極右・反EU政党が台頭 欧州議会選、英で第1党の勢い
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2204C_S4A520C1FF2000/
日本経済新聞 2014/5/22 23:54
極右・反EU政党が台頭 欧州議会選、英で第1党の勢い
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2204C_S4A520C1FF2000/
日本経済新聞 2014/5/22 23:54
ある程度予想されていた通り、欧州では反EU勢力の勢いが証明された。といっても別に今すぐEU解体とかいう方向に行くような決定的な勝利という話ではないが、この勢力が無視できないほどに大きくなったという意味では非常に大きな事件だ。
イギリスの結果
UK European election results
http://www.bbc.com/news/events/vote2014/eu-uk-results
UK独立党 4,352,051 27.49 (+10.99) 23 +10
労働党 4,020,646 25.40 (+9.67) 18 +7
保守党 3,788,405 23.93 (-3.80) 18 -7
しかし、投票率34%ってどうなのよ、とは思うけど。
■ 主流メディアの振る舞いへの嫌悪感
で、こうなることはある程度見えていた。そして、それにもかかわらずイギリスのメディアは、直近でいえば、この話よりも益体もないプーチン動向に多大なページを割き続けた。UKIPに投票しようとしている人たちが何を求めているのかとか現状何が問題なのかよりも、チャールズとヒトラーの話の方が重大だったらしい。
最近のいわゆる主流メディアの動向は本当におかしい。おかしいというよりいかがわしい。ニュースの重大さの順番が根本的におかしいし、内容の空虚さも目立つ。ウクライナ問題では嘘が見えすぎて欧州じゃもうどうにもならない。
で、この欧州議会選挙の反EU勢力の伸張は、こういう主流メディアの変調をスプリングボードにして達成されたところがあると思う。
つまり、各国の反EU勢力は主流メディアによっていずれも「極右」とか「極左」とか書かれて、それぞれの国でへんな人たち扱いされてきた。イギリスに関していえば主流メディアは基本的にはずっ~とUKIPを中傷していた。
これらの党を支援した人や、ウクライナ問題で異論を述べる人たちは主流メディアとの関係で共通点がある。彼らは、要するに「extreme(極端)」の人という扱われる。それはつまり、主要なコースがあってそれ以外を端として追い出し、主要なコース以外許さないという判断をメディアがやっているという意味になるわけですね。
もうね、異なる意見を聞きましょうとかいう態度じゃなくて、外れた人たちはhereticだ、という感じ。heretic というのは異端者のことなんだけど、異なる宗教の人ということなので、欧州的には排除の極限みたいなニュアンス。
TelegraphのコラムニストPeter Oborneが1か月ぐらい前しみじみ書いていたところによると、普通新しい動向があってそれなりに世間の関心が高ければ、そっちに乗るメディアがあるものだが今回はそうはならなかった、その意味で尋常でない状況だということらしかった。ピーターはTelegraphでコラムを書く人の中では「偉い人」なので、きっちり反EUという態度を表していたのは結構勇気のいることだったと思う。方向的にはTelegraphは右派なので左派よりはUKIPに親和性の高い人が読む。だからBBCよりは圧倒的にハードルが低かっただろうが、そのTelegraphも記事にコメント欄を解放しないケースが激増していたので、何か経営判断みたいなものがあったんだろうなぁとか思う。
とうことなので、こうした主流メディアの異端派叩きを見るにつけ、何か根本的におかしいと感じる人が増加し、今回のようなことになったともいえるでしょう。
■ 主流メディアの敗北
そういうわけで、反EUの勝利というのは、各国におけ主流メディアの敗北という側面もある。
まるで安倍政権が生まれる時の日本のようだと思ったりもする。
安倍さんを好んでいたわけでもない、支持もしていない人でも、主流派メディアのあまりの異常さに、これは何かこっち(安倍さん)に賭けておいた方がいいんじゃないかという匂いを嗅いだ人はかなりいたんじゃないかと思う。
そう考えてくると、現在世界規模で起きているのは、西側主流メディアの敗北という状況と読むこともできるように思う。
なにか本当に混沌としてきました。個人的にはBBCの劣化ぶりが恐ろしいほどなのが悲しい。長いことBBCを基本に見ていたけど、ここじゃ話が理解不明になることが多いので、最近はBBCとRT(ロシア)、タス通信を並列で見るという日々になっている。
■ 日本も自前の報道体制が必要
そうそう、タス通信はお上の発表なのでこれはこれで便利。プロパガンダとかなんとか考える必要はなく、ロシア政府はこう言っている、こう見てる、あるいは逆にこれは報道しないんだな、これは強調したいんだな、という話なので、記者の見解とか入ってなくていい。こういうシンプルなものを日本も作るべき。センセーショナルなジャーナリズム報道だけが報道じゃない。噂を流された時、直ちに自分の言葉で否定するとか肯定するとかの対応が取れる。
ロシアの報道体制は日本の今後にとって非常に勉強になる。タス通信モデルは日本でもすぐにも作るべきだと思う。RT、ボイス・オブ・ロシアみたいな雑多メディアは寄稿者を見つけないとできないからハードル高い。こっちは準備期間を長くとって無理をしないことが大事。
なんか日本って逆のことをやりそう。みなさんに理解してもらえるためにはまず文化を、とか言って。違うと思います。