11月22日(火)の昨日、東京国立博物館へ「法然と親鸞 ゆかりの名宝展」を観に出掛けました。今年が丁度、法然上人八百回忌・親鸞上人七百五十回忌にあたり、”鎌倉の巨星ふたつ、800年ぶりの再会”とのサブタイトルもあり、一大イベントの開催です。
実は10月28日(金)に駒込地域活動センターで「法然と親鸞 ゆかりの名宝展に寄せて」と題する講演会が実施され、このときの講師はNHK日曜美術館にも登場していた、博物館学芸員高橋祐次さん。その時の話は、専門的な内容でありながら分かりやすい話で、2時間に及びました。二河白道図に触れた内容が特に印象に残りました。この文京区主催のイベントには無料招待券のオマケが付いていました。
そこで11月11日まで有効の年間パスポートを購入していた私は、第1回目を11月10日(木)にパスポートで入場し、展示内容が変わって初日の昨日の2回目にはオマケでの入場です。どちらの日にも9時10分には列に並び、順番を数えると17・8番目でした。
展示構成は次の4章から構成されています。
第1章 人と思想
第2章 伝記絵にみる生涯
第3章 法然と親鸞をめぐる人々
第4章 信仰の広がり
1回目の鑑賞では、周辺知識に乏しい私は、書かれている事を丁寧に読み進み周辺知識の吸収に努めました。
世が混迷した平安末期。それまでの仏教の教えでは「功徳を積んだもののみが来世での往生が叶う」のでした。それでは、財を持たぬ民衆が救われる道がありません。そこへ法然が現れ「念仏をとなえれば誰もが救われる」と説きました。専修念仏の教えです。この教えが既存の仏教教団の反発を招き、法然は四国へ、法然の下で教えを学んでいた弟子の親鸞は越後に流されました。
第2章の伝記絵がこの間の事情を物語絵巻にして、面白く、興味深く鑑賞出来るように工夫されていました。 展示は国宝「法然上人行状絵図」や「阿弥陀二十五菩薩来迎図」(早来迎)などの絵画、重要文化財「阿弥陀如来立像」や「阿弥陀三尊坐像」などの仏像、国宝「教行信証」や重要文化財「選択本願念仏集」「嘆異抄」などの書など190点の多くに及びますが、第1回目の鑑賞で特に印象に残ったのが「二河白道図」と「早来迎」です。(写真:阿弥陀二十五菩薩来迎図=早来迎)
どちらの図も、識字の弱かった当時の民衆に分かりやすく教えを説いたものでしょうが、「早来迎」が念仏を唱えればただそれだけで阿弥陀様がすぐやって来るよと説いているかに見える図に対し、「二河白道図」は、上手く道を渡らねば地獄に堕ちますよと説くかに見える図。仏心が分からず、教えを学んでもいない私には、その両図を整合的に理解できませんでした。
第2回目では、余り理屈に捉われず、国宝「鏡御影」と「山越阿弥陀図」の二つを中心にじっくり拝ませてもらう鑑賞を心掛けました。(この項 その2に続く)