12月8日は、日本にとっては重要な日だというのに、その日に長距離巡航ミサイル導入を決定して、中露との戦争に向けてまた一歩を踏み出した日本でございました。
桜井さんの昨日の記事。ほとんど同意できる記事。私としては、ウクライナ危機でウクライナ側に加担した時から、中露と戦争するフォーメーションに入る確率を上げたなと思っているので驚きは特にない。
日本政府が長距離巡航ミサイルを導入するのは米国の戦争マシーンの一部として中露と戦争する準備
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201712080001/
アメリカ軍は日本列島を中国への軍事侵攻を行うための「巨大空母」と認識、それを首相時代の中曽根康弘が口にしている。アメリカが沖縄を軍事基地化した1950年代、アメリカ軍ではソ連や中国に対する先制核攻撃計画が動き始めた。「核の傘」とは先制核攻撃の拠点になることを意味する。
で、日本の現状については、去年プーチンが来る直前の元インドの外交官M.K. Bhadrakumarさんのまとめが今も有効って気がする。
G7のメンバーとして日本は、ロシアに対する経済制裁を維持すると断言している。しかしそれにも拘らず、ロシアとの経済的な結びつきはロシアにとってのみならず日本のためにもなるのだ、と言う。
安倍の発言は日本のジレンマをよく表している。日本は米国との同盟を破棄するようなことはできないし、クリル諸島の支配圏を再び取り戻すという夢を捨てることもできない。
しかし、日本は地域で孤立感を感じており、さらに、中国が積極的、断定的になって、そこがロシアとの関係正常化を非常に上手く使っていくだろうことを気にしてる。ロシアは、アジア太平洋地区の「バランサー」になることを志向する眠れるプレーヤーだ。
モスクワはしかし、別の見方をしている。ロシア国防相の副大臣Anatoly Antonovは最近、駐ロシアの日本の大使に、アジア太平洋地域に米国がミサイルシールドを配備し、日本がこのプロセスに参加していることをロシアは懸念していると伝えている。
マトヴィエンコ上院議長訪日と東アジア版NATO
日本は米軍と日本の官僚の複合体が「主人」の国ですので、軍の意向が方針を決定し、ついにはイージスアショアという攻撃兵器に容易に変更できる代物を北朝鮮問題をきっかけに導入し、最終的には今回の長距離巡航ミサイルだけでなく、ミサイル開発競争に乗り出す覚悟のようにみえる。
日本政府が導入を決めた地上配備型イージスシステム「イージス・アショア」は韓国へ持ち込まれているTHAAD(終末高高度地域防衛)と同様、攻撃兵器へ容易に変更できる代物。韓国政府が導入に反対した理由のひとつだ。そうした反対の声を封じる上で朝鮮のミサイル発射や核兵器開発の果たした役割は大きい。旧ソ連圏を含むヨーロッパ各地にアメリカ軍/NATO軍が配備してきたミサイルと目的は同じだ。
アントーノフさんの懸念の通りに推移したということですね。ということは、ロシア国防省は日本の動きを受けて、これまでは潜在的だったプランなりを本格的に始動するということもあり得るでしょうね。これまでは、日本は潜在的には実はアメリカの基地だったと誰でも知ってるのだとしても、国家意思としてかなりそれに抵抗してきた(これが9条護持の究極的な意味)。しかし、それを事実上取っ払ったのだから、中国およびロシアは、正式にそれに対抗する手段を構築するだろうし、そうしなければ国防を任せられた彼らの側の落ち度となるでしょう。
で、それで一体日本にとって何かいいことがあるのかという話なのだが、ないでしょう(笑)。ミサイル戦争において日本は地理的、位置的に非常に不利。まして、中露が一緒になった体制でこれを迎えるというのは、思えば第二次世界大戦以来。しかし、中露の充実ぐあいとミサイルという手段を主体とした戦争のフォーマットとして考えると、日本開闢以来初めての状況を迎えているといっても過言でないような気もする。It's New!!
また、日本を使ってる側にとって、日本はただの基地扱いですし、米というか西側の内陸攻めにとって日本は空母なわけですから、そこに住む日本人の生活とか今後が考慮されることは、基地の機能の安全を考慮することの延長で考慮される、ぐらいでしょうね。
であれば普通は、そこの国民が反対しそうなものですが、日本ではほぼ抵抗がない。
いやしかし、実際問題こんな話を解決できないからこうなったわけですからね。なんという高いツケでしょう。
で、この障害は何かというと、要するに、アメリカと日本と一部南朝鮮が北朝鮮を承認したくない、ただこれだけではなかろうか?
なんでこんな簡単なことを公明正大に言わないんでしょう。不思議で仕方がない。
朝鮮・トルコ、渤海湾・黒海と「不可欠」
■ はじまる前から感想戦
何度考えてもそこだと思うチャンスはやはり2014年5月。もう一つはその翌年の安保法制でもめた国会。あれで安倍を倒して、一回ブレーキをかけられれば、日本には日本人のための政府があるという話になったでしょう。しかしそうはならなかった。
ではこの先どうなるのか。日本列島に住まいする日本人のための日本政府が存在しないも同然なんだから、そりゃもう、成り行きは親方任せとしか言いようがないのでは?
冗談で書いているわけではなくて、防衛省という一つの役所の長が、国民に問うこともなく着々と、中露との戦争準備をしているのに、誰も懸念の声をあげることすらないんだから、事実上我が国には国民が関与した国防方針はないと言ったも同然でしょう。
したがって、私たちはまともに考えるなら、信頼できる政府さえない、実にまったく寄る辺ない民になってます。
■ 過度の予定調和願望
どうしてこうなったのかを考えるに、大方の日本人の中に根強くある予定調和願望が結構なキーかもなと思ったりもする。
最近の例としては、北朝鮮と米軍は組んでいるとか、できている、八百長だみたいな考え方。
これは半分か1/3かはともかく、いくらかは当たっていると私も考えています。しかし、一方で、北朝鮮という国家が実存的危機にあることもまた事実。
つまりどういうことかとうと、八百長は双方が信頼しあっていなければ成り立たないということ。そして、アメリカというシステムは、到底信頼に足る相手ではないということ。これが重要でしょう。
フセインもそうだし、リビアのガーダッフィ―もそうだけど、いったん調和的な体制になるとか、かつて見方だった人たちが結局殺され、国を壊されて来た。つまり、彼らとの交渉は、一時的な和解で終わってはいけないもの。一時的な便宜の供与で終われないもの。
だから、北朝鮮がかつて、あるいは現在、米または米韓日のいずれかと「組んで」いた証拠があろうとも、それをもって、だから話は出来ているのだと読むことはできない。
ということで、北朝鮮の問題を、どうせ出来レースなんだろう、みたいに捉えることは実に危険なのだが、どうもリベラル側の人たちにこの傾向が非常に強くみられる。
安倍ちゃん応援団が、戦争万歳、日本は座して死をまたない~~! みたいな無鉄砲が揃う一方で、リベラル側が、どうせ安倍ちゃんと金はつーかーなんだろ、みたいな感じでいるとしたら、日本国には真面目にこの状況を戦争に至らせないで終わらせるにはどうしたらいいかを考える勢力がいないということです。
■ 自己完結して閉じこもる
さらに悪いのは、リバイバルしたようなずっとあったようなある種の思考方法。
どれだけ客観的状況としてこうで、我が国政府の対応はこうでといった記事の断片があったとしても、真面目に考えようとする人は多くないのみならず、前回の戦争時代からずっと同じ傾向として、自国内の意見を固めることには熱心だが、相手がどう考えるのかを考えようとしてない、または考えても無視してかまわないと考える一種の思考習慣が根強くある。
例えば、北朝鮮から見ればこうでしょ、ロシアからすればこうでしょ、という言説を前にすると、お前は北のシンパか、みたいになっちゃう思考習慣のこと。
自分がこうでたら、相手はこう来る、では次に自分はどうなのか、といったことを考えずに突っ走ったのが前回の戦争シリーズだったという反省は、90年代までの書物には繰り返し書かれていたと思うのだが、最近また悪い昔に戻っていった。
で、どこかでこれを覆せるのだろうか?
前回の経過から考えれば、破局的イベントが来ないと変わらないということなんだろうが、そんなリスクの高い方法しか残されていないのだろうか。しかし、ではどうするのかといえば、これは結局この貧しい言論空間を変えて、そこから影響していくというのが最も妥当なんだろうけど、これこそ日本の苦手という感じはひとしお。
というところで、大変なことになってるなとしか言いようがない、敗戦後76回目の12月8日だった。
コメントにも成らないのですが、国労潰しの中曽根
辺りから,社会党潰し、「小沢が耕し小泉が種をまき
安倍が収穫」の流れです。
一体全体日本でいろいろニュース見ている人って、どんな意味を読んでいるんでしょうね。自分たちだけは特別だ、という思いが意味の読解を阻止しているのかしら?
simpleさん、
「小沢が耕し小泉が種をまき安倍が収穫」
まさにこれですね。これから使わせていただこうと思います。
弾道ミサイルの迎撃率が米軍公表値通り(米の公表値は眉唾だがとりあえず置いておくとして)としても、SM-3の命中率は弾道ミサイルをヘッドオンで捉えられる射軸線上の最適ポイントに配備されたときに最大化され、軸線上のコースから逸れた途端にガクンと下がる。秋田と山口の配備では最大の人口集積地である首都圏・京阪神圏が狙われた場合に迎撃はほとんど期待出来ない。イージスアシュアを導入するなら弾道コース上の新潟県の柏崎と福井県の敦賀に配備するのが最も合理的で、首都圏と京阪神、それに柏崎と敦賀の原発を防護することができる。
これ重要。だって、日本政府は米軍の先制攻撃を支持する立場だろう。仮に全面核戦争じゃない制限戦争の攻撃オプション(スタンドオフミサイル等でICBMの固定発射台や核施設、斬首作戦などを実行し、制限戦争に留めるプラン)があるとするなら、北朝鮮からは日本の原発が報復攻撃されるに決まっている(制限戦争で米が核施設を攻撃すれば、対称的に北朝鮮は日本の核施設を狙って報復攻撃する)。
指揮権が発動された時に自衛隊はちゃんと仕事をするのか?