ロスチャイルド王国 (新潮選書) | |
新潮社 |
前のエントリーでロスチャイルド家のことを書いてふと思い出した一冊。
1975年の出版で、新潮選書から出ている。
私はこれを80年代後半ぐらいだったと思うけど古本屋で見つけて買ってきて読んだ。なんで買う気になったのか今でも思い出せない。古色蒼然になっちゃったけどなんと実家にまだあったのをこの間発見した。
この本は、私に衝撃を与えた一冊といってもいいかもしれない。なんせまだ若くて知識もないから、内容の真偽は全然わからなかった。しかし、一つだけわかったことがあった。それは、王様や皇帝だけが世の中決めてるわけじゃないわけね、ということ。
今思えば、単にそれだけ、なんだけど、やっぱり学校時代に「正統」なものとして読んだもの、読まされたものというのは、王様とか皇帝、お殿様中心主義だったわけで、知らず知らずのうちにその人たちだけの判断で物事が進んでいるような錯覚の中に住んでいた。だから、この本のおかげで、なにかこう、蒙昧を開かれたみたいな気はした。しかし、同時に、じゃあ世の中ってどうなってるわけ?政治なんてうわべなの?みたいな結構深刻な苦悩に出くわした若き日の懐かしい思い出の一冊。
昔はインターネットなんてものがないから、人の発育は遅かったというべきかもしれない。
今思えば、75年にはこういう本が普通にメジャーなところから出ていたわけだ。そして、その頃ユダヤ人関係は主に資本主義とはなんぞやというテーマとして語られ、それはつまり社会学系統の中に細々と生きていた・・・んだと思う。ゾンバルドの本をまず読め、みたいな。
そのへんから考えてみると、ユダヤといえばアンネの日記、アンネの日記といえばホロコースト、さもなければ大金持ちと政治ロビー的な昨今の展開というのは、ものすごくへんな状況なのだなぁと改めて思う。すっかり忘れていた。90年代までユダヤ人といえば何よりもまず経済・社会における深刻でメジャーなテーマだったのだった。
つまり、冷戦の崩壊と共に現行のシステムに疑問を持つ必要はないとして切られた学問の中で一緒に捨てられていったということだろうか?
これが原書らしい。1991年にペーパーバックが出ているんだからロングセラーというべきか。
The ROTHSCHILDS A FAMILY PORTRAIT
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