4日前の朝日新聞朝刊1面に載ったタイトルには「密約文書ない」認めず、とありました。3月22日のブログに書いた「沖縄返還」に登場する「日本側400万ドル肩代わりに関する」密約文書です。
少しくどいと思いますが、より正確に書けば「沖縄返還に伴い、本来米側が負担すべき沖縄の現状回復補償費400万ドルを日本側が肩代わりする」との内容の秘密文書です。この文書を含む数点の文書を、当時外務事務官だつた女性と”密かに情を通じ、そそのかし”て文書を入手したとし、元毎日新聞記者西山太吉さんには、懲役4月執行猶予1年の有罪判決が確定しています。
事件発生から38年、最高裁の判決が下されてから31年の今年、岡田克也外務大臣が設けた密約調査の有識者委員会は、秘密合意を「広義の密約」と認定していました。本来裁かれるべきはこの密約に関わった人物や国家機関であるべきだった事が明白になりました。一方最高裁上告棄却を言い渡され有罪とされた西山さんは、自身も含めて25人の原告団を結成し、2008年に情報公開請求をし、外務省等が「存在しない」を理由に開示しなかったため、2009年に東京地裁に提訴していました。
その判決が出ました。密約の存在を認めた上で、国が文書の不存在を理由に開示しなかった処分を取り消し、開示を命じる判決です。国民の「知る権利」をないがしろにする外務省の対応は不誠実。原告1人当たり10万円の国家賠償も命じたと記事にありました。原告側の大勝利です。
最初の裁判で争われるべきは「国民の知る権利」だったはず。それが男女の私的問題にすり替えられてしまいました。漸くにして「知る権利」とまともに向き合った判決が出たと思います。
行政書士受験の試験科目として「情報公開法」を学んだ身として「文書が存在しなければ不開示」と思い込んでいましたが、「文書が存在しない」ことを理由に行政機関が不開示とした処分を取り消すとの判決、嬉しい反面吃驚し不明を恥じています。
「密約ー外務省機密漏洩事件」の著者で原告の一人澤地久枝さんのコメントを読み、この著作読んでいなかっ様な気がしてオンライン予約しました。
(付記 4月10日の「天地明察」での遺題の答えは 15/7cmです)