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第一次世界大戦開始100年目の年に

2014-12-29 15:05:21 | 欧州情勢複雑怪奇

2014年が終わる頃になって思うのは、今年の初め、なんだか世界中がざわざわと第一次世界大戦開始から100年という話をしていたことは、やっぱり予兆だったんだろうなということか。というか、ウクライナのキエフでデモ隊が終結している最中から既によからぬ動きが見えていた人たちがいたからこそ第一次世界大戦の話を使って警告していたということなのか。

さて、その第一次世界大戦についてはこれまで様々な学説があるようなないようなで、話が漠然としてたわけだけど今後はだんだんと実証研究が盛んになっていくんじゃないかと思ったりする。というのは、この話がなぜしっかりとした通説を作られなかったかといえば、それは、

  • ロシア革命なる革命はどのようにもたらされたか
  • 大戦をうまく仕切りながらアメリカ覇権が形成された

というあたりを詳細にしたくなかったから、ではなかろうかなど思うのよね。

ロシアの10月革命は外国勢力によるロシア簒奪なわけだから、そのスポンサーやら実行部隊を明らかに語るのははばかられるし、その後そこをネグって、あたかも共産主義革命なるものが100%ロシア産であるかのような誤解を世の中に広めていた人たちがいるんだから、そこもそのままにしたい。

また、アメリカ覇権の形成については、大戦への参入の過程の冷酷さやイギリスに対する無慈悲ぐあいといった部分を大っぴらにしたくないだけでなく、資金援助を通じて金融的に支配していく過程が含まれるから、というのもあるだろうし、ソ連とは何か問題に示唆を及ぼしたくないってこともあるんじゃないかと思う。

2014年5月に出た、Adam Tooze氏の The Delugeという本は、大戦を歴史的に捉える歴史家の著作だけど、テーマとして大戦に伴いアメリカを中心とした世界秩序が出来上がっていくその過程にフォーカスを当てているものらしい。Tooze氏はケンブリッジの先生だったがアメリカのイエール大学に招かれている模様。

私自身はまだ未読だけど、Tooze教授がアメリカで行った講演をyoutubeで見るに、外交的側面、経済的側面に分けて説明する姿勢などから考えるに、主テーマはアメリカの動きであるにせよ、その形成に結果的に寄与していくドイツにも大きな関心が払われているという仕立てなんじゃないかと思う。ブレスト・リトフスク条約に至る過程を大きな時間を割いて説明しているのも、当然といえば当然なんだけどでも実はそうはない仕立てだと思う。

(ブレストについては、ドイツとウクライナとブレスト-リトフスク条約で書いた)

当時のドイツの支配・知識階級で優位だった自由主義的かつ帝国主義的な思想、あるいは経済思想とアメリカは実のところ兄弟みたいなところがあると思うので、このへんは私は興味しんしん。今後これがどのように受容されていくのか追っかけていきたい。

The Deluge: The Great War and the Remaking of Global Order 1916-1931
Adam Tooze
Penguin

 

■ 裏読みすると・・・

で、上の The Delugeが、第一次世界大戦開始100年目の年に出されるというタイミングなんかを考えると、なんというか、このあたりで総決算みたいなことを考えている人々が世界規模の支配層の中にいるんじゃないのかな、など思ってしまう。

アメリカに連邦準備制度が出来て2013年が100年目だったことなども、この話に陰影を与えているとも思う。

ということは、私たちが日々見ている各国間のいさかいの総体が後で振り返ると構造的変化だったとなるようなものかもしれないわけですね。変化の前後では同じアクションが異なる意味にしかならない、ってことも大にしてあるわけで、用心したいものです。

 


 

 

 


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