マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

「ー富士を超えたー」北斎

2017年10月25日 | 映画・美術・芝居・落語

 10月18日(水)、「愛知県立図書館」から「あべのハルカス美術館」へと向かったが、見知らぬ土地への旅は遠く感じられた。名古屋を経由し、新大阪で新幹線から東海道線に乗り換え大阪へ。そこからは環状線内回りで天王寺へ。美術館は駅前ビルの「あべのハルカス」16階にあった。平日にも関わらず美術館前には物凄い行列。「入館には30分待ち」と書かれていた。入場券購入の列から並んだ人は入館まで1時間は待たされたそうな。今や世界的に有名となった北斎の人気は鰻上りと再認識した。
 あべのハルカス美術館と大英博物館との国際共同プロジェクトによる「北斎ー富士を超えてー」展の開催期間は10月6日~11月19日。大英博物館ではチケットが完売されたとか。多分、英国での展示とほぼ同一のものが展示されたのだろう。洋行帰りの展示会。
 展示作品は私たちが行った前期で170点あまり。大混雑の会場でこれらを全て丁寧に観るには3時間はかかっただろう。強行スケジュールなので、出品目録片手に、肉筆画を中心に、これはと思う作品を重点的に鑑賞した。観られて良かった!との3点のみを綴ることに。

 「The Great Wave」の名前の方がポピュラーになってしまった「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」、辛うじて観られた。版画は一番前で見たいのだが、その周りには大勢の人。それでも待つこと暫しで、辛うじて最前列へ。今まで何度かこの作品を観てきたが、この浮世絵の刷りが格別に上質なのだろうか、空の色の微妙な変化と質感が感じられた。波の一瞬を捉えた筆力を凄いと改めて思った。






 小布施の「北斎館」に置かれている上町自治会の屋台天井の「濤図」は、帰郷する前に阿倍野で途中下車していた。北斎館では下から見上げて観たのだが、ここではすぐ目の前に展示されていた。板に描かれた「男浪」と「女浪」の二図。波だけを特化して描いた、まさに「活きた波」だが、屋台にふさわしく装飾多岐なデザインになっている。小布施の豪商・高井鴻山に招かれたお礼に描いたもので、この時86歳だったとか。(写真は男浪図と女浪図)
   

 晩年の作と言われているのが「富士越龍図」。90歳で死した北斎の最晩年の作である。”冨士の北斎”の最終作が富士であったとは、出来すぎた「落ち」とも言える。そこから昇る龍が北斎に思えてくる。