安倍ちゃんがアメリカに行くとかいうので、なにかこうとても心が暗い私。これがつまり過去10年ぐらいの反中、嫌韓、そして過去150年の反ロシアの結果なんだろうかなぁなど思うのだった。
そんな中、まったく異なる世界であるかのように、ロシアのプーチンは、絵画展を楽しんでいた。
バチカンのピナコテーカ絵画館所蔵の12世紀から18世紀の絵画がモスクワのトレチャコフ美術館で展示されているそう。
これは折からの西ローマ教会とモスクワ司教との和解問題を記念してバチカンがお宝を貸したということなんでしょうかね。
正教会&カトリック教会
同時に、同美術館では「ビザンチンの傑作」展も開かれているらしくて、こっちは、展示物がどこからなのかは不明ながら、ロシアとギリシャ間の文化交流の一環だそう。
このギリシャとロシアの文化交流の話は、去年の
プーチン、アトス山訪問
とも繋がる息の長い話。
ここで私はこんなことを書いていた。
だって、そうなんですよ、よく考えれば、現状は正教徒にとって100年ぶりに保護者が復活している、なんですよね。どこあろうそれはロシアのことですよ、もちろん。
ロマノフ朝はずっと正教徒の保護者を任じていたのに、ソ連は宗教ご法度にしてしまった。そこで、正教徒たちは確かにコンスタンチノープルに総主教の座はあったわけだけど、場所によっては周囲を敵に囲まれたも同然だったのだなぁとあらためて思った。
敵というとそれはイスラムかと思う人が多いだろうけど、いいやそれが違うってのが現代のというか中世以来連綿と続くある種の公然の秘密のような気もする。正教徒をこの世でもっとも憎んでいるのはカトリックでしょう、だって。カトリックはなんとかして正教徒の陣地をわが物にせんとあくなき東方攻撃をかけた、または、かけ続けている。
いやほんと、あっという間に正教世界のプレゼンスが増したなぁと感心するやら驚くやら。
ロシア勢にすれば、the Westとかいう政治概念を振り回したいやつはいつまでもやってろよ、って感じでしょうかね。俺らは正教世界の再整備に忙しい、と。何度も書いてますが、コンスタンチノープル、アンチオキア(シリア)、アレキサンドリア(エジプト)、エルサレム、ってのが彼らにとっての重要拠点で、ここ最近どうしたことかこの拠点にみんなロシアがタッチしている。
で、歴史的な流れでいえばこの先は地中海に影響が及ぶはず。いや、別にこうならなくていいんだけど(笑)。
■ 革命:ロシア芸術1917~1932年
一方ではロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで、「Revolution: Russian Art 1917–1932」(革命:ロシア芸術1917~1932年)という展示が行われている模様。
ロシア革命から100年を記念して芸術作品を通してみた革命の日々ということらしい。
https://www.royalacademy.org.uk/
ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツのこのサイトを開けると、オープニングが出てくる。凝っててとってもカッコいい。
■ 1917LIVE
また、2017年1月1日からは、twitter上でロシア革命の時事が流れている。
つまり、2月1日なら、その日に誰がどんなことを言ったとか動いたとか記録にあるでしょ。あれを、大変だ、イギリス大使館がドイツにこれこれを宣言した、とか、ペテルブルグの街頭では食料不足が懸念されている、とか、ニコライ2世は回りの者みんなを信じられなくなっている、とかとかを、各人、各機関のアカウントで報じあっている。
ハッシュタグは、#1917LIVE
このへんのアカウントから入るのが良いかしら。Russian Telegraphだそうです。
毎日の動きもなるほど~とか思ってなかなか面白いけど、写真や動画がたくさんあることも非常に良い。こんな顔なのかぁとか、こんな馬だったんだなとかいろいろわかってこれが非常に興味深い。
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トルコの行く末ですが、そんなこと私に聞かれても、ってところですが(あはは)、コスモポリタンな東西の融合地帯ってところじゃないんでしょうかね。そう考えれば別にロシアから見て敵対する必要はないでしょう。ドゥーギン説は条件があると思います(NATOとか西側による中央アジア侵略構想とかを前提として、ということ)。
あと、オスマンとカラー革命ですが革命というほど短いスパンに起こったものではないのでそれは当たらないのでは? むしろ、ピョートル大帝以降のロシアの方が西側による革命くさいところがあるぐらい。このあたりは、革命されてもされてもロシアでい続けるロシアの方が異常といえば異常で、それが故に面白いという感じ。
さらに、海洋勢とお書きになっているところはおそらくベネチアンのお話かと思ったりします。ここの解明は必要でしょうね。このあたりは興味深いので私もまた考えたいと思います。
博学なブログ主さんに質問なのですが、今後米英が覇権を失いその多くの部分をロシアや中国が継承するならば、トルコの位置づけはどうなるのでしょうか?アレクサンドル・ドゥーギンは「地政学の基礎」で親イラン、反トルコの姿勢を明確にしています。ロシアとトルコは宿敵として戦争を繰り返してきた歴史があります。更に、ロシア文明のルーツであるビザンチン帝国を滅亡させたのがオスマントルコであり、トルコ国内で東方正教会は迫害されている一面もあります。
そもそも、モンゴル高原にルーツを持つトルコ民族が西方に移住したあと東ローマ帝国を滅亡させてオスマントルコという巨大な帝国を作った原動力がよくわかりません。オスマントルコという国そのものが海洋通商勢力の支援によるカラー革命だったのではないかという気がしています。ウマイヤ朝とイスラム教の急速な拡大、あるいはローマ帝国内部でのキリスト教の急速な普及による伝統的な多神教の消滅も同様にカラー革命だったのではないかと疑っています。だとすれば、カトリックも東方正教会もイスラムもカラー革命の残滓ということになる(無論内部で親海洋通商勢力派と反対派の対立はあるでしょう)のかもしれませんが。
日本はどうもこういう分野を上手くやれていないような気がします。
キリスト教の話は日本は非常にうっかりしたキリスト教史を習ってると思います。イギリス人とかアメリカ人が教えたんでしょうかね。
あと、ロシアは民族問題はいっぱいあったし今もありますよ。ウクライナだってそうですし。ただ、大まかにいえば、常に最後はロシアを愛する者はみんなロシア人だ!、みたいな枠が有効でそこに収斂させていくって感じだと思います。ソ連を愛する者はみんなソ連人だ、だったそうですし。
アスタナ会議で発表されたふしぎな「シリア憲法案」、あれはクルドの指導者オジャランさんの主張そのままみたいだけど、ロシアという国の基本的な姿勢でもあるような気がします。多民族国家なのに民族紛争や民族問題がない国。悪魔の国どころか、ふしぎな国。
西側の文句ばっかり言ってもはじまらないですからね。世界観の構築がほんとの薬とよくご存じの古い帝国の方々って感じですね。やっぱり、カスピ海ディールは大きかった!!