マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

再びの百名山(槍ヶ岳 その2)

2013年08月07日 | 再びの百名山

 西岳ヒュッテから槍ヶ岳に至るには、まず水俣乗越まで、標高差250メートルを下り、そこから750メートルを登り返さなければならない。その下りは、クサリ場やガレ場が切れ目なく続き、梯子も掛けられている。昨年、山小屋の方から「この下りで滑落事故が起きている。原因は、片手にストックを持って梯子を下りたから」と聞いていたので、私は出発前からストックはリュックに仕舞い、岩場や梯子では両手を使い、しっかり三点確保しながら慎重に下って行った。(写真:東鎌尾根から望む槍ヶ岳。まだ遥彼方にある)




 かなり下ったところの梯子は真新しく、高さ10数メートルほどの垂直に落ちる梯子だった。下を覗けば恐怖心が強くなる。腹側を梯子にピッタリと着け、40数段もの鉄製の梯子を、一歩一歩丁寧に下った。昨年はこの様なものは無かったはず。下り切って梯子を見上げると、今年新たに作られたものだと分かる。廃墟となった旧梯子もやや遠くに見られた。梯子は怖いと感じる部分もあるが、実は登り下りを楽にしてくれる。水俣乗越まで、昨年は90分も掛ったところを、今年は何と50分で到着。
 水俣乗越で第1回目の休息。菅原さんは足の痛み全く無いとのこと。私もそこから始まる急な上りを見て、登山意欲が増した。行く手左手側が槍沢、右手側が千丈沢の、いずれも切り込み深い渓谷だ。その両沢の間の細い尾根が東鎌尾根。その尾根は、岩場とガレ場とクサリ場の連続だが、梯子や階段がしっかりと、数多く設置されていて、意外と登り易い。登りに入ってからの方が滑落の心配は薄れ、行く手前方に槍ヶ岳を見ながらの、高揚感溢れる登山。眼下に高山植物を見る余裕さえ生まれ、心地よい縦走となった。昨年とは全く違う心境であった。(写真は燕岳付近のガレバに咲くコマクサの群落

 西岳ヒュッテから、その日の宿泊の山小屋「ヒュッテ大槍」まで、コースタイム通り3時間10分で到着。ここに荷を置き、サブザックを借りて槍ヶ岳へと向かった。槍ヶ岳(標高3180m)では上りと下りではルートが違う。そのルートも凄いラッシュで、頂上まで30分のところ50分も掛り、12時過ぎ無事登頂。絶快晴だった天候も、穂高方面は霧に隠れ、360度の眺望は得られなかったが、記念撮影などして、10分に満たない滞在時間で下山開始。(写真:山頂にて)



   (見えにくいが、山頂も下山ルートも人の鈴なり)

 宿泊した、小さい山小屋ヒュッテ大槍を絶賛しておきたい。
 ①夕食に白ワインが、無料で出された。
 ②ホイル焼き肉料理が出されるなど料理はすべて手作り。
 ③Wi-Fiが使え、インターネット可能だった。私は自分宛てのメールを読んだ。
 ④500円でドリンクバーが当日のみならず、翌日も利用出来、コーヒー・ココア5杯も飲んだ。
 ⑤そこは槍ヶ岳の絶好の展望台
 ⑥メインルートから外れる為、宿泊に余裕があり、最大6人詰め込まれる部屋に4人で就寝。
 ⑦他の山小屋の宿泊料金が9500円のところ、ここは9200円 
 ⑧サブザック無料貸し出し。
 ⑨「〆張鶴」は無かったが清酒「久保田千寿」が用意されていて、2杯も呑んでしまった。
 かくして心地よい気分での睡眠を得て、翌朝5時50分、上高地目指し下りを開始した。(写真:ヒュッテ大槍から見る槍ヶ岳)


       (突然湧き出した雲と、槍)

 以前は、北穂高大キレットや不帰の峰キレットなど、東鎌尾根より難易度の高い稜線縦走で滑落のことなど余り考えもしなかったが、この頃は老齢故か、行く前から滑落の不安を感じている。今回もそうであったが、無事登り終え、ホットしている。菅原さんにとっても私にとっても大満足の山旅であった。