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考える自由と表現の自由

2018-03-04 16:31:51 | アジア情勢複雑怪奇

Eric ZUESSEのナチ込みのウクライナを支持しているアメリカを批判する記事がゼロヘッジに出ていたのだが、その記事につけられていた画像が秀逸。

Zuesse: America's News Media Foment Hate

https://www.zerohedge.com/news/2018-03-03/zuesse-americas-news-media-foment-hate

 

あなたは言われたことを書く、と。背景に盛り込まれているのはCNN、NBC、abc等々のいわゆるコーポレットメディア。主流メディアといわれるそれ。

 

要するにアメリカ人たちは、このようなコーポレットメディアが配信するニュースが言う通りのことをオウム返しに語り、かつ、それに誘導されたヘイトを誰かに向ける、だから、あなたがた(コーポレットメディア)抜きでは我々は一般人をコントロールできません、と。

これは、私が10年ぐらい前に達した結論と同じだわ、と思った。

前にも書いたけど私がアメリカに住んでる頃いろいろ驚いたことがあるんだけど、その中で特筆すべきは、アメリカのことではなくて、大量に移民してきていた旧ソ連圏の人たちとの出会いで、わけても、概していえばその人たちの頭は快調だと思ったことだったかもしれない。

それに対して、アメリカとかカナダに生まれ育った人たちときたら、他者から見たらお前は何を言っているんだ状態のことをマジで信じてる、と思った。つまり、アメリカやらカナダ(というより英)は、なにかとても優れていると頭っから信じてる。そして、みんなこうなりたいはずだとも信じてる。さらに、自分たちは世界のためになることをしているとも信じてる。簡単にいえば、オバマが自分で言いきったように、we are exceptional(我々は特別だ)という考えですね。で、それを雄弁に語りに語る。我々はfreedome of speech(言論の自由)の国なのだ、と。

 

と、私はそのように違いを観察したわけで、それを通して私は次のようなフォーミュラに妥当性があるのではないかと思った。

ソ連圏には、考える自由はあったが、表現の自由がなかった

アメリカ圏には、考える自由はないが、表現の自由がある

ある、ない、というのは大ざっぱな言い方だし、あくまで議論のために諸々を捨象していえば、という話ですが。

表現の自由というのは、外で、どこか目立つところで自分以外の誰かに語るということができる、ということで、ソ連圏や中国などはそれが相対的に可能でない(と西側が判断した)ことによって、彼らには言論の自由はないのだ、と言っている。

しかし、それでは話は半端ではないのか、と思ったことから、上のようなフォーミュラに至った、と。その前に考えてみる自由もあるだろう、と。

 

ソ連圏とは要するにロシア帝国とその周辺だったわけだけど、帝国というのは異民族を多数従えているから帝国なわけで、だから結論というよりその前提として、全員同じ考えをナチュラルに持つということをまず信じていない。しかし統治しないとならない。だから、政治的に重要な時期(例えば戦争時代)や反逆を呼び込むようなものでない限り、概していえば要路にいない一般人が何を考えていようが関知しない。その代りに、反逆を呼び込むようなことをした人を見せしめ的に厳しく処断するし、エリート階層の考えの範囲に関しては厳しく、派閥闘争も盛ん。ソ連圏もこの例にもれなかったって感じだろうな、と思ったし、今の中国も同様だと思う。

それに対して、アメリカ型は一般人の頭の中に手をつっこんで来る。これは一体どうしたことかと思うに、これはつまり、始終選挙を行うことも一つの原因だろうと思った。選挙をして特定の方向性を決定していくのが建前だから、選挙民にはどうしてもその考えなり方針なりを支持してもらわないとならない。しかし、選挙民は細かいことまで理解できる人ばかりではない。するとどうしても、簡略化したくなる。また、合理的かつ冷静かつ道徳的な議論では間に合わないこともある。本当を言えば危機でもないが戦争やら他国への介入を正当化する必要性などはこの代表例だろう。

介入だらけの人生だったUS

介入だらけの人生だったUS (2)・1994年の日本関連記事

そう。グローバル支配の追及のためにまんべんなくどの時代も他国への介入を続けていたことを考えれば、それを正当化していく必要があったわけで、そうであれば、その支持は合理的かつ冷静かつ道徳的な議論の中で得ることは難しかったでしょう。すなわち、メディアを通した洗脳を繰り返すしかなかった。

 

その様子を、生まれた時からそこに浸っていない人間(例えば私)から見ると、アメリカ人はへんだ、となる。世界地図もよくわからない、どこにどんな国があるのかもしらない人が、その遠い国の、自分ではどこにあるのかもしれない、どんな隣国関係があるのかもしれない国の指導者をなぜだか断定的に決しているその発想がまずおかしいだろうと私は思うのだったが、それを私の意見として主張するのがアメリカ人(表現の自由)。

その一端はウクライナ危機でいかんなく発揮され、今に続く。ウクライナは全体としてみればロシアだ、というのは妥当な見解のみならず、つい30年前にはそんなことに疑問を持つ人さえいなかっただろう話なのだが、それに気づかない人々が、ウクライナにロシア人がいる! ロシア人はウクライナから出て行け!と言って怒ってみたりするこの滑稽さをどうしたらいいだろう。

また、ウクライナという国とロシア連邦は別の国となったとしても、長い陸上国境を通して隣接していることに変わりはないわけで、そうであればロシア連邦がウクライナの体制に関心を持つのは当然だ、これは、カナダとアメリカの関係を考えたらわかるだろうと多少は知恵(または意識?)のあるアメリカ人がここ4年間懸命に奮闘しているものの、これが聞き分けられたかどうかは今でも相当あやしい。

シリアの子供の一枚の写真を見て、アサドは酷い人!と結論づけてしまうのはこのシステムの極北といった趣だし、中国共産党のリーダーの任期が潜在的に終身と聞くと基地外みたいに騒ぐのに、アラブの王様の蛮行にはまったく関心が向かないのもこのシステムならでしょう。

 

■ まぁ過渡期ということで

で、この先どうなるのかわかりませんが、一つだけ言えるのは、G7あたりの国家群が自分たちをさも完成した民主主義国家だと言い募るのは勝手だけど、これらの国家群がよりかかるアメリカ型のシステムをこのまま続けると、このシステム下の国家群には個々人に対するメディアを通した洗脳の継続以外の道はない、という結論を呼び込むことになるのだが、これは果たして明るい展望だろうか、ということ。

また、よく考えればわかる通り、そこに洗脳があるのなら、洗脳している人たちがいるわけで、これは一体誰なのかというのが実際非常な問題なのだが、現行のシステムはシステム内の不具合には目はいくが、システムそのものに目が行くことはないので、この問題は無視される。

これは果たして民主主義というべきなのか? いやその前に、果たして永続できるんだろうか?

と、遠まわしに言ってますが、どう考えても各国の人々を利口にはしない仕組みになってますがな、と私は思う。

誤解のないよう書いておくけど、すべての国がロシアや中国を見習えなどと言っているのでは無論ない。これはこれで問題もあるんだろうが、それはその人々が考える問題だし、そして第一、すべての国があんなに多数の民族を包含しているわけではないのであんな形でフィットできる国はそう多くはない。

そうではなくて、国の体制、国体、あるいはアイデンティティ、ものの考え方、隣国との関係というのはそれぞれの地域によって異なり、かつ、発展の段階もそれぞれだ、ただそれだけだということ。

まずそれを認めるというのが大事じゃないでしょうか。これがつまり、プーチンが何度も言っている、ロシアは各国と相互に利益のある対等の関係を結びたいと思っている、という話でしょ。

そして、プーチンが何か言うたび狂ったようにまず非難、まず否定という姿勢を取るアメリカのメディアは、プーチンが投げてくる提案そのもの-それぞれ独自の我々は相互に尊重しあうべき-が許せないということなのだろうと思う。

つまり、彼らに考える自由はないということ。しかし世界中の主流メディアを抑えているし、お金もあるから、ひたすら表現の自由だけはある。

いつまで続くものやら。


  

 


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2 コメント

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表現の自由はありません (私は黙らない)
2018-03-06 08:06:55
ブログ主さんが北米にいらっしゃったのがいつなのか存じあげませんが、今のアメリカに表現の自由は全くありません。私の住む地域は政治的に真っ青ですが、このリベラルによる言論統制は、おそらく日本の方が想像する以上に徹底しています。まして、今や言論監視当局にIT企業が加担しているので、ネット内の言論も逐一監視されていると思うと、本当に息が詰まりそうです。(だから、私もアメリカベースの政治サイトには絶対行かない。怖くていけない。だから日本のサイトで情報を得るという回り道をわざわざしている。日本のサイトだから監視対対象外という事は全くないのだけれど、気休めかな。)
ただ、考える自由は、あると思います。違いは洗脳されるか、されないかだと思います。メディアを通じた洗脳にかかった人が大多数でしょうが、洗脳にかかっていないアメリカ人もいると思います。ただ、現実の世界で声をあげられないだけだと思います。
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「ソ連より酷い」 (ブログ主)
2018-03-06 17:13:08
私は黙らないさん、

状況報告ありがとうございます。
去年あたりネット上で言われてい、現在のアメリカは情報、発言の自由に関して「ソ連より酷い」という状況ですね。

考える自由を捨てなかった&新たに獲得した人々がアメリカに多数いることは、人類にとって明るい展望だな、とか思ってます。
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