トルコのクーデターは全体としてみれば未遂に終わった模様。規模的には、少なくとも軍の逮捕者が1500人ぐらいいるみたいなので、小さいとは言えない。
まだ各地で散発的には撃ち合いがあるみたいだけど、終わってみれば首謀者たる軍は何を狙っていたのかが今ひとつわからないよくわからない出来事だった。というか、226事件みたいな感じじゃないのかなと思った。
つまり、何か暴発したいグループがいることがわかっていた政権側は、やるならやらせようと判断した。で、当然失敗する。すると、政権側には強い反抗者がいなくなるので、より権力が大きくなる、というスキーム。
で、今年5月に首相がダウトオールからユルドゥルムに代って、ここからトルコの外交路線の変更が起こっているので、ユルドゥルムさんがキーパーソンなんじゃないっすかね。wiki
今回も、最初から前面に出ていたのはこの人で、エルドアンは休暇だかなんだかでアンカラにいなかった。
そもそも、現状のトルコを考えればクーデターを起こすのならエルドアンの身柄の拘束が第一目標であるべきでしょう。それができていない以上、やっぱりこのクーデターは怪しいと思わざるを得ない。
エルドアン側の自作自演が最も疑われるところだけど、そんなにきっちりやる必要はなくて、暴発側がこれ以上まったらバレてしまう、なんらかのスケジュールに間に合わない、決行だ、みたいな感じでいることを黙認していた、という流れが最適解では? まさしく、226事件的だわ。
NYTのライブ。タイムラインを追って重要人物の動向などもわかるし写真もあるし、今後のためにこれがいいかも。
Live: Attempted Coup in Turkey
http://www.nytimes.com/live/turkey-coup-erdogan/obama-and-kerry/
それはともかく、非常に面白いことをオバマ&ケリーが言っている。
■ 選挙で選ばれた政権を支持する
米国は、選挙で選ばれたトルコ政府に対し絶対的な支持を表明した、そうだ。
US Pledges ‘Absolute Support’ to Turkish Elected Government - Kerry
http://sputniknews.com/us/20160716/1043085675/us-pledges-absolute-support.html
で、それをなぜアサドに表明しないんだ、お前は、なわけですよ。
また、それをウクライナのヤヌコビッチ大統領がクーデター派に身体的に追い詰められそうになっている状態で米国政府が表明していれば、今あるような混乱はなかったんですよ。
ウクライナ危機はオバマは流血を止められるポジションにいたのに止めないどころかCIAと傭兵を使って、一般民間人を「テロリスト」と呼ばせてその人たちをマジで白昼堂々と殺害させたというところが本当に罪深い。流動的な事態の中での仕方のない出来事じゃなくて、明らかにオバマ政権が明確に意図した殺人であると私は認識している。
さらにいえば、イラクもリビアも国民が支持をしている大統領を、西側の勝手な都合でひっくり返すことさえしなければ、世界は今よりももっと安全でしたし、おそらく、アメリカがこれほど手ひどく極道国家であったことが暴露されることもなかったでしょう。
そう考えてくると、この1カ月の間に、イギリスによって、いかなる理由にせよ外交を尽くさず軍事力を第一優先にするのは誤りである、というコンセンサスができて、今回また、民主的に選挙で選ばれた政府こそその国の政府である、という決定を米国が語ることになったというのは、なにか非常に興味深い。
どう考えていいかわかならない経緯ながらも、ともあれ過去13年間主流だった考え方が否定されていることの意味が大きいんじゃないかと思ってみてる。
雪はよごれていた―昭和史の謎 二・二六事件最後の秘録 | |
澤地 久枝 | |
日本放送出版協会 |
陸軍士官学校事件 - 二・二六事件の原点 (中公選書) | |
筒井 清忠 | |
中央公論新社 |
日本の226は、天聴に達せられれば勝てるはずだ、という宗教団体のスキームみたいなものなので別口。
問題を天聴にせず、東京市民に訴えて市民が喜んでどんちゃん騒ぎをしていたら勝てたかもな、とか思いますが、そういう発想がないのが良くもわるくも日本。