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宴の始末(21) 「戦えないのなら、せめて邪魔するな」

2016-11-29 16:44:21 | 欧州情勢複雑怪奇

シリア情勢は、アレッポ東部に関しては、テロリスト他が民間人を盾に立て籠もってる出島のような地域の外側全体からシリア軍が徐々に圧力をかけていって、あちらこちらに出口を作って、一般人を脱出させている模様。

シリア、武装勢支配下のアレッポから民間人8千5百人脱出
https://jp.sputniknews.com/world/201611293062177/

シリア政府軍による先日の東アレッポの14地区の解放に伴い、武装勢力支配下のその地域から8500人程の民間人が脱出した、とロシアのシリア紛争当事者和解センターが伝えた。

いつものこの図の右の出島が東アレッポ。ここを解放しろといっても聞かないのが元アルヌスラ(アルカイダシリア支部)をはじめとしたらテロリスト様ご一行で、西側はここを支援しているのね(笑)。その時の名前は、反政府派とか、反アサドのグループとかそういう穏健な名前。

 

で、ロシア軍の広報官コナシェンコフ少将は、なかなか興味深いことを言ったらしい。 Information Clearing Houseに出ていたal manarが伝えた記事によれば、米国務省は、ロシア軍の船舶に給油させるな、と各国に触れ回ったという。

それに対して、コナシェンコフ少将は、

米国はテロリストと戦わない、戦うことができないというのなら、せめて邪魔するのは止めるべき

と言ったんだそうだ。

と、これは勢いで言ってるのではなくて、基本的にこういう考えでやってるでしょう。もう、お前らはいい、邪魔するな、と。

つまり、アメリカはまた騒ぎを大きくして、ISとの戦争とかいって派手にドンパチしたがるかもしれない、そしてそのサイドラインでアルカイダグループを温存するような恰好をどっかで見つけようとする可能性は濃厚。

そうなる前に、地道に一般人の解放と、アルカイダ系以外の武装グループを武装解除させて、アレッポ周辺のみならずシリアから手をひかせよう、少なくとも、武装対立発生可能地域を限定して、参加者を少なくさせていこう、ってのがロシア軍が現在取ってる作戦だと思われます。

(ちなみに給油の話はアメリカ人でさえ、ロシアが給油機もってないとでも思ってるのか、バカヤロー国務省、という話ですのでそもそもムダな、メディアの餌ですねこれは。)

 

それによって、しかしながら、米または西側にとっては、マズ!! ってな事態が発生するかもしれない。

それはアルカイダ系を生きたまま多数ロシア、イラン、シリア(そして中国)のグループに確保されることでは?

ちょっと面白いけど、でも多分そうなんだと思うな。

マスコミ:米国はアレッポ包囲終了についてロシアと合意しようとしている
https://jp.sputniknews.com/politics/201611283059062/

この記事は、ケリーがなんとかしてロシアと合意を取り付けようとしている、ってな話。アメリカのワシントンポストに出ていた記事が元ネタ。これこれ。

Inside Kerry’s race to stop the siege of Aleppo
https://www.washingtonpost.com/opinions/global-opinions/kerrys-race-to-stop-the-siege-of-aleppo/2016/11/27/b894d4d0-b33f-11e6-8616-52b15787add0_story.html?hpid=hp_no-name_opinion-card-c%3Ahomepage%2Fstory&utm_term=.b4fd59323cb1#comments

 

一応、なんでケリーが頻繁にモスクワと連絡しているのかといえば、それはトランプになったら別の解決法を提示される可能性があるからなんとかしようとしているんだ、みたいな訳のわかったようなわからないようなことが書いてますが、理由はともかく、事実として、ケリーが必死になっている、ってのが現状重要でしょう。

 

別の見方をすれば、ロシア軍、シリア軍が空爆でアルカイダ系を含む多数の人間を犠牲にするようなイベントがあれば、ロシアが悪い~で大騒ぎして、ここを突破口として、アレッポに介入し続けられるのだが、ロシア他は、解放させていく方法を取ってるためこれができない。そうこうしていくうちに、ますますアルカイダ軍団の支配地域は小さくなり、住民も脱出が可能になってる。

いくらインチキ西側メディアが起こってもいない病院爆破事件を騒ごうとも、現地に秩序が回復される方が実効がある。

 

■ SCOが安定化させているとも言える

で、はたと気がつくと、ここは上海協力機構が安定化させていく案件になってる。正式メンバーはロシアと中国だけだが、イランも加盟を予定している。

そして、隣接するトルコは、いろいろ言っては騒ぎを起こし、言行不一致は常なるもの、と言わんばかりのスルタン希望のエルドアン大統領が、トルコだって上海ファイブになったっていいんじゃないの、と俺はロシアの大統領、カザフスタンの大統領に言ったんだ、と国内メディアで語ったらしい。

上海ファイブは上海協力機構(SCO)のオリジナルメンバーなので、もう成れないんですが、要するにSCOに入ってもいいじゃないか、と示唆したってことでしょう。

トルコは別に本当のメンバーにならなくてもいいと思うんですよね。NATOが憤激したりして面倒なら。要するに、ハーフウェーで見ながら、トルコにとっての国益が合致すると思えば参加するという態度で十分でしょう。

ということで、新しい秩序が出来てきたなぁって感じ。そうであるならば、「戦えないのなら、せめて邪魔するな」も、実のところかなり強い立場から言っていることになるっすね。

 

中国、ロシア(というよりユーラシア連合)に、次にイラン、トルコ、シリアがそこに繋がってくるということは、つまりそれは連携可能な各国が太平洋から地中海まで繋がったな、になるんですね。

中国は主に東西を担当して、ロシアは自分んちのユーラシア連合をまとめた後は、目のまえのイラン、トルコを敵対するよりも連携しましょう構想に引き入れてるので南北の動きを担当しました、みたいな感じ。

 

■ 続報

コナシェンコフ報道官は、最新の発言で、東アレッポから8万人が解放されたと言っている。

その上で、

武装した者たちに人質として取られていた8万人のアレッポ住民の解放は、英国やフランス外務省、米国国務省、ドイツ議会の計画に含まれていなかったということが今や明らかになった

"Now it turned out that the release of over 80,000 Aleppo residents held hostage by gunmen was not part of the plans of the UK and French Foreign Ministries, the US Department of State and the German Bundestag.

http://tass.com/world/915259
 
ともいい、これらの人々は脱出の後はじめて食料や水を供給されたのだとも言ってますね。ロシアとシリアの国旗のついたあの袋をもらったわけですね、みなさん。
 
ということは、おそらく住民の中で明らかにアルカイダ他のテロリスト側に味方して出て行かない人を除いて、東アレッポの住民はほとんどもう残っていないのでは?
 
前に紹介した米上院議員のブラック氏は、20万から30万とかいう数字が独り歩きしているけど、そんなにいないと思いますねぇ、テロ側は数字を大きく言ってますが、おそらく8万人ぐらいでは、と言っていた。
 
ということは、静かにほぼ陥落に近い状態なんじゃないですかね。ということで、猶更、US/NATO諸国にとっての大切な資産であるアルカイダ系の人たちの今後に、ケリーは重大な責任がある?? 一体なんでそうなのかは誰にとっても謎だが。

 


 

 

 


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3 コメント

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『アルカイダ特区』目指した。 (ローレライ)
2016-11-30 05:38:45
『国連特使』が『アルカイダ特区』目指した。がシリア政府に拒否され『政府軍が制圧』した話もありました!
返信する
東アレッポの地図 (えぼし)
2016-11-30 14:35:10
この東アレッポの勢力図はシリア政府軍が包囲成功した頃のでちょっと古いですね。
今はシリア政府軍が反政府軍の陣地(緑色の小島)の北半分を占領したところです。
https://twitter.com/southfronteng/status/803272253987115008

redditのsyriancivilwarに情報が集まっていて、最新の地図が見られます。
返信する
アルカイダ特区 (ブログ主)
2016-11-30 16:38:32
ローレライさん、

ありましたねぇ。いやしかし、アルカイダ特区ってすごくいいネーミングですね。まさにそんな感じ。もう意味不明。
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