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英労働党、強硬左派コービン氏を党首に

2015-09-12 23:51:52 | 欧州情勢複雑怪奇

イギリス労働党、コービン氏を党首に選出した。しょえー、とも思うし、まぁそうなるだろうなとも思う。

 英労働党、強硬左派コービン氏を党首に 中道路線転換
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM12H3R_S5A910C1FF8000/

 【ロンドン=小滝麻理子】英国の最大野党・労働党は12日、臨時党大会を開き、強硬左派の下院議員ジェレミー・コービン氏(66)が新党首に選ばれたと発表した。同氏は反緊縮や格差是正を訴え、党員らの6割近い支持を得た。1990年代以来中道路線を取ってきた同党の大きな転換となる。キャメロン首相率いる保守党の市場経済を重んじる経済政策や欧州連合(EU)離脱の是非を巡る交渉にも影響は及びそうだ。

しかも、投票結果が、1回でぶっちぎりの59%を取ったという勝ちっぷり。だから、主流マスメディアと現在の労働党支配層(といいたい)が反対するほど人々は反対していなかった、ってことだすね。

で、上の日経の記事はよくかけていると思うけど、重要なことを1つ抜いていると思う。

それは、コービン氏は議員としてイラク戦争に反対ということ。

さらに、多分あの頃イギリスで結構大きく盛り上がっていた戦争やめろ系の動きにはもれなく関与しているっぽい経歴だ。

■ イラク戦争と「ディープステート」

というわけで、この部分が実は結構な重要性なわけですよ、最近のイギリスでもアメリカでも。

アメリカ人がなんだってバーニー・サンダースとかいう左派のおじいさんを支持したり、これとはまったく対局的なへんなおじさん中のへんなおじさんたるトランプを支持してみたりするのか。

それは、私の理解では、「ディープステート」の操り人形じゃない奴を探せ、とでもいうべきスローガンが多くの人の心の中にあるんじゃないですかね。

つまり、前回、どうしてオバマが支持されたかといえば、ブッシュまわりのあの一極支配こそ我が使命とか本気になってるネオコンを嫌った人が多かったことがかなり大きな要因でしょう。だから、イラク戦争にがんがんに反対していたオバマに期待がかかった。

ところが、こっちに来たらヌーランドが代表例だけどネオコン繋がりが見え見えの人々の左翼版みたいな狂った介入主義者たちが待ち受けていて、オバマ本人の考えなんかどうでもよくて、人々はここまでネオコンが侵入していたのか~と口を開けてびっくらこいてしまいました、だったわけですね(リビア、シリア問題が端緒でウクライナがファイナルブロー、みたいな感じ)。さらに、よく考えればこれは結局トロキストを源流とする何者かで、それの右派がネオコン、左派が介入主義者軍団で、それぞれ共和党と民主党に分かれて住んでただけだった、と振り返って戦慄する今日この頃、と。

というところで、かなり多くの人々の立ち位置は、「ディープステート」とか1%集団とか、日本の伝統では国際金融資本とか言うのかもしれないけど、そういう国民の前に顔を見せずに何やら政治家やら主流メディアを操るド金持ち集団、特にイスラエルに関与しているような人々、が好みそうな人物は全部だめ、となったってことではなかろうか。

ある種、共謀しない共謀作戦が行われている、みたいな。

もちろん敵もさるものなので、この心理戦をなんらかのショックで切り返そうとか考えてると思うから、今後まだまだどうなるか流動的ではあるけどね。(多分、その仕込みが、シリアを不安定化させているのはロシアだと言いたいらしい現在のキャンペーンではないのか、と思う)

■ そうはいってもイギリスどうなるの

イギリスの状況にかえって、とりあえずこの状況はブレア元首相が打ち出していた今までとは違う労働党ですよ、みたいな中道路線とか第三の道とかいうそれは支持を失ったことを示している、ってのは間違いないでしょう。

まぁ失ったから保守党支持が伸びて、その後労働党の衰えが回復せず、いきなり、ある意味で確かに筋は通ってるし、we're all humans、みんな人間じゃないか、みたいなアプローチもネオコンのあの陰湿さに慣れたこの15年から考えると、やけにフレッシュだ、ではあるけどさ・・・というおじいさんをみんなで選んじゃったんだよね。

そう、ネオコンって暗いよね。ブッシュのお父さん(利口な方のブッシュともいう)が、息子ブッシュ(バカな方のブッシュともいう)に、ネオコンってどういう人たちなの?と尋ねられ、地下室にいるような奴らだ、みたいなことを言ったという都市伝説みたいなものがあるんだけど、これってでも正しいと思う。到底人さまの前で語れるような事を考えておらず、顔を見せられるような資質、経歴のあるやつ奴らでもない、ってことだと思うんですよ。

いやイギリスの状況に戻って。とはいえ、この、現状の政治アジェンダのすべてに対してほぼ一貫して反対票を投じまくってきた66歳のおじいさんを抱えて労働党はどうするつもりなんだろうか・・・。

労働党は一般にEU押しだけど、この人は問題点があることは明白という立場だし、そう、過去何十年かで初めて、労働党はイギリスはNATOを脱退せよ首長する党首を抱いたのだ、ってのもポイント。(The telegraphに出てた。半分煽りだろうけど、でも嘘ではなさそう) トライデントにも反対だし、いや、どうすんのこれ、みたいな。

さらにシリア。

コービンさんは、Stop the War movementというイギリスの有名な反戦ムーブメントの役員の一人。

http://www.stopwar.org.uk/

この団体がシリアについてどういう態度で向かっているのか。

ポイントはアメリカ民主党と同じなのか否か。

アメリカの民主党支持者の得意の手法は、戦争は嫌だわ、圧制は嫌だわ、という趣旨を文脈を無視して取り出して、文脈を読ませないよう暴力的で嫌な事件の記事を次から次から読ませる。シリアの件もアサドが悪いやつだ、とわざわざ餌を付けて食いつかせる。サダム・フセインと同じだし、ミロシェビッチもおぞましいまでにそうだった。だからコービンたちの手法がそれと同じなのかどうなのかが問題。

しかし、ふと思えば、2年前アメリカがシリアに空爆できなくなる理由の一つを作り出したのは実に英国議会なので、これはまた何かあるのかなという気もする。

なんせ、ネオコン式世界支配構造の一角が、ちょっとではあるけど崩れた気がする。まぁ、結局EU加盟国と日本しか子分はいなかったってことでもあるけど、その中のかなりウェイトの大きいところが一歩下がったとはいえそう。カナダでも総選挙があるし、英グループは方針を変えるのかもな~とか思ってみても面白い。


 

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