黒海方面ががぜんうるさいことになっている。
イギリスが駆逐艦を黒海に派遣して、わざわざロシア領近くを通って最終的にクリミアでロシア領に入ったところで、ロシア軍に警告射撃をされて、出て行った、ということみたいだ。
乗船していた(!)BBCのおじちゃんのリアルタイムの声。上空をジェット機が飛んでいるのがわかる。警告されたというより、囲まれてたわけだね。怖いは、これは。
BREAKING: BBC Journalist onboard of British HMS Defender ship does a live call in the middle of the action and says more than 20 Russian jets buzzing the ship at the same time - warning shots fired out of range. Can hear Russian jets in background buzzing above the ship pic.twitter.com/xy4sKM4dg3
— ASB News / MILITARY〽️ (@ASBMilitary) June 23, 2021
紫の線は、米軍の偵察機の動きらしい。イギリスの駆逐艦の動きを見ながら、ロシア軍の反撃を観察して、帰った、と。
BBCはそれをこう書く。ものは言いよう。
ロシア軍、英駆逐艦を追尾 クリミア半島沖で
さらに、イギリス軍は、警告で射撃+爆弾投下されたことを否定している。なんで? 威嚇されて出て行ったらカッコ悪いから?
しかしそれは、上に張り付けた、そもそもこの駆逐艦に乗船していた(!)BBCのレポーターが、ロシア軍の飛行機が上空にいます、という危機の音声と話が食い違っている。
この乱痴気騒ぎは何か。
単純にいって、小さな事件を起こそうと思ったら、本格派に反撃されて怖くなって中止したって話では?
つまり、何年か前、日本の右派が尖閣を事件化した時のように、怒ってる双方がいれば、どうとでも「説得力のある」絵は作れる。あとはナレーション付けて、がんがん放送すれば、それが事実になる(と思いがちな人がいる)。
それをしようとしたら、ロシア艦船が寄ってくる、とかいう小さな反撃じゃなくて、空から、ジェットが出てきて英艦船の上空を飛び、Su-24mが行く手を爆撃して警告するという本格的なことをされてしまった、ということではあるまいか?
そして、後のプロパガンダ戦では、特異の屁理屈をこねまわして、我々は、ウクライナの領海を通ったので、ロシアの領海を通ってはいない、とか言って、再度ウクライナのネタで火をつけようとしていたのでは?
またまた、米軍関係者で正常な脳みそを持った人に怒られる騒ぎかもしれない。
ロシアと戦争したがる愚行を強烈に非難する軍人
クリミアの話は、どうあれクリミアの住民が住民投票によってロシア帰属を選んでしまったという事実は覆しようもない。(逆に考えてみればわかる。いやがる住民をどうやってウクライナ帰属に戻せるの? そんな反・民主的なこと、やれる??)
ともあれ、ロシア軍は、イギリス艦船がロシア領海を侵犯したので、ロシア軍の艦船および戦闘機が対応し、警告射撃をした、と明言し、ロシア外務省は駐ロシアのイギリス大使を呼びつけて抗議していた。
British destroyer violates Russia's border in Black Sea, Russian ship & fighter jet respond with warning shots – Defense Ministry
今後どうなるのか知らないけど、イギリスがきっと国際法がどうしたこうしたという論点で迫ってくる可能性は高い。
そこで思うのだが、領海に関する国際法では、他国の船舶に許されるのは無害通航だと思うのだが、果たして、イギリスのように、明白にロシアを敵であると言ってはばからない、かつ、ウクライナでのクーデターを焚きつけ、ロシア敵視を公言してはばからないウクライナのナチ残党を多いに含む政権に武装の支援をしている国の武装した船に、無害通航の権利は認められるのだろうか? このへんは考えてみる必要があると思う。
また、イギリス国内の問題として、明白に毎日、毎日敵認定してはばからない国が主張する領海に、本格的な戦争/防御の準備をしているわけではない状態で、自国艦船を入れる許可をした船長および海軍は、自国艦船の乗組員を知りながら危険にさらしたという解釈もできると思う。殆ど、軍法会議ものではあるまいか。だって、我が軍の誰か死んだら超ラッキーと思ってるシナリオでしょ、これ? 控えめに言っても、その疑いが残るといった事態。
いずれにしても、いつかどこかで英艦船が爆破されることは、多くの人類にとって幸福なのではないのか、という気もするものの、ともあれ、現状は、恥というものを知らないBBCをはじめとするイギリスのメディアが世界中の仲間のメディアを通して、勝手な話を今後も作っていくだけでしょう。
問題は、この邪悪メディアの手に乗らないこと。そして、邪悪集団の試みは、頓挫させて大事に至らせないこと。これが重要ですね。
■ ドイツ・フランス
で、そんな中、この話と直接は何の関係もないのだが、ドイツとフランスが、ロシアの大統領とEU首脳でサミットしたらどうだろう、とEU各国に提案していた。
独仏、EU・ロシア首脳会議を模索 バルト諸国の反発も
【ベルリン=石川潤】ドイツとフランスは23日、冷え込んでいる欧州連合(EU)・ロシアの関係を改善するため、ロシアのプーチン大統領をEU首脳との会議に招くことをほかのEU加盟国に提案した。英紙フィナンシャル・タイムズなどが報じた。メルケル独首相が希望し、マクロン仏大統領が支持しているという。EUは独仏提案を踏まえ、24日からのEU首脳会議でロシアとの新戦略を議論する。
実現すれば、ロシアがウクライナ南部のクリミア半島の併合を一方的に宣言した2014年以来となる。
実現すれば、ロシアがウクライナ南部のクリミア半島の併合を一方的に宣言した2014年以来となる。
まぁ、ポーランド+バルト3が反発することは目に見えている。そして、UK+USのいわゆるアングロの邪悪チームが、ここらへんにまた工作するのでしょう。
EUとロシアは、基本的に外交的な関係が既に失われている。ロシアは、各国と個別には話し合うが、EUと話しても無駄というスタンス。
だから、このままドイツ、フランスはそれぞれ単独で、今まで通りロシアと首脳から実務、ビジネスまでを含めて全体的に付き合っていき、他の特に反ロシアで便益のないところもそうする、といった傾向になる可能性はあるわけだけど、そうすると、つまり、「EUの外交」なる傘が壊れるということになる。
だから、ドイツとフランスはブリュッセルに多少軟化するように言っている、ということなのかもしれない。
「EUの外交」なる傘が壊れるということは、各国から事実上軍事主権を取り上げたも同然のNATOという傘も破れ傘になる可能性に繋がる。
どうなっていくのかわかりませんが、いずれにしても、イギリスが黒海でわーわーやっている中の出来事としては、非常に興味深い。
■ オマケ
春先に書いた通りのことなんじゃないかという気がしてる。
黒海に1隻とか5隻とかの艦船が入っていったことを持って、米だの英が脅しをかけている、といういう読み方は間違っているということ。実際には、巨大な軍を持つ国の軍港の目の前に出て行って怖いのは、行く方。
ということは、脅しになってない。滑稽な挑発じみた行為がそこにあって、無駄に船員の士気を下げるだけ。だから、こんなことはする必要がないし、同格の相手にはしてはいけない。
ではなぜするのか? 率直にいって、昔の名残りとメディアアピールでしょう。昔、英米がガンボート外交とか言われていた時からずっとやってるから、相手を脅してるスタイルだととシナリオを書く人が思ってる。
ではなぜするのか? 率直にいって、昔の名残りとメディアアピールでしょう。昔、英米がガンボート外交とか言われていた時からずっとやってるから、相手を脅してるスタイルだととシナリオを書く人が思ってる。
■ 追記
なんだかわけのわからないことを言っているUKに対し、ロシア軍、警告している最中の動画を配信。
URGENT: Russia releases footage of warning shots at HMS Defender which UK said “never happened” pic.twitter.com/9ccpdeOJ9r
— ASB News / MILITARY〽️ (@ASBMilitary) June 24, 2021
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