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イラク戦争から15年と考えてみると

2018-05-28 21:57:04 | アジア情勢複雑怪奇

昨日、独仏+中露が何やら仲良くしましょう運動をしている話を書いたけど、この組み合わせって要するに、イラク戦争の時の反対派だと考えると感慨深い。

言うまでもなく15年前との比較でロシアが強くなったことによって、この組み合わせはパワーアップしていると言えるでしょう。

15年前はフランスの外相が、あのインチキ語りのパウエルとやり合ったことが大きな話題だった。

将来何百回でも使われるこのインチキ語りのガマの油売り男の反対側には、フランス外相のドミニク・ドビルパンの姿があった。

 

これは今やったらラブロフとか王が出て来るかもしれない。

 

で、今見る、いわゆる西側の結束なるものは実は15年前には既にもろいものになっていたのだと気付くことも重要だと思う。まるで冷戦期から一貫して、英仏独、アメリカ etc.は一緒であったかのような思い込みの記事が出回っているが、つい15年前、イラク戦争に反対する独仏は、ラムズフェルドに「古いヨーロッパ」などと言われ大騒ぎになっていたのだった。

そこから15年経って、ラムズフェルドもチェイニーもブッシュ家ももうアメリカの政治の表面にはいない。トランプの価値は、大統領になってからというより候補の段階でブッシュ一族に対するアメリカ国民のブーイングを代表したことで既に一定程度確保されているとも言える。

フランス、ドイツはこの時の、シラク・ドビルパンのコンビが失脚させられて、代わりに猿みたいなサルコジがフランスを代表する顔となった。これはほとんど罰則だったんんだなとしか思えない。

しかしそのサルコジももう表に登場することはありそうにない。マクロンは問題含みではあるが、最低でもサルコジと同じではない。フランスのロスチャイルドとイギリスのそれは最低でもフランスにとって同じではない。

ドイツの方は、当時はシュレーダーで、この人は今だにいろいろと影響力を持ち、ついにはロシアの大手石油屋ロスネフチの会長となっている。

この話が出た時、メルケルはもちろん非難したわけだが、その時シュレーダーは、ロシアの資源大手企業にドイツの声が入ることが悪いことだと私は思わないと断言。実際問題、ドイツ人の特にビジネス系の人はみんなそう思っているに違いないわけで、ここはメルケルも含めてドイツ全体で一芝居に付き合うみたいな感じだった。

シュレーダーとプーチンとの間で合意され実働したノードストリームは、今、その2本目でもめている状態。

さらに、15年前よりも頼りになる仲間ができた。

イランは相変わらず頑強な意思を持ち、最近は1億8千万近くいるロシア率いるユーラシア経済連合と自由貿易圏を作ったので、売り先の目途が立った。

トルコは、アメリカとの間でロシア製のS-400購入でもめているものの、今のところ購入意思を変えていない。その代りに金融危機っぽくて大変だが。

それでも今度は、ガスプロムとの間で建設しているトルコストリームの欧州部分(つまり陸地部分)の建設にも合意した。

Turkey & Gazprom agree on construction of land portion of Europe-bound Turkish Stream
Published time: 27 May, 2018 04:55

https://www.rt.com/business/427940-gazprom-turkey-turkish-stream/

https://www.zerohedge.com/news/2018-05-27/russia-and-turkey-reach-deal-southern-stream-gas-pipeline-end-gas-dispuite

 

インドは、この15年間でいえばだいぶアメリカ寄りになっているが、それでも手放しでアメリカ様100%支持です、みたいにはなっていない。この間のソチの会談は、防衛装備の問題だっただろうという話。つまり、アメリカがインドの装備品をロシア製から大きく変えようとしているので、そこでロシアとインドとの信頼関係が大きく崩れるか否かという話になっている。しかし、モディさんはどうやら、インドの防衛装備の選択の独立性を維持するという姿勢の堅持をプーチンと語ったのであろうというという見込みらしい(このへん)。

 

■ レジスタンス運動

ということで15年ぐらい、あるいは911から20年近くのスパンで考えれば、まぁ気が狂った勢力は相変わらず獰猛だとしても当初より大分退却してるんだなと考えることができる。

で、前は一方的に武力持ち出して、100万人ぐらい軽く殺せるんだぜというバカっぷりをイカンなく発揮してたわけだけど、最近それができなくなり、かつ、プーチン政権による強制MAD状態も確立されてしまったので、世界大戦を起こす~とかいうのも、米統合参謀本部の動きを中心に見る限り、最低限、大分慎重になってきているように見える。(シリアの北東部と南部という難題を抱えているとしても)

 

そこで、事件を作ってそれをネタにロシアやらイラン、北朝鮮と付き合うことに制裁を掛けるというプロットが盛んに多様されているわけだけど、これはもう、みんなして無視するという手しかないのではないの? 

つまり、そんなことするとドイツ企業はアメリカで商売できなくなる、いいのか、と脅されても商売し続ける。商売は客にも需要があるから成り立つわけで、この脅しがドイツの1企業だけだと屈するしかないのだが、何百社、フランス、その他EU各国、トルコ、ロシア、中国が同じ方針を取って行ったら、アメリカの方にもダメージが出るでしょう。

それぞれに決定的に強い業種とかもあるしね。

あとロシアの多段階対応能力はまだ発揮されていない。制裁に対するカウンターを留保してる。

欧州側は、どこであってもできればユーロで払ってというのも一つの方法かも。また、米財務省が制裁金かけてきても、払わない。さらに、中国、ロシアはうちのマーケットは大歓迎だよ~という姿勢を取る。

といった恰好を作っていけば、全方位に制裁をかけることは、最終的にはアメリカの利益にならないという話になるんじゃなかろうか。

時間をかけていけば、上海とペテルブルグの金属先物市場というのも、ユーラシア側への資金の呼び込みに役立っていく可能性もあるよなとか思ったりもする。

 

■ 率直に言ってあまりのことに呆れてる

で、みんなこのアメリカというか英米に対してどういう思いを持っているかというと、率直に言ってあまりの悪辣さに呆れてる、ってところでしょう。

先月のドイツのベテラン政治家のWilly Wimmerの一言に現れているでしょう。

イギリスの行動は「マフィア国家」のよう by 独の政治家

イギリスとあるけど、基本的に、イラク戦争を起こしたグループという意味では英米一緒。一致して、アメリカだけとは思ってないと思う。

「私たちヨーロッパ人は、ブリテンとある経験をしています。私たちはトニー・ブレアを思い出さないとならない。彼らは一つの戦争から次の戦争へと嘘をつくんです。

“We, as Europeans, have an experience with the British. We only have to look back to Tony Blair. They lie from one war into the next one.”

この、彼らは一つの戦争から次の戦争へと嘘をつくんです、ってアングロ・シオニスト・アメリカなる覇権を語る際、必ず引用すべき一言って気がする。

 

これもあった。

中国:英政府の蛮行を批判し、国防大臣は中露の絆を示すと言い出す

2018-04-04 22:06:05 
 
 

■ オマケ

振り返ってみて、この15年、ドイツはいろんなところで勇気を出してる人がいる。

買収ジャーナリズムの実態を告発したドイツ人ジャーナリスト亡くなる

そうなる一つの理由は歴史の解明だと思うな。

「ソフト占領」:米の占領下にあり続けるドイツ

 

■ そうはさせじ

サウジ国王、新規政府事業からドイツ企業を排除命令=独誌
https://jp.reuters.com/article/saudi-german-firm-idJPKCN1IT0GZ?il=0

[フランクフルト/リヤド 25日 ロイター] - サウジアラビアのサルマン国王は、今後政府事業についてドイツ企業を新規契約先として選定することを禁止する勅令を発した。独週刊誌シュピーゲルが25日、情報源を明らかにせず報じた。 

 

いいんじゃないか。イギリスではサウジに兵器を売るなという運動が結構持続的に存在している。ドイツにもあったと思う。

サウジとイランとどっちと組むかと言われりゃ考えるまでもなくイランだろうし。

 

一方、フランスTOTALは、ロシア北極海LNGプロジェクトへのシェアを現在の20%から30%に拡大する模様。

France's energy major Total joins $25 billion Russian Arctic LNG project
Published time: 28 May, 2018 09:03
Edited time: 28 May, 2018 10:34

https://www.rt.com/business/427991-total-billions-russian-arctic/

 


 

 


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