米の最高裁判事のギンズバーグさんが亡くなったので、当然次の人が任命される。トランプ大統領下なのでトランプまたは共和党にとって好ましい人が任命されることは、好むと好まざるとにかかわらずアメリカ政治の常識。
こうなると、連邦最高裁判所の判事は保守派が6人、リベラル派が3人となる。
となるから、現在米の民主党が大統領選挙間近なんだからトランプに指名させるなとか言っている。
逆なら共和党がそう言うだろうし、事実前にもそんなことがあった。
で、(保守派)5-4(リベラル)が6-3になったらマズイだろうと思うのだったらどうすればよかったのか。
それはギンズバーグがオバマ大統領時代に辞任して、別のリベラル派の判事を押し込めばよかった。
前例はある。米国初の女性判事のサンドラ・デイ・オコナー(1981年レーガンが指名)は、終身の任期を文字通りには全うせず、ブッシュ息子の時代に辞任して、ずっと若いロバーツ判事が任命された。このロバーツ判事が現在の主席判事。
オコナーの辞任は、一応、夫が病気だったので家庭を取った選択でしたということになってるけど、でもとりあえず現実に共和党にとって損失にならならなかった。
ギンズバーグの場合に民主党はこれを考えなかったのか? いや、考えてた気配、動きはあったし噂もあった。それにまつわる記事、論考は今でも残ってる(例: 2013年のNew Repblicの記事)。
だがオバマ末期でも80歳を超え幾度か入院の必要な病気にもなっていたギンズバーグは辞任しなかった。
なぜだろう? もちろん本人に聞かないとわからないわけだけど、想像してみるに、オバマの次はヒラリー8年と考えていたからではないのだろうか?
ところがトランプになってしまって、ひょっとしたらあと2ヵ月待ったら再度デモクラッツになったかもしれないが、ギンズバーグの寿命はその前に尽きてしまった。
アメリカの最高裁の判事はかつては白人男性ばっかりだったが、1967年にアフリカ系のサーグッド・マーシャルが任命され、次に上述のオコナーが1981年に任命される。
ギンズバーグは女性であるのみならず、ユダヤ系という線もバックグランドと読まれている。オバマが任命した女性判事エレナ・ケイガンもユダヤ系。
ユダヤといってもいろいろな出身地があるわけだけど、ギンズバーグもケイガンも、ロシア帝国からの移民の子孫。このブログ的には、またか!といわないとならない。
アメリカの現実を反映させるために様々な価値観を反映させるべきなのだという意見の結果このようなことになった。それはそれで良いこともあったんでしょう。
だがしかし、みんなにとって良いアメリカを作ろうと思うのなら、どうしてそんなにバックグラウンドに拘るわけ?という考えも成り立つわけで、そろそろこの「保守 vs リベラル」の分断政治も潮時なんじゃないかと思う。
だがしかし、そこで具合のいい人が出てくる可能性は、70年代とか80年代よりもずっと低くなってる気がするな。つまり、「保守派」が穏当な人たちのことならいいけど、レーガン保守とかだったら、まぁなんてかそういうアメリカになっていくんでしょう。
トランプは今のところ指名しないことにします、などとは言ってないと思うのでこのまま指名になるでしょう。
トランプ大統領「判事9人必要」最高裁判事 26日に後任指名へ
2020年9月23日 10時44分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200923/k10012630421000.html
これは、仮にトランプが落選しても変わらない。ギンズバーグの行動は実に大きな結果をもたらすかもしれない。そしてそれが2016年の読み違えであるのなら、そりゃもうリベラルがトランプを呪いたくなるのもちょっとわかる。
一度つかんだら、死んでも離さない。
権力欲の亡者達が、政界に老害をもたらし、挙句の果てに、要介護に片足突っ込んだ認知症の高齢者を大統領にまつり上げる醜態。
もし、「死」が富める者、貧しき者に平等に与えられなければ、ギンズバーグは永遠に最高裁判事の座に居座りつづけたはず。醜悪。
ギンズバーグはナルシスト婆だから、ヒラリー大統領と共に肩組んで笑顔でNYTに載って、ここまで長かった女性のなんちゃら、みたいな記事を書いてもらって明日のアメリカを語る、みたいなことを想像してたと思う。