米+αのシリアへのこだわりはまったく終わってはおらず、まったく不法に独立国シリアに居座ると宣言したアメリカは、勝手にそこらで軍事支援をしている。終われないシリア紛争パート3がないとは言えない情勢はある。
欧州方面は、一般紙、タブロイド紙がロシアの脅威と騒ぐわりには、リアルな局面ではオランダの外相が虚偽証言で辞任してみたり、ミュンヘンのセキュリティサミットでもNATO側に何かウルトラCがあったようにも見えないなど、はっきりしない情勢になっている。
この根幹にひっかかっているのはウクライナ危機。もっと深いところでも問題だといても、一番上にあるのはこれ。
率直にいって、ウクライナ危機とはアメリカ国務省・CIAが総がかりで行動した他国侵略というのが基本線だ。それなのに、そこをオバマ政権が世界中のマスコミを「指導」して違う話にした。
だけど、動員された人たちは、それぞれに小さな嘘をつかれて(まさかこんなことになるとも思わずに)行動するわけだから、あとで、俺はそんなつもりじゃなかった、私はそんな極道になりたいわけでもなかった、と出てくる。
オリバー・ストーンとロバート・パーリーの
「UKRAINE ON FIRE」with オリバー・ストーン
もその好例。証言と現場で起こっていたことのフィルムなどを掻き集めてみれば、恐ろしいことが起こっていたとしかいいようがない。オバマ政権の悪質さには言葉を失う。
最近では、2014年の2月後半のウクライナのマイダン広場でのパニック、同様、ぐじゃぐじゃに一役買った、スパイナーたちが証言している。
しばらく前から出ていたのだが、このたびスプートニクのチームがしっかりしたインタビューに成功して、記事になっていた。
スパイナーの役割を担って投入されたのはグルジア人たち。
(1)は証言の用意の話、(2)はマイダン広場での具体的な行動についての証言内容
(1) ウクライナが恐れるもの スプートニク、2014年にマイダンで狙撃したスナイパーたちの証言を公開
https://jp.sputniknews.com/opinion/201802154579021/
グルジアのスナイパーらは、ウクライナの裁判で証言する用意がある。通信スプートニクは、2014年にウクライナの首都キエフのマイダン(独立広場)で起こった出来事に参加したグルジア人スナイパーだというコバ・ネルガゼ氏とアレクサンドル・レヴァジシビリ氏の正式な尋問調書を入手した。
(2) 「マイダンですべての標的に発砲」:キエフでデモ参加者を撃ったグルジア人スナイパーたちの証言
https://jp.sputniknews.com/opinion/201802144573995/
英語版のスプートニクが発信源なのでここに証言のハイライトが載ってる。
https://sputniknews.com/europe/201802141061632008-ukraine-maidan-georgian-snipers-evidence/
この中にある動画非常に重要。
ウクライナ治安当局が撃たれたり、火炎瓶投げられて火だるまにされてる様子がわかる。動画は下のURLに存在するが、youtubeは年齢制限をかけて広い視聴を阻んでいる。しかし、上のスプートニクの画面では見られる。
構造を考えるとさらにエグイ。
反政府の抗議者(を装うプロも含めて)は政府の治安機関を狙う。しかし、混乱の中に投入されたスパイナーは、抗議者、治安機関の両方を狙って狙撃した。すなわち、前者は「胴元」に裏切られたと言える。
証言をもとに私が気付いたポイントはこんなところ。
- スパイナーはウクライナ治安当局とプロテストしてる一般人の両方を狙っていたという、最初から現地にいた人たちが言っていたことの裏付けが出た
- 広場に入っていったこれらの雇われ人たちに武器を供給するルートの要路に、ウクライナで現在政権近くにいる人物がいた
- グルジアのこれらの人たちはグルジアで注文を受けてウクライナに入ってる。ここにこういう行動が可能なユニットがあった
で、最後の、グルジアにそういうユニットがある、というのは、要するにサーカシュビリ以来のユニットだということだろうと誰しも思いつく。
だからここを掘れば(もう掘ってるだろうが)、金の流れがわかる。
2008年夏のグルジア・オセチア紛争でサーカシュビリを担いでいたのは、アメリカが大将ではあるにせよ、実質イスラエルという説も強い。ついでにいえば、トルコももちろん入ってるはず。通り道だから。
という背景事情を考えると、これらの証言をもとに捜査が行われれば、グルジアを中心とした大暴れのユニットの解明にもなるのかな、という気もしないでもない。
そして、この情勢の中で、サーカシュビリはウクライナを出て、現在ポーランドにいる。
興味深いのは、スプートニクが同件の調査を公開すると発表した直後に、グルジアのミハイル・サーカシビリ前大統領がウクライナから国外退去させられたことだ。同氏は翌日、スナイパーの事件に関して法廷で陳述することになっていた。
https://jp.sputniknews.com/opinion/201802154579021/
今後の展開から目が離せない。
言うまでもなく、昨日書いたこの話の各論編ってことですね。
冷戦終結の多幸感を利用したツケを払うアメリカ
■ オマケ
上の動画を見て、まざまざといろんなことを思い出すわけだが、その中で今となってはっきりわかるのは、欧州の外相たちが(もし彼らも一味でなかったとして)何を恐れていたのかといえば、まさしく、これらの無法者を遠慮なく使う人々であろう。
マイダン広場での群衆対政権の対立が激化する中、ドイツ、フランス、ポーランドの外相は、ウクライナ大統領選挙の前倒しすることでプロテストする群衆との間で話をつけた。
しかしその合意は大混乱と共に破られ、以降、ウクライナ大統領の「脱出」騒ぎとなり歯止めがなくなる。
これらドイツ、フランス、ポーランドの外相は、上の動画の群衆を止め得たのか?
無理でしょう。なぜならスパイナーを放った大ボスは隠れているし、その大ボスたちが合意しなければ、また別の事件が起きただけだから。
この事件は、一見すると NATO諸国 vs ロシアなんだが、爆破によって遅効性の衝撃をくらっているのは実は欧州なんだろうな、などとも思う。