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ウクライナに学ぶべきこと西部邁ゼミナール 2014年5月18日放送

2014-06-03 10:10:53 | 欧州情勢複雑怪奇

ウクライナに学ぶべきこと西部邁ゼミナール 2014年5月18日放送

【西部邁ゼミナール】国際社会における力 2014.05.18
http://www.nicovideo.jp/watch/sm23579156

西部邁先生、中野剛志先生による、ウクライナ問題についてのお話。これもまた今更だけど今日見たもんで。

■ (1)

プーチンのやっていることを「力の支配」だという論が流行っているけど、よく見れば力だけでなく法的形式を重視している。

最初の「謎の武装集団」を入れた際には、クーデーター政権には正統性はないという解釈の上で前の大統領だったヤヌコビッチ氏の要請によった、といい、クリミアの独立は住民投票により住民がロシア帰属を願ったという体裁を取っている。

西部先生:日本人はそれを単なる手続きだというけど、手続きの積み重ねがある種の正統性の重大な基準になるということを(ロシアは)知ってるからね。

法は解釈と運用。そしてここに力が関係してくる。

法があって裁判がある。裁判ではこの法を解釈すればこのように云々と、裁判そのものが法の解釈と運用の話なんだ。そこをわからずに、すべてが法によって律せられると発言するのは一体なんだよ。(法Aがあれば個別事情Bは自動的に決まるってなことばかりじゃないよ、という意味か)

それに対し中野氏、なぜ法と力が関係してくるかといえば、

権力、力というのは人間をたくさん動員することなわけですね。沢山の人が動けばそれが力になる。沢山の人を動かすには大義が必要だから。なぜ大義が必要かといえば人間というのは大義とか理想を抱く生き物だから、と考えたらいいんじゃないか、とおっしゃる。(つまり、氏は法というのを慣習的に是とされているもの、≒大義 と考えてらっしゃるということですかね)

■ (2)

西部氏。制裁、制裁と言われているけど、あれは別にどこかで、例えば国連で手続きを経てやっている話じゃなくて、アメリカが一方的にやっているだけの話。つまりそれは私的制裁、リンチだ、と。

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■私の感想

(1)

ロシア政府が理屈を立てて行動していることは私もその通りだと思った。そして、この理屈をUS&EUは効果的に反駁できていない

なぜなら、自分が先にクーデーターという民主主義的には違法な行動を惹起しているから。その後のロシア側の行動はこの不法行為に対する反応、場合によっては正当な防衛手段とさえいえる可能性だってある。

それに対し、それを阻止するためにUS&EUが何をやったかといえば、(a) ヤヌコビッチからの要請については無視、クリミア住民のロシア帰属意志はロシア政府が銃剣で脅したものだ、または手続きから見ても笑いものと嘲笑とかなんとかそういう感じ。

でも、クリミア住民の最低でも過半数はロシア系ですらなく、自らロシア人だとみなしている人たちだというのは過去20年間知られた事実だったわけで、銃剣云々こそアホな言い訳だと多くの人が知っている。特に欧州ではよく理解されている。

従って、US&EUは、実のところ住民自治の意志表示という民主主義にとっての基本的なアイデアを嘲笑しちゃった、とも言える。The West は自らの価値を毀損しているとあちこちで嘆かれている例の一つ。

また、ではなぜ日本をはじめ多くの国がこの「力による変更はまかりならぬ」を採択するのか。それは単純に、自らの法解釈を捨ててアメリカの解釈に依存しているからに過ぎない。これに対して、クリミアの住民の意志を尊重するとあえて申し述べたアフガニスタンのカルザイ大統領は、自主的に解釈した稀有な例だった、と。

(2)

制裁はリンチとは・・・・。実際その通りなんですよね。

でもって、アメリカ人でも一体全体アメリカは何の理由でロシアに制裁を課しているんだ、そんな権利どこにあるんだと疑問に思ってる人はいる。

でも、制裁を課して相手を弱らせるというのは、アメリカの外交方針の一つなんだよね。これをやられて、もはや戦うまで、となった大日本帝国の末裔としてはこの件をもう少し深刻に考えてもいいように思う。

制裁はしかし、誰も従わなくなれば無効化される。北朝鮮が1国で日本に制裁しても特に意味はないが、北朝鮮がその他150か国と共に日本を制裁したら効果が出る。

アメリカの場合はこれまでのところ1国でも十分に機能する。それは物品の問題じゃなくて、ドル決済の問題でしょう。ドル決済が不可能になる措置を回避するために従う。

ここからドル離れをしようという動機が生まれる。現状は代替通貨がない限りドルのライバルはいないんじゃないの、というところなので、制裁は依然有効だと一応言える。

が、しかし、例えば、極端なケースとして、ロシアとイランとカタールとイラクとサウジアラビアが結託して、資源取引の優先通貨は通貨Aにするとか、そこまで無理しないでも、人口の多い中国、インドがサウジアラビアとの取引はドル以外にします、とか、あるいは、このへんの量の多いところが現物取引を組み込むとかとかしはじめたら、笑ってはいられなくなると思う。

ということは、X時点においてドルの信認は著しく毀損する、という命題はあり得るというしかないんだなと最近ますます思う。

おバカな制裁をする→恨みを買う→ドル離れ誘発→制裁→恨みを買う→・・・の繰り返しで、ドル離れの誘因が消えない。また、ドル離れを動機として抱える人口が、そうでない人口よりも圧倒的に大きいこともこの誘因を支え続ける大きな基盤となるだろう。

そこで対応策として、それらの地域において、国情を混乱させる、解体する、といったいわゆる不安定化政策が取られている、と考えてみることもできるだろう。

しかし、これもまた、ドル離れの動機を強くする。宗教化による近代化の阻止、愚民化政策、武器移入による不安定化、終わりなき戦乱をどれだけ保てるかがドル覇権国の仕事・・・・。嫌すぎる(笑) 

みんなよりちょっと強い分、みんなの幸せを多少なりとも考えられる、そんな国になってほしかったな、アメリカ。つくづくそう思うよ。


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