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ナショナル・インタレスト、「LOST」だそうです

2014-10-30 21:39:25 | 太平洋情勢乱雑怪奇

The National Interestというアメリカの雑誌がある。wikiの解説によれば、

アメリカ合衆国のワシントンD.C.に拠点を置くニクソン・センターから発行されている隔月刊の外交専門誌。本誌は名誉会長にヘンリー・キッシンジャーを据える。発行部数は1万部。現実主義的な立場に立った論調で知られ、国際的な社会・文化・経済・歴史の差異に注意を払った編集方針を採る。競合誌『フォーリン・アフェアーズ』に対しては、その内容が外交政策の技術的側面に偏っているとして、しばしば批判的である。英称"The National Interest"は、直訳すると「国益」。

という説明になってる。ぶっちゃけ共和党系で、宗教系でない人たちに好まれている雑誌とでもいいましょうか、リアリストグループ御用達ともいうかもしれない。でも、見てると論文は結構玉石混交かも、とも思う。でも、短くてカジュアルな記事なんかもあって、それはそれなりに楽しめるからファンは雑誌の部数なんか目じゃないほどいると思う。

で、その11-12月号の表紙がなんかちょっと・・・だったのでメモがてらアップ。

 

LOSTって、失ったという意味で、それはつまり敗北ってことなわけだけど、何に負けたんでしょうかね。必ずしも明らかではないけど、オバマはバカなことをやって全部失敗してっからな、という意味なんでしょう。

さらに、National Interestがlostした、つまり国益を失った、とも読めるか。

The National Interest

まぁそうだと思うけど、しかし、皮肉なことを言わせてもらうと、アメリカのこういう論文誌を含む言論界、ジャーナリズム界もこの半年で相当「LOST」したんじゃないだろうか。何を? 信用を。

ウクライナ問題が始まって以来、ウクライナ、ロシアに関して、アメリカの言論界は殆どまったく嘘だらけの記事を輩出していたわけです。少なくとも半年ぐらい。部分的には現在も。これは、イラク戦争の時を上回る言論統制具合だった。イラクの時には少なくとも反対派の言論も出ていたが今回は殆ど主流言論部分から締め出されてる。

まず、2月のクーデターから書き起こせないという状況が非常に重要。書けた、言えた、指摘できた人はごくごく少数で、その少数の人の中にミアシャイマー氏、コーエン氏、ロン・ポール氏がいた。しかしそれも大っぴらに意見を述べる機会はごく限られ、そのうちで最も大っぴらに言えたのはロシアのRTにおいてだったりする。

これはつまり米国国務省の線引きが、そこを無視して、いきなり、プーチンがクリミアを取ったから物語を開始するという仕立てだったからでしょう。国務省はウクライナにナチもどきがいることをクレムリンのプロパガンダだとまで言って、クレムリンの嘘なる声明まで出した。しかし、実際には嘘つきだったのはアメリカ政府なわけですよ。

そして、これら論文誌はみ~んなして抵抗できず、プーチンが悪いの大合唱に加わっていた。ウクライナの状況について多少なりとも客観的なことを書く人が出て来たのは9月ぐらい、つまり停戦できたあたりだったと思う。しかし、今度はウクライナ問題に触れなくなった。

この状況は、アナリストや専門家にとって致命的だと思うわけです。なぜなら、分析や観察を捨てたも同然だから。嘘を基にあれやこれや書いたところで、何の役にたちますか? 論文を書く人はそれが商売だから嘘でも書けば仕事になるだろうけど、読む人は白けます。そして、信用というものが失われていく、と。アメリカの雑誌を読んでも仕方がない、となる(イギリスもそう)。既に、アメリカ人の中には主流雑誌は何を読んでも同じ、嘘が多すぎるとなっちゃう人たちが出てきてる。主流じゃない、いわゆるオールタナティブ(昔でいうアングラ?)メディアでは、もう殆どが、アメリカ政府は嘘ばっかりついているという地点から始まる記事ばっかり。

そしてアメリカ人たちが、間違わないでくれ、アメリカ人はみんなこんなんじゃない、とか、現政権は我々を代表してない the current us government does not represent Americans、とかなんとか言う。悲しいね、ほんと。

2、3日前に読んだコメントで印象的だったのは、

俺は今まで、ロシアは bad guys(悪い奴)、俺らは good guys(良い奴)、奴らはダメな方向に行き、俺らは history is on our side (歴史は俺らの味方=今後も上手くいく)、と無条件で思って来た。

しかし、最近思うに、奴らはきっとずっとbad guysなんだろうが、俺らは evil guys(邪悪な奴ら)で、別に俺らの側に歴史があるってこともないんじゃないかと思うようになった。

とかいうもの。わかる、その感じ、と私は思った。私も冷戦期の少女だったから。

こうやってアメリカのソフトパワーなるものに影が差していくんだろうかなぁと思う今日この頃。覇権って、お金と軍事だけじゃないと思うんですよ、マジで。


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