小野寺防衛大臣が、グアムが攻撃されればそれは日本の存立危機にあたるから自衛隊の参戦可能かもななどと言っているそうだ。米国を守るための日本という線がいよいよあられもなくたち現れるといった趣。
一方、アメリカが主たるメンバーであるNATOの方は、米国の太平洋の基地は(今回の場合はグアムを念頭に言っていると思うが)、NATOの条約規定第5条のいわゆる自動参戦条項の適用外と言っている。
NATO comments on North Korea’s possible attack on US Pacific base
どうしてかというと、自動参戦の適用範囲は6条に定められていて、その範囲は「欧州もしくは北アメリカの領土、または同条約締結国の領土で北回帰線以北のもの」という定めがあるからだそうだ。
The NATO source added that "Article 6 of the Washington Treaty defines the geographical scope of Article 5 primarily as ‘territory of any of the Parties in Europe or North America’ or ‘islands under the jurisdiction of any of the Parties in the North Atlantic Area north of the Tropic of Cancer." "Invoking Article 5 is ultimately a political decision," the NATO official added.
ただし、多分個別の事案で検討すればこの限りではない、という話にはなるでしょうが、いちおう自動参戦義務はない、と本体が確認。
そして、欧州の主要国たるドイツのメルケル首相は、北朝鮮問題について軍事ではこの紛争を解決できないと発言。あちこちで報道されている。
German chancellor says no military solution to North Korean issue
で、ドイツのDW紙では、それに続いてロシアのラブロフが対話を呼びかけていることに触れ、その上で、ラブロフが、北朝鮮の緊張を緩和するためのロシア・中国の共同提案に米国、北朝鮮が合意するよう求めている。そのプランによれば、北朝鮮はミサイルテストを止め、米国と韓国は大規模な軍事演習を停止する、と紹介している。簡潔だがちゃんとした記事で、英米グループの記事と違うという点に注目。
Lavrov also urged the US and North Korea to agree to a joint Russian-Chinese plan to de-escalate tensions. Under the plan, North Korea would halt its missile tests while the US and South Korea would impose a moratorium on large-scale military exercises.
http://www.dw.com/en/north-korea-angela-merkel-sees-no-military-solution/a-40056700
イギリスは、アメリカが攻撃されたら出かける気でいる模様だが、そうでなくても勝手に東アジアに入って来る気満々でしょう。だって日本にフリーパスになってるから。日英間の防衛協定は過去数年で次から次から締結されている。ほとんど問題にされていない間に、いつの間にか日本は英米の基地になってる。
で、これって結局日清戦争あたりの情勢なんだろうなぁとか私なんかは思って不安というより大いに不満なんだけど、日本の大半の人たちは、わぁイギリスと一緒って何かいいわね(はーと)みたいな感じでしょ?
フィリピンとかアセアンとはまるで逆の方向に行っているのがこの日本ですね。他は、軍事的に占領されることをなんとか回避しよう、最小限にしようとしているのだが。
そういえば、ロシアはタイとの間でも、北朝鮮問題は対話で解決をという発言を引き出していた。その上で、下のNHKの記事にはでていないが、インドネシアに続いてここでも関係強化の様子。ラブロフと外務大臣が仲良しそうだった。
対北朝鮮 ロシアとタイが対話による解決支持で一致
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170810/k10011096361000.html
ロシアのラブロフ外相は、ARF=ASEAN地域フォーラムに出席したあと、10日、タイの首都バンコクを訪れ、プラユット暫定首相やドン外相らと会談しました。
会談の後開かれた共同記者会見で、ラブロフ外相は「地域の課題には、国連が中心的な役割を果たし、平和的な手法によって解決されることを支持する」と述べ、北朝鮮の核・ミサイル開発について、対話による平和的な解決を支持する考えで一致したことを明らかにしました。
タイは北朝鮮と友好的な外交・通商関係を続けており、アメリカのティラーソン国務長官が今月8日にタイを訪れた際にも、国連の安全保障理事会の制裁決議に基づく措置は履行するものの、さらなる制裁は行わない考えを示しています。ロシアとタイは、ARFなどで北朝鮮への圧力強化を訴えたアメリカや日本に自制を促した形です。