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エアバスA321の航空機事故と服喪の日

2015-11-02 15:48:43 | 欧州情勢複雑怪奇

10月31日、ロシアの旅客機がシナイ半島に墜落した。これを巡ってついついテロリスト、特にIS系の犯行かと沸き立つ人はいたわけだけど、ロシア政府は非常に早い時間帯から、翌11月1日を国民的に喪に服す日とし、同時に、不確定情報に惑わされないようにというお達しを出した。

それかあらぬか、ロシアまわりの人々は、おかしな言い方だけどしっかりと犠牲者の家族、友人、知人へのお悔みを述べ、悲しみを共有することに専心しているような感じ。

EUの現在の代表者ポーランドのトゥスク氏が、心からのお悔みを申し上げるとかなり早い時間帯に述べていたのも印象に残った。この人はなぁ、何年か前ポーランド首脳部100人近くを航空機事故で失った時、プーチンと共に現場に佇んでいた姿そのものが悲しみを誘ったものだった。

ドイツ、イタリアの首相らは当日の非常に早い時間帯にプーチンにお電話していた。

そこから1日経って、イギリスのキャメロン首相がプーチンに電話。イギリスは今回の悲劇に対してロシアの人々と心の痛みと嘆きを共有していると表明し、あわせてG20で会うことを確認した模様。

キャメロン首相、トルコのG20サミットでプーチン大統領との会談を希望
http://jp.sputniknews.com/politics/20151102/1109490.html#ixzz3qJYltMqY

 

というわけで、欧州勢は不慮の事故で亡くなった人の死を心から悼むという、ある意味しばらく忘れられた習慣を取り戻したような気がした。

ロシア人いい気味だ~とか書き連ねた人々ももちろんいた模様ではあるけど、大きく賛成されることなどなかったようだ。

これもお行儀がいい。人は善をなすために生まれて来たのです、とか正教会が説教してそうだが。

ロシア外務省、航空機事故で胸を痛めてくれたすべての人に感謝
http://jp.sputniknews.com/incidents/20151102/1109617.html#ixzz3qJlkVuKZ



■ 雨降って地固まる?

成り行きから考えるに、もし万一これが技術的なトラブルによる墜落でないとすれば、欧州各国は既に「あたり」がついているって意味じゃなかろうか。

だから、ロシアが強硬路線を取った報い~みたいなキャンペーンができなかったのではないのか?

考えられる事情は2つかな。

  1. 純粋にどうも事故っぽい
  2. テロリストの仕業にできない事態が発生してる

このどちらかではなかろうか。

1はまぁ政治的には無問題だけど、でも、そうなら、ロシアはいかに遅れた国かという話に持っていく方法もあると思う。実際、事故機の副操縦士の妻が夫が懸念を表明していた云々というのをアメリカFoxあたりが飛びついていた。でも、パッとしない。2なのかなぁとか思ってしまう。

つまり、そこらのテロリストが持ってそうな肩撃ち式のミサイルじゃ届かないところで何かが起きてるということは、どこか別のしっかりした機関が関与した、または使われた、という意味にしかならないということ。

で、これをどう出すかはもってロシアにかかってるわけだけど、今回は事故調査をロシアが主導することは目に見えている。また、今回の現場はエジプト。従って、欧州勢にできることはとても少ない。

朝日新聞は31日に、

ロシア旅客機が墜落、224人全員が犠牲か IS系声明
http://www.asahi.com/articles/ASHB05RKKHB0UHBI01W.html?iref=reca

という記事を出していた。欧米紙も出してたけど、出すと同時に技術的にあり得ないという識者のコメントと共に載せていたケースが多かったと思う。 (技術的にあり得るとすれば、それはしっかりとした対空ミサイルを持った国が関与したという示唆になっちゃうからかな、と)

これはつまり、朝日(というか日本だが)は、間違った路線にいるという意味かなぁとか思ったり、単純に、テロリストに過剰な思い入れがあるからかなぁと思ったりいろいろ。日本って、日本赤軍という凄い組織を外に出していた国ですので。


いずれにしても、この悲劇の間に欧州勢の狂気が薄れた気がする。

もしそうであるならば、それは直ちに翌日を服喪の日としたロシア当局の初動の効果が非常に大きい気がする。悲しみは悲しみとして受け止めろ、という処置によって、ほんとはテロなの、ねぇ私たちって~みたいな不安の増幅を制御するということ。

といっても、仮にテロリストの犯行だったとしても、ロシアが全体としてそれに屈するとは到底信じられないのだが、でも、このへんがプーチン政権という治安当局者だらけの政権ならではなんじゃないですかね。本当はどうなの、本当はどうなのという不連続こそが人々の疑心暗鬼を生む、人々の不安を増幅させるようなことは、全体のためにならん、とマジで思ってそう。まして今大事な時だし。

別の言い方をするなら、日本の新聞社みたいな、正義のふりして煽る奴、不安が広がってます、不安が広がってますといって不安を広げる奴に仕事をさせないとも言うかも(笑)。

 


「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告 (文春新書)
堀 茂樹
文藝春秋

 


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2 コメント

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『プロガーのリトマス試験紙』 (ローレライ)
2015-11-03 07:57:47
筆が滑って『ロシアの戦術核使用許可』まで滑ったプロガーもいたりして『メディアのリトマス試験紙』になりました。
返信する
核に拘りすぎ (ブログ主)
2015-11-03 12:24:51
どういうブロガーさんなの? 全然見当がつかないですが。

で、いくらかの日本人にとって核兵器って魔法の兵器みたいで、困ったことだなあと思ってる。これさえあれば俺は大国みたいな妄想ですね。

しかし実際には、外交できるだけの能力、他人の利害を聞き分けられる能力が完全に欠如していることことが、日本が重要な局面で全く頼りにされない根本原因だと思うんですが・・・。核もってもそれ直りませんから。
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