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妄想派の世紀を終わらせられるのか、結構不安

2017-12-01 14:45:16 | アジア情勢複雑怪奇

桜井さんの今日の記事はいろいろ興味深く、そして怖い。しかしこれが現状。

黒海で米軍の哨戒機が露国の国境へ近づき、露軍の戦闘機が緊急発進したが、背後に核戦争の危機  
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201712010000/

 

黒海でも、日本海側でも、もちろんバルト海、バレンツ海でも何かやっているだろう。つまり、今何が起きているかというと、全体的には、NATOを代表例とした米とその子分たちのユニットが、ロシア・中国・イランという内陸部の大国を攻めているということ。北朝鮮問題もその一端。

で、重要なのはこの構図と、そして「ビジョン」だと思う。

本ブログでは何度か指摘したが、アングロ・シオニストは遅くとも20世紀初頭からロシアを侵略する戦略を始動させている。日本もその手先として使われた可能性が高い。

第2次世界大戦後、ドイツとの死闘で疲弊したソ連を破壊するため、アメリカの好戦派は1957年にドロップショット作戦を作成、300発の核爆弾をソ連の100都市で使い、工業生産能力の85%を破壊しようとしていた。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012)

繰り返し、繰り返し、ロシアを軍事的にやれる、と考えている人たちが生き延びて行動を起こしてきたのがこの150年(または200年)で、核戦争時代になってもそれが変わらないというところが恐ろしいの。この「ビジョン」、この妄想に取りつかれている人たちなんだろうなぁって感じ。ある意味、宗教的な縛りだと思う。

で、それに対して、米の内部には、そんなことをしたら米国を含むその他地域にも被害は及ぶのだし、そもそもそれは勝ちと呼ぶ価値はあるのか、という常識派というか冷静派というか、ヒューマン派がいる。だからここで対立するというのが戦後の米の内部における重要な対立だと思う。

ソ連消滅後、ロシアはボリス・エリツィン大統領の時代に国の資産は略奪され、軍事力も大幅に低下した。アメリカ支配層の内部でもそうした感覚は21世紀に入っても残っていたようで、キール・リーバーとダリル・プレスはフォーリン・アフェアーズ誌(CFR/外交問題評議会が発行)の2006年3/4月号で、ロシアと中国の長距離核兵器をアメリカの先制第1撃で破壊できると主張している

で、この一派に対するロシアの答えが、急速に整備したミサイル性能と配備ということになるんでしょう。現在のロシアのミサイルの性能および使用のコンセプトが恐ろしい(と私は思う)ものなのは、これに対抗するためなのだと思う。

つまり、お前ら無駄だ、というのを知らせないとならないってこと。

 

でね、日本の中には、核兵器を廃棄すれば平和が来るとかいう、ある意味奇妙な言説がありますが、そういう問題じゃないですよ。軍事力を使って他者を廃棄する、他者の土地を使えないようなものにすればそれが勝ちだと考える、そのメンタリティーそのものが一番の問題。

これは、歴史的にそこらでたくさんある、そしてとりわけ近代になったからの「戦(いくさ)」の発想とは違う。戦は、講和する。講和は条件によって両方が妥協して、両方が生存する。つまりこれが外交的解決であり、すべての戦争は外交的解決の枠内にあるはずだ、という話。しかし、「ビジョン」派は、他者を廃棄しようとする。控えめにいっても跪かせようとする。この発想が問題。

核兵器というのはこの他者の廃棄に幸福を覚える派にとってのある種の天啓だったんだろうなとも思う。殲滅させられる、と思ったんでしょう。そして、であればこそ、ソ連に原爆の設計に関する秘密をソ連に渡したのは、スパイというより科学者たちですよ、という話につながるんだろう(最近のフィルムで、プーチンがオリバー・ストーンに語っている)。これは当事者ソ連の後継者による重大な暴露でしたね、思えば。

 

で、やっぱり、多分、ナチス時代の本当の問題、すなわち東部戦線での殺戮、ウスタシャの問題、90年代後半のおぞましいユーゴ解体時の問題、このあたりを開けないと、人類に希望はないのかもなぁという気がしてきた。このへんの状況は、戦争というより殲滅狙いの酷い人殺しの連続。これは戦の発想ではない

ここらへんでいろいろ書いたやつ。

正教会&カトリック教会

 

でね。ここに「ホロコースト」問題が来る。「ホロコースト」などなかった派と「ホロコースト」に疑義をはさむなど間違いだ派が過去30年ぐらい争ってますが、両方とも偽の対立軸だと思う。「ホロコースト」問題とは、上のようなせん滅作戦の決行の問題を隠すためのカバーだと思う。

本当の問題は、東部戦線におけるユダヤ人、スラブ人、ロマ等々の虐殺問題というのが正しい。つまり、広義のバルバロッサ作戦全体の話。こんなことをやった人たちがいたという恐怖の焦点を見たくないから、ドイツのすべての罪は「ホロコースト」というお手軽な解決策が戦後開発されたのじゃないですかね。だから、この話は、場所を特定しない、なにか空中に浮いたユダヤ人に対する差別的な視線から始まる問題になっていることが大きな特徴。

というか、ホロコーストって一般に誤解されている気もする。あれはドイツがロシア攻めをしようと東方拡大したからこそ発生しているのだから、実際にはあきらかな戦争犯罪でしょう。ところが何か別建ての犯罪のように扱われている。

「西側ではナチズムが生きている」カナダ編

まず場所を見たらどうだね、という話。ポーランド、ウクライナは人口が多い場所だからここでドイツ軍(またはそれに関連したファクター)による関与で死んだ人の話をするのなら、犠牲者数は大きくなっても別に不思議ではない。

 

「西側ではナチズムが生きている」カナダ編

で書いた、カナダ外相のクリスティア・フリーランド氏のおじいさんの話は、絵に描いたようなドイツ軍コラボレーター(協力者)の物語として、ナチの東部戦線がどういうものだったのかを理解するにあたって恰好な題材だったなとあらためて思う。ご興味のあるかたはどうぞ読んでくださいませ。

 

で、現状を簡単にいえば、下図にあるような犠牲を出すような戦争をもう二度とさせない派と、またやったら勝てると思ってる妄想派が現在争ってると考えると多分話のフォーカスはぴったりあうような気がする。

少ない犠牲でより大きな便益を得たイギリス、フランス、アメリカは懲りてないということですね。米英では民間人の犠牲がほとんどないに等しいというのも大きな特徴。日本は、国民全体としたら懲りてる派だったところが、過去20年ぐらいで妄想派に近づいた(しかし、ネトウヨだけの責任ではない。ここが難しい)。

wikiのWorld War II より。

赤:軍人の死亡者数(100万単位)

オレンジ:民間人の死亡者数(100万単位)

青:1930年の人口に対する死亡者の割合

 

そして、第二次世界大戦の延長として朝鮮戦争を見れば、彼らが現在置かれている立場は自ずと知れると思う。

 


 

 


コメント (3)    この記事についてブログを書く
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3 コメント

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よく調べている (金 国鎮)
2017-12-03 11:37:59
技術の発展は政治家の思考力を超えている。

日本は明治以来米英という妄想に取りつかれている国だ。

歴史的にみれば東ヨーロッパは中央アジアの向こうだ。
そして多くの東アジアの国家は中央アジアの国家は
中央アジアから東に移動した国家だ。
言語も風俗もアジアの人々と近い。
この歴史的なラインを作ることに日本と日本人は戦前失敗した。

今の北朝鮮はその貧弱な経済力に比較して少なくとも
戦前の日本よりは中国・ロシアと穏当な関係を作っている。
中国が今その方向に向かって急加速度的に動いている。
ロシアがその動きに協力していけるのであれば道は開かれるだろう。

私はそれを支持するがそれは多民族のロシアと多民族の中国でなければならない。
米英という西洋列強の観念だけが今も独り歩きしている。日本の大手マスコミではね。
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別の科学者たち、らしいですが (ブログ主)
2017-12-01 17:00:27
バルバロッサ作戦を顧みることがなかったことが、こんなところまで来るとはなぁって感じですよ、ほんと。
あと、プーチンの言い方では、ローゼンバーグは象徴的だが、提供したのは別の科学者たち、みたいでしたよ。
動画を後で探してみます。
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『西側の信仰としてのバルバロッサ作戦』 (ローレライ)
2017-12-01 16:24:46
『西側の信仰としてのバルバロッサ作戦』が『イスラム国』にまで引き継がれその信仰を『核の相互破壊力で無力化』すべく命を懸けた『ローゼンバーグ夫妻の処刑』があった!
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