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ヒトラー・シオニズム・イギリス

2016-05-04 01:24:36 | 欧州情勢複雑怪奇

昨日はエバンス-プリチャードが妙な記事を書いていたけど、一方その頃、元ロンドン市場のリビングストン氏が、ヒトラーはシオニズムをサポートしていた、と発言したとかでちょっとした騒ぎになっている。

リビングストン氏が言及しているのは、要するに1933年にナチス政権とドイツ国内のシオニストグループが締結したHaavara Agreementのこと。一般に「譲渡契約(Transfer Agreement)」と呼ばれているそれ。

wikiを見たら、日本語版がないのでとりあえず英語版をリンク。

Haavara Agreement
https://en.wikipedia.org/wiki/Haavara_Agreement
 

で、このスキームの中でドイツにいたユダヤ人がナチス体制が取った反ユダヤ主義からの迫害を逃れて当時英統治だったパレスチナに移動できるようになった。その際逃げる人は財産を所定のところに渡すことになっていて、それがプールされてそれでパレスチナで必要なものを買うってなスキーム。

これによって大量の人間がそうでなければ思いもよらなかったであろうパレスチナなんつー遠いところに移動することとなり、それが後年のイスラエルに繋がる。

ナチスこそユダヤ人国家樹立の最大の協力者とか言われるのはそのため。

■ ヒトラー・シオニズム・イギリス

私がこのリビングストン舌禍事件を知ったのは、the Independentのウェブサイトを開いたらこの記事が出て来たから。

Hitler and Zionism: Why the Haavara Agreement does not mean the Nazis were Zionists
http://www.independent.co.uk/news/world/world-history/adolf-hitler-zionism-zionist-nazis-haavara-agreement-ken-livingstone-labour-antisemitism-row-a7009981.html

で、いろいろ記事内ではアンチ・セミティズムと捉えられるようなことはけしからん的なことを書いてはいるものの、譲渡契約についても詳しい説明がなされている。

こんな風に書いたら今まで知らない人も知っちゃうじゃんかってところもあるわけで、なんか興味深い。

ただ、イギリスの多少知識のある人たちはこのへんを、ひょっとしたらドイツ人よりあっけらかんと知っているかもなぁというところも実はある。だってこのプロジェクトはイギリス支配のパレスチナってのがなければできないし、譲渡契約に至るまでの関係者もドイツ国内だけでなく、イギリス関連の機関(少なくともイギリスという国家の下にあった機関)が関与してたから。

別の言い方をすれば、シオニズムを媒介として、つか、ユダヤ系の大金持ち集団を媒介として、イギリスとドイツは抜き差しならない関係ではあるわけですね。

でもって、この構図は日本にも関係があると思う。日本はイギリス系に開国させられたのにいつの間にかドイツ系に傾倒していきました、みたいなことを言う人が多いけど、それって裏に回れば同じエージェント集団が働いてたって話じゃないの?というのが私の考え。


■ いろいろ資料が出てくる季節だな、と

そういえば、去年、西ドイツがイスラエルの核計画にかなりの資金を提供していたという話が出てきていた。

60年代、ドイツ、イスラエルの核計画を秘密裏に支援

 

総じていえば、ドイツという19世紀に出来たこの枠組みはドイツユダヤ系に仕切られたままってことなんじゃないでしょうか。もともとドイツ東方拡大は都市部の商工業者的なところの層をわが物のして、王様等の上の方は飾り的に残るってな手法だから、国家のような枠組みを残して実質を動かそうとする現在と似ていなくはない。

で、そのスタイルを完全適用されたのがほかならぬドイツだったというのがドイツ人にとって悲しいところ。

■ ドイツとユダヤ

そうそう。金持ちユダヤとかいうとすぐにロスチャイルドとなる人が多いけど、でもFRBを作るにあたって大きな働きをしたのはポール・ウォーバーグでしょ? この人はドイツ生まれで後にアメリカに移住した人。ウォーバーグは相当古いユダヤ系のバンカー一族。

しかし、ドイツ系ユダヤ人というと金貸しばっかりに思うのはまったくの誤りで、実業家もいれば学者、音楽家、画家も多数。オーストリア、ハンガリーあたりの19世紀はこれらの人々を抜きには語れんでしょう。

そういえば、レーニンをかくまっていたのはオーストリア帝国だというのは、結局このへんにリンクが行くってことなんでしょう。そして、乱暴な話になっていくというのがなんとも嫌なことではあるけどね。

さらにいえば、日本の明治憲法の解釈をしたというか、解釈して日本から習いにいった学者さんに教えたらしいゲオルグ・イェリネックもそれら豊饒といいたくなるほどに様々な多彩な人を生み出したオーストリア周辺のユダヤ人集団の中の人。お兄さんがダイムラーの創立者で、別のお兄さんは外交官だったかなんだったかでみんな賢いってんで有名な一家。

 


 


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1 コメント

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『プロテスタント発のシオニズム』 (ローレライ)
2016-05-04 10:49:46
イギリスとドイツの『プロテスタント発のシオニズム』はロンドン生まれ。ナチズムやコミュニズムもロンドン生まれ、カイザー時代のドイツ国歌はイギリス国歌を共用していた。
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