DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

レジーム・キャピタル・妥当な背景知識

2018-02-27 21:11:21 | アジア情勢複雑怪奇

いやほんとに。今日もあいばさんのお話。

それにしても、頭がパッパラパーな右翼が、戦後の日本に、こんなにも永らえていたことに筆者は驚がくしている。皇国史観で日本民族は人類学とは別個の進化において天皇と云う家父長制度の国であり、世界に類を見ない特殊な民族によって形成されている国である。ナンチャッテおじさん達が、驚くほど多いのが現実のようだ。最近は、若い連中にも、戦争はカッコイイ的ノリで、百田尚樹的劇画世界のフィクションに傾倒しているようだ。 

前川前事務次官によると、最近採用されている小学校の道徳の教科書は、相当ヤバイものになっているらしい。詳細は後日話すが、要するに、個人の権利よりも国家が大切であり、家父長制度復活に限りなく近づいているようだ。方向性は、あきらかに、冗談のように思うが、教育勅語の再登板を目指している。この事実は、思った以上に「日本会議」と云うカルト集団のようなイデオロギー集団が、日本国民を支配しようと試みている、と判断するに充分な証拠である。 

https://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/c0cdff3a470ac261119d8c17377d8780

 

私も驚愕してる。そしてまったく油断できないと思ってる。一過性でない人が結構いるし、カルト集団は人を惑わすプロなわけだから、次から次からいろんなネタを仕掛けてきてると考えるのが筋でしょう。

「日本」を守るとかいいつつ、その「日本」は大日本帝国の日本だというオチなのだが、このレトリックが理解できず、そうか、我々は自虐史観にとらわれていたのだ、とかいってついて行ってしまって行ったきりの人が結構多い。ほとんどハーメルンの笛吹状態。

こうなった理由を考えてみるに、こんなあたりが放置されてきたことが地味に地盤を崩している、少なくとも止めるための行動を見つけられない理由になっているってなのはどうでしょう。

  1. 日本にはレジームという考え方が定着しなかった
  2. 元手(資本)があって商売だよ、を資本主義と勘違いしている=ザ・キャピタリズムが理解されてない

 

■ レジームで区別すべき

1は、日本語環境ではほとんど議論すらないテーマだと思うが、一つの集団の政治体制が劇的に変わったのなら、国名を変えたり、第三共和政のように区切りを明確にすることはしばしば見られる。

現在のフランスは第五共和制。ポーランドは第三共和政だっけか。

ロシアはロシア帝国、ソビエト連邦を経て、現在ロシア連邦

中国は清から中華民国に行きかけたんだが、最終的には中華人民共和国

といった具合。

アメリカは、アメリカ革命以降政体を区切る名称の変更はないが、本当は中央銀行制度をむりくり入れられたあたりで帝国とでも変更したらよかったのかもしれない。でもまぁ、アメリカ・ファーストの人が劇的に変えると宣言して、むしろ前のアメリカに戻そうとしているともいえるので、そこはかとなく政体の意識は流れている。

で、日本の場合、日本という名のつく集団は長いこと存在しているが、明治維新によって、そこまでとは大きく分断された政治体制ができた。であれば、ここが終わった時にここに名前を付けて、後と区分するという手もあったよなと今さら思う。

しかしそれをさせたくなかったんだろうなぁ、エスタブリッシュメントは、ってところなんでしょう。私としては、室町に政治の中心があったり頼朝ががんばってた日本と区別する意味で、「明治朝日本」と呼んでいる。1945年以降は、明治朝日本後期。

で、ですね、憲法というのはこのような政体に対して大きな変更が生じた時に、その前とは異なる、戻さない、という意思として制定されるものなんです。

そういう意味からは、憲法を変える、憲法を変えると騒いでいる現在の政権というのは、政権の座につきながら、俺はクーデターをする、とか、上層部による革命を断行する、とか言っているようなもの

ほとんど歴史的にみて滅多にない人たちなんだが、もっと恐ろしいのは日本国民はこの異常さにあんまり気づいていない。おかしいでしょう、これ。

 

■ ザ・キャピタリズム

2の方も結構深刻ですね。この間亡くなった西部先生は何度も、じゃっぷときたら、資本主義がどれほど恐ろしいものなのかまったくわかっておらない、とおっしゃっていた。元手があってお商売をしますよとかいう話じゃないんだ、と。マルクスはそれを Das Kapitalと定冠詞つけておるやろが、と。

私もこの件は賛成なんです。この仕組みを導入すると社会の仕組みが変わって、人の道徳観が変わってという連鎖が始まって、それはほとんど不可逆的だとみなされるからこそ、いろんなところで気づいた人々がそれに抵抗しつつも結局進んだ。20世紀の知の巨人ウェーバーなんかはほとんどノイローゼになりながら著作してたわけだけど、そのノイローゼは一人ウェーバーの個人的資質によるものだけではなかっただろうと考えてみたくなります。

しかしながら、この理解が行き渡らなかったのは、日本人がアホやったからだけでなく、私はこれって明治朝の一貫した姿勢だったようにも思うんですよね。なんでかというと、そうすると、では社会を考えなければならない、と社会主義の方に一歩近付いちゃうから。これがなんであれイヤだった。危険視するのは妥当だったとしても、もうちょっとやりようがあっただろうと私などは思う。

で、資本論を読ませず、日本の資本主義がどのぐらいの進展なのか、どんな性質を持つのかみたいな、学者あるいは知識人ならもってしかるべき、いや、持ってもらわないと困るような疑問を持った大学生をアカ扱いして、チリジリにして行ったのが1910年代からの日本でしょう。

私はこの1910年から1945年までを、知的座標なき時代と呼んでみたい衝動にかられる。どういう仕組みを導入したのかを見るな、考えるな、疑問を持つなと言い、知識人の本来のあり方を挫滅させていった時代だと思う。

その代りに、一部分、例えば五か年計画みたいな政府に都合のいいところだけを政府に都合のいい体制の中で使う。これもなんかお粗末で、知的に言えば卑しい話だと思う。

で、この空白のツケは今に至るまで癒えてない。明治維新とは、the West化であって、内実はDas Kapitalの導入だったわけなんだが、「近代化」とかいう曖昧な語ですましているのもトリックの一つだと思う。

その後冷戦時代なるものが来て、ほおれ見ろ社会主義は誤りだ、まではいいとしても、資本主義万歳まで行く必要もないのにほんとにそんなことを言う人たちを放り出してしまった。

私たちの社会はまだこの愚かな赤白合戦から抜け出せていない。

2013年に大人のネトウヨ池田信夫さんが、グローバル資本主義について語っている動画を再掲しておきたい。

グローバル資本主義を読む マルクスから半沢直樹まで 池田信夫×石井孝明

40年前左翼が言っていたようなことをアメリカ歴史学会の大御所たちが普通に言ってるんですよ、という池田氏の言い方だと、アメリカ歴史学会が左傾化したみたいにも聞こえるが、そういうことではなくて、実のところ近代に西欧組みが勝ち上ったその経緯は、科学技術の発展やら科学革命で説明することは無理、むしろマルクスが言ったみたいに、文字通り血と油にまみれた略奪ありきでした、という結論に達したということ。

で、上の記事でも書いたけど、そういう話がアメリカの社会の中で非常に大っぴらになったのは、2007年のリーマンショックの時。

私が思うに、これって、巨大資本家さんたちによる「ワクチン」みたいなものだったのかも。つまり、ほうれみろ、あいつらは敵だと言われる前に、オックスフォード&ハーバードの教授であるだけでなく人気のある歴史家であるファーガソンを使って、歴史の中にあったことはある程度認めてしまうことで、社会不安や騒乱に至らせない道を取ったということではないかと今から見るとそう見える。

このインパクトを日本はまたまたスルーした。

 

■ 言論環境の未発達をなんとかせんといかん

でまぁ、要するに世界的にアップツーデートな議論に乗れない、ガラパゴス的言論空間をかんとかせんといかんって話なわけです。

世界がどうあれ俺はこうだ、というのもいいですよ。しかし、それって背景知識の妥当性が検証されていることが条件ではなかろうか。

背景知識の妥当性に問題を残したまま、俺は独自だとか言い出すって、それはないっしょといったところ。

その上に、天皇を抱いているので我らは特別とかいう、カルトメンタリティーの麻薬が切れてない人々がいるわけでしょ。

この変容として、日本語は美しい、この美しい日本語を守らねばとかいう、主張の意図がわからない妙な日本あげの集団もいる。言語は、中身が伝わってナンボだと思うので、妥当な知識の整備が可能でない場合(つまり、この言語環境で多くの人が妥当性に向かわず、現在のような論考や出版物、映像物しか出てこない場合)、この言語は、次第に難しいことを説明するためには使われなくなるだろう。少なくともその気配はすでにある。

さらにその上に、国のリーダー層が、基礎言語にも問題がある人たちだったりするわけで、こうなると真面目に考えたり話したりする気が起こらなくなる。

どうするのよ、これ、ですね、ほんと。

知識人が奮起できるか否かがこの国の将来を決める。いやマジで。


  

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« シリアでのアメリカ攻撃:帝... | トップ | ドーピングスキャンダルとメ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アジア情勢複雑怪奇」カテゴリの最新記事