆ど資本主義でさえないような状態から、本当に必要なのは財とサービス同士の交換なんだというある意味人類の暮らしの基本みたいなところを思い出し、併せて、この交換を融通するためのお金でありそれを担保するための利息だというのがお金の正しい位置づけだろう、みたいな発想にちょっとでも戻ろうって話。

これって大多数の日本人が1980年前後まで有していた発想。日本って、相当に the West じゃなかったし、今もかなり違ってるのにだんだん一緒になってきてる、というのが私の考え。

どのぐらい成功していくのかまぁわからないけど、でも、株式市場、ゴールド、商品市場等々と実体経済の乖離が誰の目にも明らかになってきている現在、こっちの側のつまりお金>交易の仕組みはとりあえずまたクラッシュするんだろうことは間違いないでしょう。それをどのぐらい抑制的にできるかは別問題として。

乖離の象徴例として、アップル1社の市場価格とロシア証券取引所の全銘柄の総体がほぼ同じになったという話が出回ってた。こうなっちゃうのが現在の極めて恣意的に運用されている、もはや資本主義でさえないメカニズムで、思うに、いわゆる金融資本といわれる人たちの中にも、現状はもうアカンと思ってる人たちだっているんだと思う。俺らはもっと普通に資本主義をやりたいんだ、と。だから、現在の大きなシフトは単にロシアのプーチンが強気だとかいう話で進んでるわけではない、と思う。

■ ロシアのユーラシアシフト

そうこう考えてくると、今年一番大きかった出来事はこれではなかろうか。

グレートゲーム v.2.2:NATO、イランとロシアにカスピ海から締め出される

これで、イランとロシアががっちり手を握ることになったので、アゼルバイジャン、トルクメニスタン、そしてカザフスタンというNATO諸国が狙っていた国を好きにいじれなくなったんじゃないかと思うのよね。あと、グルジアがロシアに一歩近づいているのもこの余波でしょう。

このへんは文明史的に曖昧でかつ古いので、大事に行ってもらいたい。

で、こっちが団結するのは基本的にはチャイナにとってはマイナスな面もあるんだろうけど、でも、太平洋側からインド洋側のシーレーンを日米+インド+オーストラリアと争う局面があるとすれば内陸側を安定化させるのは急務だし、長期的利益になるのでいいんだろうなと思う。(日本はロシアをチャイナに追いやることで、この動きをアシスト!)

さらに、その一か月ぐらい前、プーチンとモンゴルのエルベグドルジ大統領が会談していたのも重要だったかと思う。表向きはノモンハンから75年の式典出席、会談の内容もビザ免除合意、パイプライン交渉開始みたいな重要なのか重要でないのかわからない訪問だった。しかしこれはつまりアメリカ(+日本でしょうね)によるモンゴルへのアプローチを振り払ったという意味だったんじゃないのかなと思ってる。その後すぐ中国もモンゴル訪問してた。

(別系統には違いないはずだがなんかとっても親戚くさい2人だと思った。)

海洋勢力としてはモンゴルを取り込んで極東ロシアの不安定化を画策していたのではなかろうかと想像する。関東軍かあんたら、みたいな気もするけど(笑)。

いや、こういう試みのすべてが悪いとは言わないですよ。でもね、不安定化を画策するという動機に対して付いてくるその結果は20年後、50年後の日本にとって良いのかどうか、ちゃんと考えてからやってくださいね、とは思う。

そういうわけで、なんだかロシアのユーラシアシフトというのは、各地域の古い帝国を呼び起こすみたいな行動にも見える。ロシアとチャイナとモンゴルが揃うと、これ全部でモンゴル帝国+周辺諸民族になるんだよね。ソ連の復活とか言ってる場合じゃないだすよ。

 

こうなってくると、日本はアイデンティティーに苦しむシナリオが見えてくるなぁと結構憂鬱。


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