地形で読みとく合戦史 (PHP新書) | |
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地形的特徴で分類しつつ、数々の合戦を寸描する、という本。
原の名前で呼ばれる合戦といえば関が原、三方ケ原、設楽が原・・・
川といえば、承久の乱、宇治川合戦、耳川、姉川・・・といった具合。
他には、橋、島、山、峠等々と続く。個人的には、峠の戦をまとめてもらって、いろいろ今までイメージできなかったものができるようになってうれしい。峠は難しい。いやどこでも難しいけど。
なかなか面白い思いつきで、暇なときにさらさら読むのにはもってこいという本です。なにせ文庫なのでいちいちの合戦の概要は詳しくはないですが、なるほどと思うぐらいまでにはなっている。
ちょっと難点かなと思ったのは、地図があまり良くない。ただ、だいたいのところは掴めるので読み物としての難点とはいえないですかね。
しかしこうやってみると、日本って本当に合戦好きな国民だとつくづく思う。欧州人の戦争好きもすごいけど、一国内でよくこれだけやってたものだと妙に感心する。こんだけ合戦やってればそりゃ明治で国を開けてまもなく、しっかり戦争のできる国になっていったのもわかるというもの、と改めて思わされる(悪いといっているのではまったくありません。為念)。
日露戦争のとき渡河が有名な局面があったけど、参加者(将校だけでなく)の脳裏にはやっぱり過去の合戦の様子なんかが浮かんだんじゃないのかなぁなど思った。というか、その前に渡河が名詞としてテクニカルタームとして存在しているのが凄いといえば凄い。
戦は気合でもあるけど、そこに行くまでが長いわけで、地理を読み、戦略をたて臨機応変に工夫をする、恐れないが恐れもする人々を養成する、すべてにわたって経験値というのは大事なもの。この本は歴史を知る一冊というべきか。