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国軍がわからない保守って何?

2015-05-31 23:38:56 | 太平洋情勢乱雑怪奇

小泉純一郎氏は自民党をぶっ壊すといい確かに壊した。安倍晋三という人は、日本を取り戻すといいながら、(誰かが)日本を取り戻すんだろうか、など思う今日この頃。

前から書いてるけど、安倍ちゃん&その仲間の人たちは、「保守派」を使って、保守的な層、つまり日本の岩盤をぶち壊すというのが作戦なんだろうな、とか思ってた。いかにも国士みたいなことを言いながら、シティーだのウォールストリートでの演説のみならず実行している政策を見れば、なんてか単なるグローバリストですやん、だから。

で、志位さんの5月27日、28日の安保法制に関する質疑を見て、私は尚その感を強くした。でもって、率直にいって、頭を抱えて、今も抱えてる。2日間ちょっと考え込んでしまった。

戦争法案 志位委員長の質問(5/27)
https://www.youtube.com/watch?v=0AxtxAeVc3c

戦争法案 志位委員長の質問(5/28)
https://www.youtube.com/watch?v=x8wM9L2lUp0

■ 国軍を国軍たらしめるエートスは強い

率直にいって、志位さんの演説はですね、保守派が詰問すべき内容そのものだろう、というのが私の考えですね。

なぜか。

氏の演説は全編これでもかと、我々の国軍を仇やおろそかにするとは何事かと言っているようにしか聞こえない。それに対して政府は、むしろその国軍を、誰といつどこで、どういう大義で戦うのかわからない外征に送り出そうとしている。

国軍とは、日本人による日本を守るための集団、つまりそれが皇軍だろうが自衛隊だろうが、それって国軍だ。

特に、2日目5月28日の分の最後の最後のまとめは、もうね、よみがえる皇軍的趣があるよなぁとさえ思ったっす。それを共産党の党首から聞くってどうなのよと頭がくらくらする。ただ志位和夫氏のおじいさんは陸軍中将、伯父さんは終戦時の参謀だった(その後ソ連のスパイだったにせよ)というから、血中陸軍濃度が高いとしても不思議ではないんだなとは思う。、

志位 私は、こんな外交姿勢でいいのかということを聞いたんだけれども、反省がありません。こういう究極のアメリカ従属の政府が、集団的自衛権を発動し、アメリカとともに海外での戦争に踏み出すことがいかに危険か。

第二の「トンキン湾事件」、第二の「大量破壊兵器」問題が起こった時に、あなたがたは、これまでもそうだったように、米国政府の発表をおうむ返しにし、無条件で支持し、協力することになるでしょう。

ただし、ベトナム戦争のさいには、日本の協力は、在日米軍基地の使用にとどまりました。イラク戦争のさいには、自衛隊を派兵しましたが、「非戦闘地域」での支援にとどまりました。しかしこの法案が通れば、根本的に事態は変わってきます。米国の無法な戦争に、自衛隊が武力行使をもって参戦することになります。日本が侵略国の仲間入りをすることになるわけでありまして、その危険性ははかりしれないといわなければなりません。

太字は私ね。で、この文の最後が、その危険性という抽象的な文言になっているのは、志位氏のフレームが9条護持だからでしょう。しかし、それを取っ払うなら、氏の論旨はこう書き換えられる。

米国の無法な戦争に、我が国軍が参戦すれば、我が軍は侵略軍の汚名を着せられることになるのです。政府はその心配はないとおっしゃる。しかし、ただいま述べました通り、政府は、ただの一度も米国の度重なる戦争に反旗はおろか、異議さえ申し述べたことがないのであります。

そのような政府のいうことが、なんで信じられましょう。政府は、我が国軍を一体なんとお考えなのか。

これは笑いごとではなくて、いや本当に、保守であるならば、国軍の不名誉を思えば、現在のような政府の態度を改めない限り出兵など以ての他と言うべきなんですよ。

なんとなれば、国軍こそ我らが最後の砦というのが民族国家のある種のエートスなわけで、その最後の砦を外国政府に預けるがごとき処遇が現在取られようとしているのなら、国民たるもの普通は反対するんじゃなかろうか。

いろんな国で、政府機構が壊れても国軍への信頼は失われていないというケースがあるでしょ。あれはnationとして道義的にとても正しい発露なんだろうと思うわけです。

■ 兵站がわらからない奴は戦争を語るな

次、というか、その前日の分では、後方支援なる語は日本国内でだけ通じてる語で、法案が想定しているのはlogistics、兵站であり、兵站は戦争にとって不可欠であると志位さんが論証し、これに対して安倍ちゃんは、妙な言いかえしをする。

おっしゃる通り兵站というのは重要ですよ。だからこそ、安全が確保しなければいけない。兵站の安全が確保できないような場所であれば作戦行動は成り立たない。兵站の安全が確保されている場所において、後方支援をするわけであります・・・

という具合に、延々わけのわからないことを語っていた。

2チャンネルにスレが立ってた。

志位「後方支援=兵站=軍事行動なんだが?」←これに対する安倍ぴょんの回答が凄すぎると話題
http://fox.2ch.net/test/read.cgi/poverty/1432809850/

もうね、アホかとあきれるというより、兵站軽視は今に生きる日本の伝統なのかと冗談でも言うしかないなという趣でございました。

いやしかし、帝国陸軍だって兵站は重視していたわけで、だからこそ蒋介石援助のルートを切ろうとしたんでしょ。あれは安倍ちゃん的には何なの? ある意味、英米仏は戦闘地域外から物資を入れてるんだから、これこそ安倍ちゃんが望む「後方支援」に近いかもしれない何者かなんだけど、陸軍はそれを妨害しようと奮闘してますが、これは安倍ちゃん的には何なの?

つか、戦争って、兵站というネットワークの中のごく一部で戦闘が発生すると書いた方が適切な行動だと思う。だから、どちらかの側に入っている限り、後方も前方もないし、安全地帯などない。安全地帯だぜ~とかいってる部隊は弱い部分だから、むしろ真っ先に狙われる。

あと、停戦したらすぐに安全になると思ってる節も見られた。ウクライナに恰好のサンプルがありますので、停戦後にどのぐらい揉めてるから見てください、是非。停戦はだます側にとっては休憩で、戦力立て直しのために使われたりするしね。

■ 国外派兵のたびに同じことをしている気がする

総じていえば、安倍ちゃんという人は、

戦争がわからないのに外征部隊にあこがれ、憲法の作りさえ理解してないのに憲法改正を訴え、戦後レジームからの脱却を言うのに戦後レジームの開始地点であるポツダム宣言について見識があるわけでもない。

なぜこのようにチャランポランなのかと疑念を持つなという方が無理な事態だが、思えば、こういう威勢のいいことを言って、慎重派(つまりその時々の保守的な人々)を駆逐するというのは、これこそ近代日本の様式なのかという気もする。考えてみれば明治維新もそうだ。幕臣の方がずっと賢く、調和を考えていた。

そしてその維新の元勲ではあるのだが山県有朋は1917年のロシアにおける革命を機として行われたいわゆるシベリア出兵(またはロシア内戦に対する干渉戦争)に際して、かなりの慎重派だった。一方で、田中義一などは、日本海を内海にすることこそ国防だからこれは沿海州を取るチャンスだと発想し、プランとしてはシベリアに日本にとって好意的な政権、ありていにいって傀儡を作りたかった。山県はこれにも反対する。しかし結局は政局がらみとなって、誰がどんなプランだったのかよくわからないまま出兵し、足掛け4年、巨額の戦費を遣ったものの何も得ることなく撤退。

そこから10年もたたないうちに、今度は満州事変。満州をどうするのかについていくつかのグループがあったが、今度は遂行グループはこれを秘密裏に行ってしまうので、慎重派は後処理にしか関与できなくなる。

と、このように並べて来た時、現在は近代4回目の国外に軍を出したくて仕方がないムードの時なのではなかろうかと思う。

前回3回目までで思うのは、出す際に我が方の行動に対しどういうリアクションが発生するのか、どういう結果が想定されるのか、その結果は日本にとって望ましいのかについて国内に熟議があったとは思えないことがまず非常に特徴的。3回目なんか謀略なので当事者以外わかるわけもない。最終的に、なんかトクだ、と希望的観測の下にそう判断して突っ走る傾向があるように思う。

思うに、他の先進国だったらせめてこのぐらいの過去の事例(せいぜい100年間の歴史なんだから)を参照した上で我が国はどうするべきかを語る人が多少は出てきてもいいんじゃないかと思う。

 


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シベリア出兵の史的研究 (岩波現代文庫)
細谷 千博
岩波書店

 


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