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トランプ、ゴラン高原はイスラエルものだと宣言

2019-03-22 16:20:12 | アジア情勢複雑怪奇

トランプが、そろそろゴラン高原はイスラエルの主権に基づくと認めるべき時だ、などと言い出している。

トランプ氏「ゴラン高原、イスラエルに主権」中東緊張も

https://www.asahi.com/articles/ASM3Q20NDM3QUHBI009.html

 

シオニスト・アメリカ合衆国、既に衣さえないって感じですね、などと言いたい。

この間書いた通り(ここ)。

今のアメリカの政権は、マジで、日を追うごとに、クリスチャン・シオニスト(在米)とユダヤ・シオニスト(イスラエル)の夢がかなった政権になってるなぁと日々思う。

これはまぁ別に驚くこともでないとチョムスキーなら言うでしょう。この件に関してはチョムスキーは昔からずっと正しいことを言っていると思う。

つまり、多くの人はシオニストというとユダヤの、と思うけど、クリスチャンの方がずっと先でずっと広い。18世紀、19世紀を見ても英国のエリート層に深く浸透してる。アメリカ、カナダ、オーストラリアで流行ってることを見てもそれはわかるだろう、と。

 

それはそれとして、これはトランプによるネタニヤフ再選の応援だよね。ネタニヤフは強い政権ではない上に今回はさらによろよろになっている(とはいえ、ネタニヤフが落ちたら次に誰が来そうなのかとみると、さらに悪くなる可能性も見えるので油断がならない)。

また、トランプのケツ持ちはシェルドン・アデルソンというカジノ屋のユダヤ系のじいちゃんだというのは既に広く知られているので、こっちも選挙運動。

シオニスト勢力がフル回転で選挙応援演説をやっているようなもの。

 

それはともかく、ゴラン高原はイスラエルがシリアから奪ったものであるという歴史はまだ多くの人が覚えているため、アメリカが認めようと、国連決議はシリア領のままだし、世界中の多数の国々が、へいへいアメリカ様の言う通りと言い出す気配は今のところない。

イスラエルは、1967年の第3次中東戦争でゴラン高原をシリアから奪って占領、81年に一方的に併合を宣言した。国連安全保障理事会はイスラエルの撤退を決議で要求。国際的にイスラエルの主権を認めた国はこれまでなかった。

 

で、トランプの戦法は、「王様は裸だ、そうだ俺は裸だ」戦法なんだとは思うわけですよ。つまり、これまでオバマとかカーターなんかが代表例だけど、きれいなことを言って、訳知り顔で苦渋を示して、実はとんでもないことをやり続けてきたのがアメであり、アングロ・シオニスト・アメリカという体制。

イスラエルはこの体制にとってとっても重要なところ。中東というかヨーロッパから見た時の地中海東岸に杭を打って、そこを拠点にして中東政策を仕切ってきたわけですので。でもって2003年にはインド洋側に通じるイラクをぶっ壊して、そこを拠点化して、ついに中東を全部支配下に置くようなつもりだったんでしょうが、なんか不調(笑)。

で、トランプは、南アジアから中東にかけて、あいつらホント悪い奴と身もふたもない非難を浴びる「王様は裸だ」状態となったアングロ・シオニスト・アメリカ体制の危機に際して、「そうだ俺は裸だ」という、ある種の居直り戦法で出て来た、と。

そう思う人は私だけではないんだろうと思うのは、こういう絵が過去2年間時々出て来る。

 

そこで、そうだやり直すのだ、というのがトランプを支持した「The deplorable(嘆かわしい人々)by ヒラリー」だったわけだけど、「王様は裸だ、そうだ俺は裸だ」戦法はしょせんは反動なので、大戦略みたいなものはない。

それに対して、ユーラシア側は、プーチンにしても習にしても、そこを横目で見つつ乗っかっていくメルケルやらエルドアンにしても、交易を通じた将来の設計をしている。

ノルドストリーム、トルコストリーム、シベリアの力(中国向けパイプライン)、南北回廊、北極海航路、そして一帯一路構想との並走と併せてみれば、交易とエネルギーを組み合わせて安定塊を作ろうとしてるわけでしょ。

つまり大戦略がある。

 

これに裸で向かってもなぁ・・・ってところはあるわけで、いやほんと大変ですわ。

ドイツもトルコも米と対決姿勢を取るわけではないが、自分たちの将来の基盤を崩す気もありませんという態度が非常に強かったなぁって感じ。あとイランがなんのかんのと外交的に効果的に動いているのも目覚ましい。

気が付けばアメの武器は、アホのネオコンの脅しとヘイト、金融制裁、殴るぞ殴るぞの軍事力、になってしまった。調整能力ゼロ。素のままの私を見て、って言われても(笑)といったところ。

トランプファンは、トランプ様には何かお知恵があるのだ、みたいな感じで見てるか、あとは、どこか一つ解決すると何かすべてが解決するかのような調子で、朝鮮を見たり、イスラエルやシリア、アフガニスタンを見たりするわけだけど、そんな話じゃないでしょう。

そういうことなので、アングロ・シオニスト・アメリカの先行きは到底明るいものとは言えない。とはいえ、別に明日「最後の審判」が訪れるみたいに見るのも間違いでしょう。明日も人は生きていく。

 

■ イスラエル

お話戻ってイスラエル。

イスラエルはこのまま強硬路線を取って、シリアと仲間たちを相手に大戦争をしたところで将来はないでしょう。

ないことを前に、どうやって軟着陸させるかということを考えるフェーズに強制的に置かれたという感じではなかろうか。もちろん、そんなことするぐらいなら地球もろとも吹き飛ばすと言い出しかねない人たちが多数関与してるから怖いわけだけど。

 

もう無茶苦茶なイスラエルなので先を見通すことは非常に難しいわけだけど、ネオコン/介入主義者を表層としたアングロ・シオニスト・アメリカの今後が危ぶまれた場合、最終的には100年前ちょっとまでそうであったように、正教中心の古いクリスチャン層とイスラム教徒と共存するような恰好になっていくのがナチュラルなんじゃないですかね。

そこで思うのは、あんなにたくさんロシア帝国周辺民を入れちゃったことの余波。つか、現代のイスラエルって、見ようによっては、ロシア帝国が中東に出先機関を作ったみたいにさえ見える。皮肉な話。

そこから考えた時、むしろアメリカはイスラエルを抑えに行っている、取りに行っている、ナチュラルになんかさせないぞ、問題は人間じゃない、問題はスターウォーズ計画(の儲け)だ、ということだとも言えるかもしれない。

米軍、イスラエルにTHAAD配備

 


 


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同床異夢 (私は黙らない)
2019-03-26 04:55:03
イスラエルのアラブ系クリスチャンは、一体、どう思っているのだろう。大使館移転や、ゴラン高原で狂気乱舞してるのは、アメリカ福音派等のクリスチャンシオニストと、暴力シオニズムのプロパガンダに侵された一部のイスラエル国民だけで、彼の地のクリスチャンにとっては、実は迷惑な話なのではないかと想像する。実態はどうなのだろう。
クリスチャンシオニストと、イスラエル支持のユダヤ教徒にしたって、同床異夢なのではないだろうか。クリスチャンシオニストがイスラエルを支持するのは、偏に自分の宗教的信念成就のためであり、イスラエル国民のためではない。ネタニアフにしても、自分の権力維持の都合上、これらのクリスチャンシオニストの存在が便利だから利用しているだけ話。
余談なのだけど、アメリカにきて驚いたのは、この国が実は大変な宗教国家だという事。私が住んでいる街は、移民が多く、クリスチャンの比率も低いのだけど、それでも日曜午前中、教会へ礼拝に行く人は多い。日本人(特に女性)も例外ではない。
しかも、熱心な人が多く、妙に保守的で、布教に熱心、(=しつこい)。私は、日本でキリスト教の学校に通っていたのだけど(ただ進学校だったというだけの理由で)アメリカのクリスチャンは、私の知る日本のクリスチャンとは明らかに異なる。アメリカのそれは原理主義的発想が、カルトっぽいと思う。福音に浴せない私は可哀そうだと思われているのだろうけど、そんなカルトを信じるくらいなら、地獄に落ちた方がよっぽどマシだわ。
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