1月6日(月)、「新春浅草歌舞伎」第2部を観てきた。今年も東京新聞募集の抽選に当たったのだった。
2013年から毎年の様に、新春の浅草歌舞伎を観てきた。今年は会場の「浅草公会堂」へ行くルートを変えてみた。まずは、都バス<上58>で上富士から上野松坂屋前へ。松坂屋で夕食用のお弁当を購入。その後、浅草方面へ通じるバス停に向かった。こちらの「上野松坂屋前」からは浅草方面を通るバス路線が3つある。「平井駅前」行きと「錦糸町駅前」行きなら浅草雷門下車。「南千住駅東口」行きなら浅草公園六区下車。どちらの下車駅からも会場まで徒歩7分くらいだ。一番先に来たバスに乗れば良いと待っていると「錦糸町駅前」行きが最初にやって来た。待ち時間は少ないし、御徒町からここまで僅か15分での到着。
観劇の前に新春の浅草をぶらついた。まずは新仲見世の「やげん掘り」で七味唐辛子を購入。浅草寺は相変わらずの賑わいで、新春故か日本人の着物姿が多いが、外国人の着物姿も目立った。 さてお目当ての歌舞伎は今年も若手が中心。第2部は『絵本太功記 尼ヶ崎閑居の場』と『仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場』の二本立て。「お年玉(年始ご挨拶)」は坂東巳之助だった。5年前の「独楽売」で巳之助ファンとなったのだが、張りのある、実に聴きやすい声だ。
『太功記』の主人公は武智光秀で、今年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』の明智光秀をモデルとしたお芝居。
ストーリーを簡単に。舞台は、光秀(中村歌昇)が主君を討ってしまったことを快く思わず、光秀の母皐月(中村梅花)が引きこもってしまった尼ヶ崎の庵室。そこへ光秀の息子十次郎(中村隼人)が許嫁の初菊(中村米吉)とやってきて、父を助ける為に初陣の許可を願い出る。初菊はこれを必死に止めるのだが、決心は変わらない十次郎。出陣の鎧を身に着けて現れた十次郎を見た皐月は十次郎の決心が固いことを悟り、初陣と祝言のふたつのお祝いを兼ねて二人に盃を交わさせる。結局十次郎は出陣し深手を負って戻って来て、嫁となった初菊に抱かれて息絶える。・・・この芝居まだまだ続くのだが、私には後半より前半の、武智家の苦悩を描いたこちらの場面がこの芝居の一番の見所と思える。(写真:表の看板「絵本太功記」)
初菊役の米吉がいい。十次郎の初陣を思い留まらせたい初菊の一途の思いが切々と伝わってきた。
些か残念だったのは、美形の梅丸の姿が今年の「浅草歌舞伎」には見られなかったこと。梅玉の養子となり中村莟玉(かんぎょく)と改名した。彼はここから飛び立ったのかも知れない。梅玉との出演の方に重点が移るのだろうか。(写真は左:やげん堀、右:浅草寺)