晩御飯を食べてお茶の用意をしつつ、がやがやとおしゃべりをしながらふと付いていたテレビを見たら、我が国大本営広報部(NHK)が、シリア問題でロシアやアメリカやらが集まって話をしているというニュースを報道したいた。
真剣には聞いていなかったのだが、ふと小耳にはさんだ一文は、ロシアの和平案だとアサド大統領が退陣にならない可能性があるので、退陣を求めるサウジアラビヤやアメリカの対応が注目されますとかなんとか言っていた。
いつからシリアの大統領はアメリカやらサウジアラビアが決めることになったのだという疑問を抱かないのが現在の西側世界の常識なので、我が国大本営広報部もそれに従っているのだろう。
しかし、こういう態度こそ、実のところ将来に禍根を残すだろうと私は信じる。なぜなら、嘘や詭弁やルール違反に唯唯諾諾と従う態度というのは、その嘘やら詭弁が崩れた時、嘘やら詭弁の主張者よりも、追随者の方がよりみっともなくなるというのが世の常だからだ。
いつものように貴重な記事を訳してくださっている、「マスコミに載らない海外記事」さんが、ポール・クレイグ・ロバーツの記事を訳してらした。引用させていただきます。
ジミー・カーターを呼び戻そう!
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/post-7221.html
<中略>
ワシントンの傀儡となるのを甘受しようとしない、選挙で選ばれた政府を打倒しようとする違法な企みのため、ワシントンがISISを利用しているという、本当のことは、フォックス“ニューズ”は決して報じない。
はっきり言えば、完全に法律違反しているワシントンは、戦犯として振る舞い、選挙で選ばれた政府を、言うことを聞く傀儡で置き換えるべく、打倒しようとしているのだ。
ここが現状のポイントの1なんですよ。
アサドは普通に選挙で選ばれ、ちゃんとした国軍を踏ん張らせることができたという意味で、私なんかは予想以上にといいたいけど、実は国内に支持がある大統領なのね。
それに対して、「反政府組織」なる人々、あるいは自由シリア軍という名前の人々がシリア政府軍と互いに争っている、つまりこれは内戦だというのが一般的な理解というか、西側的な正しい解釈。
しかし、実体はこの反政府組織なるものは誰が誰だかわからない。確かに一部は反アサドで戦いたい人はいたでしょう。しかしそれを焚き付け、そこにガソリンぶちこんで騒動にしたのは、そんな一般人じみた人々ではなくて、外国からの資金と武器に支えられた人々で、その中にはアルカイダが生易しく見えるような奴らも多数いたし、今もいる。
と、この構図は2013年にまるわかりになっている。だから今更何を言っているんだという話。
で、問題はこの資金源となってるサウジアラビア、カタール、実行部隊になってる米CIA、トルコの言うことを、どうしてシリア国民は聞かないとならないの?でしょう。
笑っちゃうよね。サウジアラビアの王様グループは、この間にも誰にも大きな注目をされないもんだからイエメンで酷い一戦をやっていた。それも無問題、シリアに民兵投入しても無問題。
これは一体なぜ? アメリカはなんでこんなにサウジに弱いんだ、と少なからぬアメリカ人たちは2001年以来思ってるわけだけど、直らない。
イスラエルとサウジに牛耳られたアメリカを、民主主義の希望だの自由と民主主義を守るのはアメリカだとか、どの口で言ってるんだ、でしょう。
で、これがポイントの2ですね。
2013年あたりで中東を整理していく方向に行っていれば、アメリカはここまで評判落とさんでも済んだかもしれないですね。まぁあの時でもやばかったけど。
■ アメリカはオリガーキ支配
と、そこでこのカーター元大統領が今年の夏に語ったのが、
アメリカはもはや民主主義ではない、オリガーキ支配だ
ってなこと。こんなキャッチーな言い方をしたんじゃないでけど、せんじ詰めればそういうこと、という発言をした。かなり有名な話。
今、jimy carter no longer と検索ワードを入れたら、
jimmy carter no longer a democracy
が一番上にあった。一番読まれたっぽい記事を一つあげておくとこれか。
Jimmy Carter Is Correct That the U.S. Is No Longer a Democracy
http://www.huffingtonpost.com/eric-zuesse/jimmy-carter-is-correct-t_b_7922788.html
だからこう、アメリカの支配者層の中でも、奥ノ院だかディープステートだかに国を売り渡すなんて間違ってると考えている人たちが今一番心配しているのは、上で書いたポイント2なんだと思うわけです。このまま行くと、自由と民主主義を守るべき大事な価値だと言えなくなるな、と。
もはやシリアの和平を通り越してるといったらシリア、イラクの人に悪いけど、でも、こっちはもう、ロシアとイランに大きな役割を引き受けてもらって少しづつ体制を整えるしかないっしょ。
ところが、そうはなってほしくないもんだから、「決戦志向」に出てるのがいわゆるネオコングループなんだと思う。私は、もはやこの人たちにはビッグスポンサーみたいなのはいないんじゃなかろうか?などしばしば思う。性質が悪すぎて、誰がどう考えても3歩先には倒れるしかないから。
■ アメリカにこそレジームチェンジが必要
結局のところ、アメリカこそレジームチェンジが必要なんだと思う。
それはもう多くの人たちが言っている通り。しかし、これができない。選挙資金がかかりすぎるのと、あとはメディアでしょう。主要メディアが既にオリガルヒ支配の側についちゃったから、これを覆すのは至難の業としかいいようがない。
というわけで、むしろ、ロシアRTなんかがアメリカの反オリガルヒの声を丁寧に拾っているという意味で、アメリカの野党状態だなぁとか思う。いいんだろうかとかねがね疑問に思ってるけど、もうこれしかないんでしょう。
しかし、それでもアメリカ人のヘタレぶりはなぁ~、半端じゃないですから。
だから結局彼らは自らポジティブに状況を変化させられないんだと思うんだな。
■ ネオコン封じ
ということは、結局、ロシアがデカい声をあげて、これまで半腰にアメリカに従っていた国々が、自国のメリットが小さくなることを契機に、論点ごとにネオコン・アメリカに従わないという態度を見せることによって、ネオコン・アメリカを行き詰まらせる、という戦略が各国で共謀しない共謀みたいな感じで取られるだろうと思う。
キーになるのは、中東は既にみたようにイランと地味にエジプトの去就が大きい。戦略的にこれでOK。
で欧州はドイツが折れる可能性は結構ある。チャイナは、目立って大きな動きをしないことが結果的にこのフォーメーションに寄与していることを知っている。ここでおそらく、インドネシアが地味に重要。
オーストラリアがアメリカにもチャイナにもいい顔をしようとしていると産経あたりが怒ってるっぽいけど、オーストラリアを含む英グループが心配しているのは、次の2つではなかろうか。
- オーストラリアが完全にアメリカの子分になってこん棒を振り回すようになったら、インドネシアとロシアとの関係が強化される可能性が高まるだろう(インドネシアの仮想的はオーストラリア)、
- 中国がこれ以上主張せざるを得ない状況に追い込めば、次は、域内の当事国+若干南のインドネシアを含めた東南アジア全体で、地域の問題は地域で片付けるというスキームを作る方向に一層強く動かれていまうだろう (そうなれば、アメリカは口を出しづらくなる)
チャイナは2はうれしいが、1はそうでもないでしょう。ってところで、オーストラリア(というか英グループの総意?)は、バカに思われようとも、このへんで南シナ海を北限とする海域の緊張を管理可能なものにしないと、ではなかろうか。
総合すれば、ネオコンの封じ込め作戦するしかねー、って感じじゃないでしょうか。
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