マティスの引退の日付が2月から1月1日になったというので、これが最後のプッシュだったんでしょうが、ともあれ、ペンタゴンはシリアの米軍撤退に署名した。
Order for US military withdrawal from Syria signed: Pentagon
じゃあCIAはどうなんだってのも知りたいところですね。
だって、シリアにおけるアメリカは、ペンタゴンの傭兵のクルド vs CIAが揃えてきたアルカイダ他の長年の傭兵軍団がバトルをするという、笑いしかでないような状況があったことでも名高い。
ほんとにもうアメリカのシリア侵攻作戦は、作戦というより冗談のようだった。どうしてあんなにバカみたいに、アサド退陣とか騒いだんだか、今となっては笑い話にしか思えないほどの異常な侵略性の発露だった。
面白かった発言としては、ロシアが参入した直後のこの発言をあげたい。
宴の始末(13) 「飛行禁止区域設定するって、ロシアと戦争だよ」by 参謀本部議長
ヒラリー応援団たちが、そうだわ、シリア上空を飛行禁止区域にすればいいのよ!! そうよそうよ、リビアだってそうやったんだわ!!!とかぴーひゃら言っている中、統合参謀本部議長という米軍のトップが、そんなことしたらロシアと戦争になるわけで、それは大きな話すぎて自分たちには決められませんと語った。
わかれよ素人といった趣(笑)。
■ プーチンの講評
プーチンは、トランプの決断は正しいでしょう、といってしかしながらウォーニングも投げている。
もうあれだな、プーチンは、米による世界制覇戦争失敗に基づく撤退作戦遂行本部長の趣ですよ。安定できるかどうかはペンタゴンじゃなくて、まずロシア軍の評価を見ようとするようになってるのは私だけではないでしょう。
で、本部長の講評(笑)では、
テロリストがシリアからアフガニスタンなどの近隣諸国、さらに、彼らの元々の国に戻っていくことによる危険がある
Putin also warned that terrorists could spill over from Syria to other countries. "There is a danger that [terrorist] and groups akin to them could spill over to neighboring regions, such as Afghanistan, and also to other countries, including their origin," the Russian leader said. "That is a major threat for all of us."
http://tass.com/world/1037042
と指摘してる。
そう、アルカイダという名簿にあがって金もらってた傭兵軍団をどうするのかが非常に問題。
さらにいえば、彼らが一体今後どのような人生を歩むのか、その補償みたいなものも必要でしょ?
プーチンの名高い、傭兵を雇うには金がかかる、傭兵を止めるにはもっと金がかかる、というセリフが真実をついてる。アメリカはいくら金あっても足らないほどの損害賠償請求が待ってるとも言える。だって軽くみても40年ぐらいやってるもの、このムジャヒディーン→アルカイダ→イスラム国シリーズ。
みんなまとめてカナダにでも引き取らせたらどうだろう? ナチスの余り物も引き取ったんだし。あはは。
前から書いてるけどどうしてCIAにしてもペンタゴンにしてもやたらに予算がデカいのかといえば、こういう人たちをネットワーク化して、秘密漏えいしないよう金だして、その周辺の奴らも買収してといった作業に青天井の金がかかっているからではなかろうかと思う。
だって、そうなるでしょ? でもって、単なる傭兵なら金の切れ目が縁の切れ目にできることが多いかもしれないけど、政策決定の要路にいる人を買収するのはとても金がかかる。その後の人生丸抱えしないとならないぐらいの人も何人もいるでしょう。こういうのが年間予算から出て行くとしたら、そりゃもうやればやるほど金がかかる。
最近になってようやく、ペンタゴンは監査に応じているけど、CIAも含めて広げてみたらどうなるんでしょうね。楽しみだわ。
で、逆にいえば、そりゃもう何がなんでも永続戦争希望論になるだろう、とも思う。
■ この先
この先のグランドデザインみたいなものはどこにもないわけで、まぁ大変でしょう。
特に、EU側と日本は大変。アメリカは調子よく、アメリカ第一主義のアメリカです、世界の警察官なんかしません、とかいう変身の方針を作って国民をそのムードに乗せてきているが、EUと日本は抵抗して無駄に2年を過ごしたので、ここからどう仕切ったものか不明。
再び911みたいなことができるかというと、西側にそういう力があるようには見えないので、観念して多極化ワールドを見据えるしかないと思うわけだが、どうなるものか。
でもアメリカが本当に「アメリカ第一主義の共和国」になるかというとそんなことはないでしょう。結局これは、オフショア戦略となんら矛盾しないという話だと思う。
ということで、だからこそ、トルコと完全に対立するよりも、クルドを捨てる方針を取ったのが米軍ってことだと思う。ただ、じゃあ今までのNATOのフレームワークで縛れるかというと、それは相当に無理。
でもなし崩しの崩壊は避けたいんだろうと思う。
極東方面は、日本向けに、今度は中国とやるのだというムードを作っているが、これは2013年あたりのとは異なるのではないの?
今のは要するにムードがメイン。目的は、日本が浮足立たないよう、相変わらず君らは日米一体ですよという締め付けのために、アメリカ様は今後は対中国を主戦場になさるのだ、おさおさ油断めされるな、みたいなことをまず振りまいているのではなかろうか。
■ 失敗の本質は無理な想定
2015年9月末からのロシアの登場は中東情勢を激変させたが、この萌芽は2008年8月のオセチアでの短い戦争。
このサーカシュビリという脳タリン男が世界的に有名になった一件こそ、現在につながるアメリカの世界制覇大失敗への第一歩だった。
アメリカの、特に民主党に巣くってる介入主義者たちの想定は、常に常に、自分たちがどれほど酷いことをやろうが、米軍は強いから誰も逆らわない、というもの。
ところがロシア軍は出て来て、4日でさっさと米とイスラエルが作ったグルジア軍を撃破。それに伴い、アブハジアとオセチアというソ連崩壊後グルジア支配がイヤだったけどどうしようもないか一緒にいたにすぎないところが、独立するといって独立してしまった。つまりグルジアは領土を失っただけ。
ウクライナも全く同じ路線をひた走ってる。
シリアが2回目。
そして、この間のベネズエラ訪問が、潜在的に3回目だったかも。少なくともあれでコロンビアあたりに用意させていたという「レジーム・チェンジ」要員が出にくくなってる風にみえる。
もちろん、またやって、今度こそアメリカの裏庭が騒がしくなるという可能性もあるわけだが。
日程的に、それがイヤだからこそ、さっさと切り上げているんじゃないか、という感じもする。軍の方が、ネオコン/介入主義者より現実を見ないとならない人たちだから早くに動く。
ネオコン/介入主義者は机上の空論をリアルだと思いなすカルト集団みたいなものだから目が覚めない。覚めるの待ってたら地球が滅ぶ。
トランプが、同盟は大事だ、しかしアメリカを利用するやつは許さない、みたいなことを何度も言ってるのは要するにナチや関東軍の亡霊のことでしょう。
マクロンがトランプの行動は残念だ、フランスはシリアに残るとか言ってるけど、それって一人で侵略軍やるって意味。米がいるとここが問われない(メディアが勝手に庇うから)、それがミソだったところもある(それに乗ったペンタゴンも同罪だが)。
ということで、大波乱状態ですね。