今日(9月8日)、最高裁判所への要請行動に参加しました。
今から5年半ほど前の2004年3月、板橋高校の卒業式に出席したFさんは、その時の行動で刑事起訴され、東京地裁では罰金20万円(求刑8ヶ月)、高裁で控訴棄却の判決を受けています。
Fさんは、教員最後の勤務校の板橋高校の卒業式に来賓として参加し、式開始時刻17分前に、互いに話を交わしている保護者にコピーを配布し、「できたらご着席下さい」と発言したにすぎないのですが、この一連の行動が「威力業務妨害」に当たるとされ、家宅捜査・警察での事情聴取の後起訴されました。東京地裁での裁判では求刑8ヶ月、罰金20万円を科すとの判決が下りました。
この卒業式当時マーちゃんは板橋高校で嘱託として勤務していました。ただ事情があり卒業式には参加出来ませんでしたが、式終了後多くの先生からは「近年にない素晴らしい卒業式だった」との話をお聞きしました。卒業生からの「感動しました」との感想に接する一方、式の前のささやかな行動でもあるので、まさか刑事事件として起訴されるなどとは想いもよらない事でした。
起訴された後も何度か地裁に傍聴に行きました。検察側求刑が禁固8ヶ月と聞いて、「そんな事が許されるはずが無い」「審理を尽くせば無罪判決になるはず」と信じていましたが、地裁判決は20万円の罰金刑。驚くべき判決が下されました。
控訴した高裁での判決は「控訴棄却」。判決文は語ります。「校長・教頭が校長室を出たのは9時40分」「教頭は9時39分44秒には式場の体育館に到着したと認定し差し支えない。到着後教頭は被告人(Fさんの事)のコピー配布を制止し・・・」とあります。9時40分に校長室を出た人間が9時39分44秒に体育館に到着したとの内容なのです。
更に次のような矛盾点も見られます。当然の事ながら「保護者に起立・斉唱の義務は無い」と述べていますが「Fさんの発言は、保護者に起立・斉唱させる校長の権利を侵害した」として「妨害の要素」に当たり、「威力業務妨害」罪が成立しているとの論理を展開しています。
保護者には無い義務を、校長には存在する権利として、その校長の権利が侵害された事が「威力妨害」に当たるから有罪というわけです。
まだまだ多くの矛盾点に満ちた高裁判決文ですが、Fさんは直ちに最高裁に上告。「上告趣意書」提出から早や7ヶ月が経過しているにもかかわらす未だ、何がどうなっているのか一切不明。最高裁が実質審理を行う事は稀なのです。一回の審理も開かれない事が当たり前になっているのです。教えて頂いた話では「最高裁」には検察官・弁護団の席はあっても「被告席」はないそうです。では審理があったときはどうするのか。「被告」は「傍聴席」に座らせられるそうです。「法廷に被告人席を用意する事を請求します」との発言も拒否されたそうです。
最高裁が一度も審理をせずに「上告棄却」されることを恐れるFさんと「F先生を応援する会」は「審理を開く」要請行動を続け今回が3回目。集合場所の「国立劇場」前には30人もの人々が駆けつけました。ただ入場は17名に制限されています。以前に入場した方以外の方を優先してくださり、マーちゃんも入場できました。一室に案内され事務官に対し48分ほどの要請です。マーちゃんは、この卒業式が「感動に満ちたものとの話を何度も聞かされました。そのことを裁判官に是非伝えてください」と語りましたが、今日的事情を踏まえたお二方の発言が印象に残りました「政権が交代し、国民は官僚制からの脱却を求めている事が明白になりました。その風は当然裁判所にも及ぶもの。より開かれた最高裁であって欲しい」との。
初めて最高裁の建物を見て吃驚しました。まるで”要塞”なのです。国民の声を無視するかの様に閉ざされた裁判所の象徴の様でした。
(最高裁玄関)
(玄関脇)