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ロマノフ家のプリンスからガーター勲章まで

2017-01-04 21:22:03 | 参考資料-大正

ロシアのロマノフ家のプリンス・ドミトリー・ロマノフが90歳で亡くなった。

90yo claimant to head Romanov family dies in Denmark
Published time: 1 Jan, 2017 18:14
Edited time: 2 Jan, 2017 12:52
https://www.rt.com/news/372446-imperial-russia-prince-dies/

それに対して、プーチン大統領があたたかい感謝の言葉を送っていた。

Condolences over the death of Prince Dimitri Romanov
http://en.kremlin.ru/events/president/news/53692

ドミトリー・ロマノフ氏は、ロマノフ家アソシエーションの筆頭の人で、プーチン曰く「彼は全人生を通じて途切れることのない精神的な絆を祖国との間に持」っていた人だそうで、その上で、ロマノフ帝室のレガシーと伝統を伝えるだけでなく、あわせてロシアの歴史と文化を広める活動を世界中でしていた、ということです。

ロシア連邦に対しても、孤児や退役軍人、障害を持った人たちに対する慈善活動を積極的に行っていた模様。

それだけでなく、私はこのロマノフ家の団体さんは、欧州政治の中ではやっぱり一定の役割をロシアのために果たしているんじゃないのかなと想像する。だって、欧州の政治って結局そういうハイソサエティが厳然と生きてるんだもの。で、一般人は彼らがネットワーク組んで何かやっていることを結果によってしかわからない、って感じね。

で、このロマノフ家のおじいさんは、私としては、クリミアがロシアに戻った時にクリミアに行って、よかったよかったと言っていたニュースを非常によく覚えている。そりゃ、ツァーのお家の人からしたら、これは慶事というより、ようやく正しくなったみたいな感じだろうな~とか思ったものだった。

クリミアをウクライナの管轄にしちゃったソ連時代のフルシチョフだって別にロシアから取り上げたわけじゃないですからね。同じソ連内で管轄する県を変えただけ。ところがソ連邦崩壊と共にウクライナが独立するとかいうもんだからクリミアがそこにくっついて行く成り行きになった。しかし、クリミアの住民は大反対でロシア帰属を訴えており、以降2014年まで一貫してロシア帰属を願っていた人が多数を占めていた。(NATO側は一生懸命工作してたんですが、ついに最後までNATOに入りたいとかいう自虐バカがクリミアで多数となることはなかった)

 

■ 20世紀の奇妙な「進歩」

帝政の人とかいうと、それだけで反感を持つ人も世の中にはいるんだろうけど、でも、帝政もあったしソ連もあったけどロシアはやっぱりロシアだった、というのは豊かな歴史というべきでいいんじゃないの、など私は思う。

でもって、帝政とか王政に反感を持つ人が、同様に、エリザベス女王とか日本の天皇にも反感を持つというのなら話の筋は通ってると思うけど、人によっては、「西側」のそれはOKだが、その他の王族は皆過去の遺物みたいな感じで受け止める人がいる。まぁ私たちは日本人なので微妙ではあるけど、でもこれは結局、単なる洗脳だと私は思いますね。

結局のところ過去200年ぐらい、とりわけ20世紀というのは、エリザベスさんのお家あたりを中心としたいくつかの王族がユダヤの錬金術とアングログループの世論誘導、洗脳工作、武装工作を利用して、その他の王族の政体をぶち壊して、領土を現地の買弁政治家に渡して片っ端から自分たちの収奪構造に入れていった、みたいな話じゃん、だって、とか思う。

世界中の領土をしっかり持った貴族のお家というのは、要するに、領主という立場である意味会社の社長みたいなポジでそれぞれ独自に経営をしていたようなものだとすると、20世紀になり、社会の進歩と共に社員の反乱にあって会社を追われた、みたいな恰好になっている、と。でも、特定のところだけが潰れて残っているところはあるわけで、そりゃどんな進歩だよと疑ってみるのも悪くはないでしょう。

で、しかしながら、欧州の貴族の場合は、最終的にはどうも、それぞれの会社やその他の会社の見えない株主、要するに投資家になっただけ、みたいな感じもする。もちろんその仲間に入れてもらえない国や地域の王族は、ただ収奪されて終わり。

 

■ ガーター勲章

そういうことを考え出すと、お前は反天皇なのかと言われそうだけど、全然逆です。しかし今の体制では長持ちしないとかなり真面目に思ってます。それは別に女系がどうしたとかいう話ではないです。問題は、このままでは日本の歴史とはかけ離れた存在としての「天皇」になるんだろうな、ってところが気になってるわけです。

それはそれとして、天皇を抱くということは、日本国は日本国民が最終決定者となれないこともある、あるいはそうするにはあまりにもハードルがありすぎる、というのを一応了解しておいた方がいいと思うわけです。

その最高峰が、私はやっぱり明治、大正、昭和、平成の歴代天皇がイギリス王室からガーター勲章をもらっているという話だと思うんですよね。

で、これによって日本国のおおざっぱな方針は日本国民がどう考えるかに拘らず、日本国がどこにあるかに関係なく規定されてるんだろうなぁ、とそこはかとなく考えておくことは精神衛生上良いのではないかと思う。

世の中たくさんの勲章があるけど、ガーター勲章は14世紀から存在する、なんというか極めて政治的、極めて結社性の高い組織への入会の証みたいなものなので、ガーター勲章を受けるということは、sovereign(統治者、つまり現在のあの女王様)の下に入るということを意味するでしょう、どうしたって。

一応日本語のwiki ガーター勲章

基本的には、昔はイングランド、次がUK、さらにはその支部としてのコモンウェルス(英連邦)のために存在しているので、外国人でこの勲章を持らっている人は少ない。

これが一応歴代のフルリスト。君主だけでなく臣民の部もかなり興味深い。これを中心に歴史を考えることさえできそう。

List of Knights and Ladies of the Garter
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Knights_and_Ladies_of_the_Garter

 

外国人は王族限定みたいな感じで、ナポレオン3世とか、オトマンのスルタン、プロイセン王なんかが19世紀になるともらっているのが、この勲章の意味を示してるよなぁとか私なんかは思う。つまり、イギリスが欧州の東方戦略に入ってくる時に仲間を募っとるな、と。ペルシャもそうだったと思うし、ペルシャの場合はロマノフ朝ロシアとの競合という意味からこういう処遇が正当化されたんだったと思う。

その後、ロマノフ朝の後のニコライ2世とドイツのウィルヘルム2世という、ビクトリアの子孫グループが入ってくるので外国人が多くなってくるように見えるけど、でもみんな血縁者なので、このへんのハイソサエティ身分の人に外国人という認識がどのぐらいあるのか不明。

日本の場合は、明治天皇が1906年に日英同盟を理由にもらったとwikiに書いてあるけど、要するに日露戦争は騎士団にとって多大なメリットがありました、って話しですよね。

Emperor Meiji
https://en.wikipedia.org/wiki/Emperor_Meiji

 明治天皇の項には、ガーター勲章授与の際の絵が出てる。

大正天皇の項には、正装姿の大正天皇の写真がある。

 

現在の外国の騎士&レディー

  1. ルクセンブルク大公
  2. デンマーク女王 (ビクトリアの血統)
  3. スウェーデン王(ビクトリア血統)
  4. スペイン王(ビクトリア血統)
  5. オランダ女王(ビクトリア血統)
  6. 日本の天皇
  7. ノルウェー王(ビクトリア血統)
だそうです。(順番は授与された順番)
 
 
■ アメリカ人ならひっくり返りそう
 
ふと、あらためて歴代のガーター勲章をもらった騎士のリストを見て思ったのは、ざっと見ただけだけど、多分、アメリカ人はいない。今に至るまで。英のグループじゃない、ってことなんだろうなぁとあらためてここにある分岐を思う。
 
単純に、イギリス人でアメリカ工作をするためにアメリカに住んでた、二重国籍だとかの人はいたかもしれないけど、アメリカ人は正式にはもらわないでしょう。そういえばしばらく前、サーの称号はダメだと騒いでいたことがあったような気もする。
 
この件で、私がアメリカに住んでいる頃アメリカ人の大人が言っていた印象深い一言は、
 
私たちは外国の君主からタイトルをもらうことはできません、なぜなら私たちは彼らのsubjectではないですから
 
だった。
subjectは、一般に日本で「臣民」と訳されるそれ。要するに従属する、下に立つ人ですね。
 
多分これを小さい時から地道に家庭で教えてきたんだと思うんだ。教育機関で教えずとも。
 
というわけで、20世紀の局地的進歩の影で、実のところずっと庶民のあずかり知らないOrder(秩序)があるわけで、これって今後どうなるのと思わずにはいられない。
 
 
■ 参考記事
 
 

 

シベリア出兵 - 近代日本の忘れられた七年戦争 (中公新書)
麻田 雅文
中央公論新社

 

応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書)
呉座 勇一
中央公論新社

 


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6 コメント

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天皇徳仁氏その2 (名無しの在日)
2022-09-17 22:59:52
上のコメントの投稿日から2年8ヵ月ほどですが…。
天皇夫妻が今日、エリザベス女王の葬儀に出席するため、ようやく訪英にこぎ着けたようですね。

行ったからには、ガーター騎士団加入は確実だろうと私などは思っているのですが、今のところ日本の主だった報道でその件に言及したものはまだ目にしていません。

さすがに、「タブー」として一切が秘匿されるなんてことはないでしょうけど(単に『UKの最高勲章授与』程度には報じられるかと)、どういう扱いで紹介されるかは気になりますね。
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天皇徳仁氏 (名無しの在日)
2020-01-15 13:45:24
昨日のニュースで、徳仁天皇夫妻が即位後、初の外遊に出る旨報じられていましたが、やはりというか、その行く先はUKとのこと。

皇太子時代にオックスフォードに留学もしていた彼ですから、英エスタブリッシュメントとの関係は個人的にも良好でしょう。そしておそらくは、このたびの訪英で晴れて「女王陛下の騎士」となるのでしょうね。

本来的な意味での皇室と日本人にとっては、誠に無残なことであるとは思いますが。
返信する
お楽しみくださいませ (ブログ主)
2017-01-05 17:17:27
simpleさん、はじめまして

ポチッとは、私のブログの位置はどうでもいいんですが、あのランキングの上位の固定ぐあいが恐ろしいとしばしば思ってます。

工作の成果なんだろうけど、この人たちいつまでやるんだろう、どうやって退潮していくんだろうとか、そっちの方に興味を持ってしまいます。
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アングロ・シオニスト (ブログ主)
2017-01-05 17:14:34
ローレライさん、どうも

いやアメリカ人はこれをブリッツ、または帝国主義者の策謀と考えてるでしょう。
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面白い (simple)
2017-01-05 10:49:17
こんにちは、初めまして、最近読んでいます、いつも面白いのでボタンをポチッと押しています。論説に同期する所ばかりですから、ただ押しても押しても、順位が上がらず
上がっても戻るのがとても残念です。これからも読ましていただきます。トッド氏の人口歴史学と西欧ロシアの第一次大戦前後の地政学論説がとても秀逸でしたよ。では。
返信する
『王様の一本釣り』 (ローレライ)
2017-01-05 09:08:17
『国連に加盟』するつもりで『ガーター騎士団入り』しても『王様の一本釣り』で『裏切り者ユダ募集』なのだとアメリカ人は考える。
返信する

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