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イラン大統領モスクワ訪問と内陸交易路の拡充

2017-03-27 02:21:35 | 欧州情勢複雑怪奇

昨日月曜日、イランのローハニ大統領がモスクワを訪問した。

 

日本語の記事はないのかなとgoogle検索したけど、どうも中国のCRIとロシア・スプートニクのしかないみたいだ。日本のジャーナリズムという名の諜報の広報みたいな部隊は、トルコは結構細かいことを追い、ロシアはロシアにとってマイナスのネタを必至で追いかけまわすのだが、ロシアとイランみたいな案件はパスなんでしょうか。そのうち出てくるかもしれませんが、どういう戦略ラインなんだかさっぱりわからん。

ローハニ氏は次の大統領選挙にも出馬し、多分勝つであろうと考えられているという状況での訪露は何が目的なのだろかとそわそわした記事が西側メディアに出ていたが、これまでのところでいえば具体的に大きな取引があったという話は出ていないようだ。イランとロシア間の油田の話はまだ何か出てきそうな感じだが。

しかし、既にロシアとイランは着実に戦略的パートナーシップの度合いを深めているので、これが次の4年間にも継続される見込みであると発表することの意味は小さくない。

イランはロシアにとって信頼できる安定的なパートナーですとプーチンがわざわざ明言しているのもその線の確認という意味なのでしょう。

Putin hails Iran as Russia’s reliable and stable partner

http://tass.com/politics/937959

 

イランとロシアのパートナーシップの重みは、地政学的にもうお腹いっぱいってぐらいに重い。そして、このパートナーシップの進め方が、原子力、石油、鉄道、天然ガスを主体に進められてきている点でも実に重い。どれを取っても一朝一夕に戦略を変えようがないものばっかりなんだもの。

そして、鉄道の話は当然にマーケットの形成にも関わってくるから、実はとっても大きいですわなぁってところ。

トランプ大統領就任。でもまぁSCO&南北回廊も元気よ

 

どういうわけだかグルジアの新聞にロシアとイランが関与してきた様々なプロジェクトについて非常によくまとまった記事が出ていたので今後の参考にリンクしておこう。

Joint Projects of Russia & Iran in Energy, Transport
http://georgiatoday.ge/news/6181/Joint-Projects-of-Russia-&-Iran-in-Energy,-Transport

 

■ イラン、ロシア@シリア

イランとロシアの話だけでも重いパートナーシップなのだが、この2国は現在まだ未解決のシリア問題においての重要な働きをした国。恩賞はないが(笑)。

アメリカのおバカさんのネオコンだの政治家が何を言おうと、地上軍を使える人たちがいなければ戦争はできません。

ネオコンがやってるのは戦争ではなく、痴漢行為とか殺人とか強盗とかそういう類の話。それをアメリカが国家をあげて、隠しおおせなくなって、それは恥ずかしい、こんなのやめようといってトランプは選ばれたのだが、彼もまたネオコン勢に押し切られている感じはありますねぇ。少なくともキレイな仕切りはまったくできていない

 

■ 中国・パキスタン、中国・ロシア

そんな中、中国は「パキスタンの日」の軍事パレードに人民解放軍の儀仗ユニットを送っていたようだ。

China-Pakistan Parade: Is Beijing Sealing Role of Top Player in Asia-Pacific?
https://sputniknews.com/asia/201703261051976922-china-pakistan-parade-india-clout/

この関係は当然に、中国・パキスタン経済回廊(CPEC)計画の話に繋がるし、そうならアフガニスタン情勢にも関係してくる。それは今後のお楽しみ。

で、その他にも、マスコミに載らない海外記事さんが最近訳しておられた、ウィリアム・イングダールの記事がロシアの北極地方における中露の協力体制の話も重要。リンクさせていただきます。 

中国・ロシアの戦略的な北極地方協力
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-5a2c.html

一帯一路構想に北極海側のアルハンゲリスクも結び付けようとしているのではないかという話でもあるし、まずは直接的には白海と鉱物資源の豊富なウラル周辺をもっと効率的に結ぶという話。そしてそのラインとシベリア鉄道が結ばれるとロシアのど真ん中あたりの資源を北極海側に出せるし、別のルートからは中国にも行くでしょう。

位置関係はこんな感じ。赤いところがその問題の線。

 

■ 陸だって、海だって人が通ればそこが交易路になる

と、これは何をしているのかというと、攻められるばかりの内陸部をむしろ発信源にするかのような発想、と言っていいんじゃないっすかね。

別の言い方をするなら、過去400年ぐらいずっと海側から攻撃しかけて海側に大きな貿易港を作って発展させ、自由貿易ですとかいいながら実際には海上ルートのあちこちにチョークポイント作って脅しをかけるという海洋勢の攻撃を緩和している、とも言えますね。

今現在、NATOと東アジアNATO(仮称)が、バルト海と南シナ海に拘りまくっているけど、これってつまりアヘン戦争と同じメンタリティだなとかも思う。言うこと聞かないならぶち壊してやる、ってやつ。

一方ロシア&中国、もしくはSCOは、

内陸だって、海だって人が通ればそこが交易路になる、って感じでしょうか。

その通りだよ、プーチン君、

鹿が通れるところはロシア兵も通れる by スヴォーロフ元帥

とか言ってみたい。いや違うって、それは。あはは。

ロシアにとってもチャイナにとっても便益大きいですよね。ロシアも中国も実際には資源が豊富な国家なんだけど中国は人も多いので、常に足らない側、対してロシアは常に余る側なので、ここが結ばれれば、ロシアは陸側から市場アクセスでき、チャイナは陸側から資源調達できる、と。

イランも、カスピ海あたりが世界の真ん中だぐらいの感じでものを考えるようになれば、俺は真ん中に生きていて、俺の方から欧州へもチャイナへも石油でも天然ガスでも売ってやるぜ、となる。

ってなことを考えると、上の記事のイングダールが語っているこの部分が「現状」というべきで、そしてこの現状は千代に八千代にあるものでもなさそうだ、って感じでしょうか。

1812年のナポレオンによる帝政ロシア侵略以来、二世紀以上、ヨーロッパ、そして後のアメリカ地政学的戦略は、ユーラシアを、1840年のイギリス-アメリカによる対中国アヘン戦争のように、征服しようとするか、あるいは、歴史上、ロシア革命として知られている、ロンドンとウオール街が資金提供した、1917年のボリシェビキ・クーデターのように発展の可能性を破壊するかのどちらかだ。イギリス地政学の父、ハルフォード・マッキンダーが、彼の後期の著作でハートランド-ロシアと呼んだ場所と中国で、混乱を作り出すという同じ地政学的狙いを、現在、NATOは追求している。

 

そう。NATOは過去200年の西側の取り組みの現在型だってこと。1950年代に本当にソ連が共産主義を奉じて世界を席巻しようとしたから対抗軸としてNATOがあるのだ、なんてのはおとぎ話にすぎない。

 

ということで、ほとんど思想的な内戦状態のアメリカをよそに、大陸勢は今日も元気って感じですね。

■ 参考記事

南北回廊:ハンザ同盟とバルバロッサ作戦の果てに

トランプ大統領就任。でもまぁSCO&南北回廊も元気よ

宴の始末-II (3):国連安保理、シリア制裁決議案否決


 


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1 コメント

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イランは『新ワルシャワ条約の中心』 (ローレライ)
2017-03-29 06:49:17
『旧ワルシャワ条約』が『ロシアのワンマンチーム』だったのと対照的にイランは『新ワルシャワ条約の中心』であることが経済産業的にも厚みのある『東側チーム』作りに貢献している。
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