いやいや、イギリスさん大変。
私はメイはBrexitの延期、なし崩しを望むエスタブリッシュメントが送り込んだ人と思ってみてるので、この成り行きは頷ける。
とはいえ、じゃあEU離脱を望むイギリス国民は減ったのかというと多少反対派が増えたが劇的ではないってのが足元の事情であるだけに、今後も揉めることは必至。
で、日経が、ある程度わかりやすい記事を書いていた。
こういうのを読む時に注意しなければならないのは、日経はFinancial Timesを買って今や一体となっている、グローバリストの最先端だということ。
イチから分かるBrexit 英議会がEU離脱案否決
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4004466015012019000000/
「EUは発足時の基本理念として、域内でのヒト、モノ、カネ、サービスの4つの『移動の自由』を掲げた。2度の世界大戦を経て、欧州各国が緊密に統合することで域内の戦争をなくそうというのが原点にある。しかし、英国は島国ということもあり、大陸側の欧州諸国と統合することへの反対意見は根強い」
これが冒頭の分なんだけど、笑っちゃいますね。二度の大戦を経てできた欧州共同体と現在のかつてソ連の影響圏にあった国々を包摂して、ヨーロッパを拡大したEUとはほとんど別物でしょう。
何が違うかというと、今度のEUには東方に侵略するという強い拡大の意思がある。
それがぶつかったところがウクライナですよ。ウクライナは4000万の人口を持つロシア文化にとって欠かせない地域を含んだ地域。そこをぶち破る意思を持って決行したという点で、EUというのは、イエズス会もできなかったことを成し遂げたスゴイ東方侵略者だと言うこともできるでしょう。ドイツの再ナチ化ともいいますが。
なぜならウクライナの西側のドイツ系住民との混在地あたりが、ず~っと西方教会と東方境界、ざっぱくにいえばカトリックと正教のバトルラインだから。
■ Brexitの登場
で、Brexitが大騒ぎになったのはこの2014年2月のウクライナのクーデター騒ぎの後なわけですね。
ここで、EUがNATOと同期してウクライナ、中東に食指を伸ばして、実はとんでもない奴らになっていたことがそれ以前よりもずっと明白になって来る中で、Brexitが来て、トランプが来るという流れを見るに、これはやっぱりEU/NATOの現状に対するアンチの流れが強く存在すると考えるべきでしょう。
で、日経の次のパラグラフ。
「それでも、英国はEUの一員として東欧などから移民を受け入れてきた。しかし、金融危機や経済の低迷などで雇用情勢が悪化すると、『移民に仕事を奪われている』『テロリストの流入につながる』などと移民への不満が強まった。EUの官僚的な体質や細かな規制、英国が負担するEUへの拠出額の大きさを問題視する声もあり、キャメロン首相(当時)がEU残留か離脱かを問う国民投票の実施を表明。16年6月23日に投票を実施した」
東欧というのは、この場合はルーマニア、ブルガリアという最後に加わって来た人たちのこと。それ以前にすでに大量のポーランド人を代表例に多数の移民をイギリスは受け入れた。そして、これ以上またやるのか、と考える人たちがいてもまぁ無理はないだろうとみる人たちがいても不思議はないですが、グローバリスト日経は、
金融危機や経済の低迷などで雇用情勢が悪化すると、『移民に仕事を奪われている』『テロリストの流入につながる』などと移民への不満が強まった。
など書くわけですね。
そして、ルーマニア、ブルガリアが済んで、それで終わりかというとさにあらず、ウクライナを破壊してさらなる移民流入をもたらそうとした(というか、した、に近い)。
ルーマニア2000万、ブルガリア700万、そしてウクライナは4000万人いたんですよ(現在はロシア、ポーランド方面に数百万単位で流出)。
西欧州のイギリスの人口は6600万人、オランダ1700万人、フランス6700万人。
そこにさらに、リビアという国ごと壊して大量のアフリカからの移民が発生し、シリアを壊して中東からの移民の流れも作った。
こういう中で各国の今後に危惧を抱く人がいて、不思議ですか?
前に書いた通り、EUというのは、
これがNATOの東方拡大と同じ軌道なわけですね。
経済を建てなおしましょう、人権がどうしたこうしたというソフト方面をEUが担い、EUに入ったからにはNATOだからねと軍事方面の米英が入りこんで、あっという間に国の主権を失うというのがいわばEU/NATO侵略モデル。
邪悪・憎悪のネットワークビジネス
だった、あるいはそうなっちゃった、知らずに強化された、どれかわかりませんが、なにせ方向性を持っていたことは否めない。そして、その異常な拡張性に一般大衆が恐れをなして、もうやめろ、と言い出したみたいなものでしょう。
ということで、Brexit問題は、単なる経済問題として捉えるべきではないし、実際、起こっていることから考えればそうはならならないでしょう。
最低でも、NATO東方拡大の不始末と同期する。
■ オマケ1
破るべきレトリックはこんな感じか。
移民を拒否する人たちは、ヘイトをまき散らす悪い人と描かれる
しかし、他国を破壊し、そこに住む人々を殺し、人生を台無しにし、他に働き口を求めるしかない状態に追い込むことは邪悪ではないのか?
結局のところ、人と物の区別なく移動を自由化させるという発想がそもそも、物質主義の権化であるといったところでしょう。「域内でのヒト、モノ、カネ、サービスの4つの」と日経が書いている通り、人は個人ではなく、ヒト。つまり、モノやカネと同レベルの移動可能な何か。人と「財とサービス」の区別を取っ払ったのがEUでありグローバリズムという恐ろしい思想だったという話でしょう。
それに対して、目玉の中とか額に「$」の印が刻まれてない、凡庸かもしれないがまだ人、個人である人々が、それってちょっと待ってと言ったとして何が罪だというのだろうか、などとも言いたい。
■ オマケ2
私のこのへんの話のまとめはこれかな。
グローバリズムというのは、要するに邪悪と憎悪のネットワークビジネスなんだな、と。
邪悪・憎悪のネットワークビジネス
■ オマケ3
今後のシナリオ。twitterで拾いました。上手い。
少し脱線しますが、ここ数日、ジェームスワトソンの一件が気になってしかたありません。DNAの二重らせんでノーベル医学賞を受賞した、今年齢90の老科学者です。黒人に対する人種差別発言が原因で、最近名誉職をはく奪され話題になりました。
なぜ気になるか。この一件、発端はイギリスです。2007年、サンデータイムズに掲載されたインタビューが物議をかわし、彼に対するバッシングが始まりました。その後、ウスマノフ氏が彼のノーベル賞のメダルを落札、しかもメダルを本人に返却という形で、彼の経済的窮地を救い、中国は深圳に彼の名を関した研究施設を建設、この医学における20世紀の巨人を迎え入れるという。
ノーベル賞受賞者、イギリスと深い関係があり、事の発端はイギリス、PC(ポリティカルコレクト)で功績を地に貶める、これがアウンサンスーチーと重なって見える。幕の後ろにイギリス、ケンブリッジアナリティカしかり、ノビチョクしかり。
ジェームズワトソン発言のオリジナルをネットで探しているのだけど、まだ見つからない。報道は全て一方的に彼を糾弾するものであって、私は彼が正確に何と言ったか知りたい。それに、イギリス、アメリカがこの問題で大騒ぎするのは、多くの白人が本音では彼と同じように思っており、彼が自分たちの恥部を図らずもさらしてしまったため、驚き、うろたえ、大騒ぎをしているのでしょう。
彼の思想がなんであれ、彼が医学に残した足跡はかわらない。それを、全否定するPCメディア、政治の臭いがプンプンする。