ボリス・ジョンソン率いる保守党がサッチャー以来の大勝をしたというので、マーケットは花火打ち上げといった感じ。
https://www.zerohedge.com/markets/i-just-want-it-over-and-done-britons-head-polls-most-important-election-generation
労働党大敗の原因は、労働党支持者の中のBrexit支持者に応えられなかったためであろうと多くの識者が言っているが、そうだと思う。そもそもBrexitの国民投票で賛成派が上回ったのも、地方の労働党支持者がかなり集団で賛成していることが隠れた要因だろうと言われていたものだった。
つまり、これがなんらかの国民経済の形成に役立つ動きと見ている人たちがいる、ということ。
だがしかし、保守党はそういう党ではない。
つまり、実際にはこの勝利はイギリスの強み、すなわち租税回避スキームの温存ということではなかろうか、というのが私の考え。前に書いた通り。
EUは既に、2019年1月1日に法人税租税回避防止指令(ATAD)を施行済で、1年後にはこの強化版が出て来るスケジュールになってる。また、他にも証券化規則も作られてる。
イギリスがEUのフルメンバーだとこれをそのまま飲まないとならない、だから出ようとしているんだろうということ。
<略>
ということで総じていえば、上下で同床異夢のままBrexit&ナショナリズムブームが形成された、というところではなかろうか。
上の方は、ひたすら租税回避のことを考え、その上で、英国内もさらに税率を低下させて行こうなどと考えているらしく、実のところ、イギリス国民のためのイギリスという下の方が信じているテーマとはまったくあってない。
同床異夢のBrexitとその潜在的余波
ということで、なんとなく、日本の「美しい国」選挙を思い出させられる顛末。美しい国選挙も、国民経済を立て直すのなんのかんのと言って多くの人が期待した。だがしかし、まぁそういうことでした。
そして、これは多分、そのうち日英同盟という話になるのじゃまいかという思いも頭をよぎる。つまり、NATOは使い物にならないし、ドイツ、フランスはロシア、中国との関係改善を支持する国民が多くて、やってもやっても喧嘩腰にできない。現在もまだやってて、現在はまたもやドーピングに戻ってきてる。
(ただし、メルケルが自分たちで仕掛けたウクライナのクーデターの処置で、ミンスク合意の完全実施以外に対ロ制裁を外せないような馬鹿なスキームを作ってしまったためEUはこの先も長く対ロ方針を変更できない。当時、ウクライナのネオナチに自分たちの外交方針をかけてしまっているのに気づいているのか、とラブロフ&プーチンがメルケルに言ったことは実に正しかった。ウクライナのネオナチはもちろん英米のアセット)
それで、日米と英コモンウェルスを組み合わせようって話になるのではなかろうかと前から書いてるけど、さらにその思いが強まる。Five Eyes+日本。
日本は、国情として世界でも稀にみる親英国だから(普通アジア諸国は警戒する)、日英同盟とかいったら多分喜ぶでしょう。本来そうすればよかったのだぁ~とか言って。
日本の中で、香港の人権法を左右問わず喜ぶ論調があったのも、中国との不仲路線を埋め込んでいるんだと思う。
北方領土の路線も、どれだけ理がなくても総じていえば日本は考えを変えてない。
この路線を正式に否定するような論調は日本には皆無。
また、今なんでそんな用事があるのかさっぱりわからない自衛隊の中東派遣も、日本の完全再軍備、国軍化の実現化プログラムの一環なんでしょう。
■ 保守のための独立
だがしかし、100年前ならいざ知らず、今日こんな組み合わせで何をどうしようというのか。
でも、租税回避には役立つし、Five Eyesとかいって仲間を集って勢力にしておけば現在持ってる秘密ネットワーク(希望を殺すネットワーク)の保持にも役立つ。
そもそもソ連解体で利益を得た不正利得者(ロシアが犯罪者認定している)の大半はロンドンにいると考えられている。
で、ロシア資産の不正持ち出し疑惑をかけられている、というよりロシア当局が犯罪者として認定している人を匿っている最大の国がイギリス。61人の犯罪者がロンドンにいる、というのがロシア当局の見解。
Over $400bn illegally withdrawn from Russia in 17yrs
Published time: 28 Apr, 2018 10:17
https://www.rt.com/business/425379-russia-illegal-capital-exodus/
アメリカが対ロシア制裁で使ってるマグニツキー法も、ロシア資産の不正持ち出しがらみで不正な奴らを庇うために出来たもの。
あと、なぜ日本にカジノなのかというのもこれがらみなのではなかろうか? つまり、香港、マカオを中国政府が正常化しようとしていくことが予測できる。そこでマネロンの舞台が必要という話。
ということで、総じていえば、せっかく作った影のネットワーク保持のための英国の独立と考えるとだいたいすべてがすっきり見えると思うな。
■ 参考記事
NATOの迷走&アフガニスタン
現代の日本人のメンタリティとして,英米は先生で自分は生徒という感覚なんですね。それが岡崎久彦のような,アングロサクソンに付いてさえいればいいという言説をほぼ無批判に受け容れる素地となっていて,英米から褒められると舞い上がる。だから,英米を克服しようという気はさらさら起こらず,英米の矛盾も見過ごす。英米の手先になっても,むしろ認められたと名誉と思うのでしょう。
そうなんですよ。英米に褒められると名誉だと無条件に反社する社会ですからね、日本は。そしてそれがわかってるからあっちは作為で持ち上げる。
でもって、ユーラシア諸国が英米と戦おうとすると、何を生意気なと見下す。
結局東インド会社の組員となって久しいって話なんでしょうね。デモクラシーなんて後付け。
結局のところ、「民族史的記憶」に刷り込まれるほど異民族支配がもたらす恥辱を経験していないことが、日本の西欧やアングロサクソン勢力に対する政治的無防備さにつながってしまっているように思えます。
いわば「予防接種」を必要量こなしていない、とでもいうか・・・。
おっしゃる通りなんです。
なんですが、やっぱりこの一般人をハンドリングする手筋が見事すぎる。
どうして気が付かないんだろうと言ってしまえばそれまでなんですが、気が付かないふりしてた方が得だという社会がガッチガチですので、さらに気が付かない。
植民地という恥辱を味わった国の、ナショナリズムは私は健全だと思う。我が家は家庭内にかつての英領出身者がいるが、奴に「日本人はXXのスレイブだ」とか言われると、反論できない。
日本もかつて植民地支配をしていた。東アジアのナショナリズムを考える時、この視点は大切だと思う。「予防接種」によって、培われた民族のディグニティを理解しないと、健全な関係は築けないと思う。
今まで多数派だったプロテスタントが少数派になれば、IRA(アイルランド共和軍)の長年の夢だった北アイルランドのアイルランド編入が実現して、EU残留のスコットランドも独立機運が大いに盛り上がる。