DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

宴の始末-II (3):国連安保理、シリア制裁決議案否決

2017-03-01 07:59:52 | 欧州情勢複雑怪奇

週末お出かけしていたのですっかりブログをほっぽっていたら、たくさんコメントがあってちょっと驚き。なんで、ってまぁ安倍ぽんのことなわけですが、特に有意に思えないものをずらずらとコメント欄に入れるのも嫌なので、丁寧に書いてくださった方もいらしたので申し訳ないですが、3日分全部開示しません。

と、安倍ぽん問題は後で考えるとして、シリアがらみでは、安保理にシリア政府と若干名に化学兵器使用を理由として制裁を課すべし、と米英仏が提案して、それを中国とロシアが反対するという決議が行われていた。

シリア制裁決議案否決=中ロが拒否権行使-国連安保理
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017030100194&g=isk

 【ニューヨーク時事】国連安保理は28日、シリアでの化学兵器使用に関与した個人・団体に制裁を科す米英仏主導の決議案を採決したが、中ロの拒否権行使で否決された。欧米主導のシリア決議案がロシアの拒否権行使で否決されるのは7回目で、安保理の分裂を改めて露呈した。

化学兵器については、既にこの間何度も、それはシリア政府軍じゃなくてトルコとIS(またはその類似の団体)だろう、とジャーナリスト他が指摘しているし、そもそもあのタイミングでシリア政府軍がそんなことをする理由がない、とも当時から指摘されている話だが、しつこく食い下がる米英仏。

で、この決議に際して、しかし奇妙な文を見て苦笑してしまった。

 ヘイリー米国連大使は否決後、「中国とロシアは言語道断の選択をした」と名指しで批判。「理事国が自国民を殺害する国を擁護する時、世界はより危険な場所になる」と強調した。

米大使がそう言ったのだそうだが、自国民をビルに閉じ込めてビルの爆破解体を行った国があったような気がするのだがそれはどうなるのだろうか。よく言うよ、ってところですね。

ただ、国連に持ち込んで騒ぐというのは、オバマ政権よりはだいぶマシになったと言えるのかもしれないと一応指摘してみたい。オバマ政権は、何の証拠もなく、反論機会もなく、勝手にロシアが犯罪者と米政府が指定してひたらす制裁を課してきた。これは一国で国連のつもり、という状態。

ここから考えれば、会議に持って行って当然そうなるだろう否決を現実化するというのはオバマ路線とは異なると一応言えるかもしれない。

プーチンは、以前に、予想される通り、この決議は不適切なもので、停戦のプロセスを損なうだけだ、と反対の言を表明していた。

その意味で、時事はこれを「安保理の分裂を改めて露呈した」と書いているが、むしろ、5つの国はオバマ時代よりも協調的だと言えるかも。

一方、現地シリアの方の停戦の枠組みはとりあえずまだ壊れてない。ロシア、イラン、トルコの関係にこの件に関してヒビは入ってないってこと。1週間後にはトルコのエルドアン大統領がモスクワに行くみたいなのでそこも注目されている。

しかし、これを見てアメリカは中東から手を引くのだ、みたいなことを言うのは間違いでしょう。問題はアメリカ一国じゃなくてthe Westなる集団ですから。この集団が中東から手を引くなんてことはthe Westが解体されない限りあり得ないでしょう。

West勢は単純に巻き返す手段がないのでもたついているともいえるけど、ネオコン/トロキストの一極支配カルトが死んだわけではないので、まだまだ油断はできない。

その間、中露としたらこいつらが帰ってきてもひっくり返すのは大変だ、というところまで現地秩序を作っていくことが肝要。従ってそれはイラン、ロシア、中国+パキスタンあたりの連携を壊さないことだ、さぁ上海協力機構がんばろう、南北回廊大事だな、って感じでしょうね。

シリア問題って、要するに中枠でみればイラン問題、大枠でみればユーラシアvs海から攻める連合のゲームだから、イランを地域のパワーにしているロシアの態度をイランに対する疑義に向かわせるようなことをしてくるんじゃないか、と想像する。

西側の対露プロパガンダの枠組みとしては、ロシアにアサド+イランを取るのか、米+トルコを取るのか、みたいな向かい方をさせて、ロシアを孤立させようとする。

それに対してロシアは、ロシア、中国、イランの関係は強固であると応じる、と。要するに、西側の目先の目的は中露離反で、最終的にはロシアを跪かせるという飽くなき妄想。

今回、プーチン政権がカザフスタンの首都アスタナをシリア問題解決のための話し合いの場としてカザフに提供してもらったのは、西側がカザフスタンをひっかけて引っこ抜こうとしていることに対する答えでもあるでしょう。我々は中央アジアへの西側勢力の侵入をこれ以上許すつもりはない、ということ。

 

で、まぁ、なんてか、要するに問題はあいかわらず「宴の始末」。一極支配妄想の果てに、自ら積極的に一部のムスリム勢力を使って「テロリスト」または傭兵集団を作って各地を荒らしまわっているその戦法を、西側さんはいつまで続けるんですか、というお話。

 

宴の始末-II (2): 「反政府勢力」と言ってもねぇとNHKが言い出す

トランプ大統領就任。でもまぁSCO&南北回廊も元気よ


 

シベリア出兵 - 近代日本の忘れられた七年戦争 (中公新書)
麻田 雅文
中央公論新社

 

平和の失速〈1〉―大正時代とシベリア出兵 (文春文庫)
児島 襄
文藝春秋

 


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ★どうやったら「問題だ」とな... | トップ | アジアシフトはできるのか »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
『中ソ対立の教訓』 (ローレライ)
2017-03-01 14:05:41
『中ソ対立の教訓』は『西側の撒き餌切れ』。だから『太陽政策』はNATOにできない。
返信する
餌がないから脅す (ブログ主)
2017-03-01 15:07:00
NATOって外からの侵略者チームだし、ビジネスモデルはステルスで入り込んで中間利益を抜くというやつだから、そもそも餌がないともいいますよね。プロパガンダと偽の信用以外。

まぁ資源大国、人口大国をどうやって操れるのか見ものといえば見もの。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

欧州情勢複雑怪奇」カテゴリの最新記事