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ドイツ、NATO欧州司令官のコメントは危険なプロパガンダ

2015-03-08 21:49:39 | 欧州情勢複雑怪奇

NATOの欧州連合軍司令官、つまりNATOの欧州チームのトップのブリードラブ将軍がウクライナ情勢の近況についてコメントし、それに対してドイツのシュピーゲルが、ドイツ首相官邸が「危険なプロパガンダだ」と言っているとシュピーゲル誌が伝えている。

Breedlove's Bellicosity: Berlin Alarmed by Aggressive NATO Stance on Ukraine
http://www.spiegel.de/international/world/germany-concerned-about-aggressive-nato-stance-on-ukraine-a-1022193.html

見出しだけ見ても、「ブリードラブの好戦性:ベルリンはNATOのウクライナに対するスタンスに危機感」

とあるわけで、ドイツの高級紙から出るものとしてはかなり踏み込んだ言い方だと思う。

日本で、政府はアメリカの好戦的態度に危機感を抱く、と大見出しを打てる主要メディアが日本にある?と考えてみればいい。

ブリードラブは何を言っているかというと、プーチンはウクライナ東部における掛けを上げていっていて、ロシアは最新鋭の対空能力のあるものを含む1000台以上の戦闘用車両を持ち込み、またドンバスに砲撃部隊を投入してきている、状況は良くなるどろこか日々悪化しているのだ、とかとかと言ったらしい。

詳細はどうでもよくて、つまり、またまた、再度、再再度、NATO軍が架空戦記を書いているって話だと思う。

で、私がそう思うでけでなく、ドイツ政府まわりも諜報部を含めて、そんな状況になってないだろーと判断してる。つまり、ブリードラブがまた挑発して何かしようとしているんじゃないかと判断したので、ブレーキを掛けるためにこうやってそれは危険なプロパガンダだという文言を出して来たんじゃないかと思う。

(逆にいえば、危険な兆候が見えているのかもしれない。ありそうなこと。また黒海で演習やっているし)

■ 多分NATO欧州軍が過激派の巣窟

結局、去年からずっと見てて、このNATO欧州連合軍が今般のウクライナ危機における危険な実働部隊なんだと思うんだよね。

ポーランドあたりを本拠地にして何を、あるいは誰をウクライナに投入しているかわかったもんじゃない、って感じになってると思う。

で、アメリカ軍本体の方はそれに応じる形でいろいろと、200人、400人、1000人みたいな単位でロシア国境に「アドバイザー」たらいう資格で将兵を出している。

その意味においてはNATOは、ロシアの脅威に備えていると言って言えないことはないし、そのたびにロシア政府は、挑発するな、危険を呼び込むなと抗議してみたりはしてる。

だけど、出ている数字、装備は何を持って行かせているか等々を考えると、到底本気で対露戦争準備とは思えない。ロシア陸軍を何だと思ってんねん、でしょう。

この行動の意味は何か。

表面:バルト3国+ポーランド+ルーマニアあたりに対して米軍はいつも君たちと一緒だよ、ロシアは脅威だね(それこそがNATOの存在意義)。

裏面:バルト3国+ポーランド+ルーマニアあたりの将兵をそこらに放置してたら、何を起こされるかわかったもんじゃない。

つまり、満洲事変とかやられるのはまっぴらだ、という暗黙の了解が米露間にあるんじゃないかと思ってみてる。

米露間というのは非常に特殊な関係で、政府間が喧嘩しようが、根本の根本のところでこの二国は核戦略を通して「信頼」関係にある。信頼にカッコを付けたのは、別に、敵味方、好悪で区切れる関係じゃなくて、相手も俺も冷静にプロトコルに従う、従わざるを得ない、というある意味「強制信頼」みたいな感じで、これを冷戦当時は「MAD(相互確証破壊状態)」とか呼んでいた。核戦略の議論って殆ど形而上学の世界なので面白い人には面白い。

■ ネオコン最後の戦い

で、その強制信頼関係から見た時、ネオコン+リベラル介入主義者という今般シリアを潰してウクライナを潰してとわらわら地球上すべてを戦場にしかねない勢力というのは、明確に「排除すべきもの」なんじゃなかろうか。

つまり、ブッシュ以来の勢力はこの強制信頼関係を崩して米国一国支配を樹立しようという野望があるわけで、それは究極的には核の話になるんだと思うんだけど、現状、米国の深い深いところの一群を突き動かすことはできなかった、ってことじゃないんですかね。

なぜそうなったか。

多分、論理的に考えればそう難しいことじゃない。

一国だけが優位である場合、その一国が他国にとって安心できる、ある種のmoral authority(道徳的な権威)が付いている場合、誰にとってもそんなに問題がない。

しかし、その一国が過激で不道徳であった場合、それは誰にとっても問題、というより地球の破滅的な何かさえあり得る。(ハルマゲドン志向などもっての外なんだがそういう発想をする人たちは世の中には必ず存在する)

これを避けるためには、その一国に敵対できる勢力を確保すればいい、ってことじゃないですかね。

ミアシャイマー氏が米国の現在の政権を非難する際に、ワシントンにいる人たちは自分たちをbenign hegemon(善良なる覇権)と考えているということを痛烈に非難しているんだけど、これこそ上の構図で見た時にまったくよろしくない傾向だ、ということになるんだと思う(狂人が自分を適切で善良な王様だと思ってる構図、と考えればいい)。

このへんの話。

ミアシャイマー氏、コーエン氏、ロシア・トゥデイに出演


で、ネオコン+介入主義者(≒トロキスト)は、善良でもなければ適切でも妥当でも公正でも、ある程度でもより多くの人々のためを考えられるほどパブリックマインドにあふれているわけでもなかった以上、この勢力に付き従いたいと思う国々、人々は時間と共に漸減する(その意味で世界中の支配者層が悪魔化されていたらこうはならなかったって話でもある)。つまり負けてるんだけど諦めが悪いので、現在世界カオス化計画をまだやってるけど、それもそろそろ飽きられてるってことでしょう。

 

■ EUが攻めてるのか、ロシアが攻めてるのか

イギリスのピーター・ヒッチンズが、ネオコンの牙城みたいなSpectatorという雑誌上で、よく考えてみよう、拡大中なのはEUなのかロシアなのか、という切り口の記事を書いていた。イギリスはなんだかんだとバランス感覚を死なせずに議論してるなぁと思う。

It’s Nato that’s empire-building, not Putin
Two sides are required for a New Cold War — and there is no obvious need for an adversarial system in post-Soviet Europe
http://www.spectator.co.uk/features/9459602/its-nato-thats-empire-building-not-putin/

ドイツはEUの実質的な主人なので、EUの拡大方針についてはあまり触れない。が、イギリスはヨーロッパであってヨーロッパじゃないので、拡大してるのはEUじゃないか、という見方がすんなり腑に落ちる土壌がある。特にEUを新たなソ連のようだから脱退すべしと考える保守派系統にとっては、それみたことか、だし、ウクライナ攻めはドイツの年来の希望だってことはよく知られてるので、なんでそれをイギリスが支援する必要があるんだ、ってのは潜在的に特にインテリ層で強いと思う。だってこれだもん。

世界強国への道/フリッツ・フィッシャー)

ここ1年間、狂ったようなプーチン批判をしていた本拠地はまぎれもなくイギリスだけど、それってイギリスの一般人とは微妙に違うんだ、ってのは前から書いている通り。シティなる治外法権領域みたいなところを持った国なので、そこから出て来る意見とBritishの一般大衆はかなり違っていて、一般大衆はそれらプロパガンダマシーンに慣れている。

で、この国のこの「分裂」が、アメリカの分岐と同期してるといっていいんじゃないかと思う。つまり、UKのため派と世界支配派があって、アメリカでも共和党なんかにいる孤立派と呼ばれる一派とネオコン+介入派がこれに対応してるんじゃないの、と思うわけ。

国ごとに考えるから間違う。


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