新型コロナウイルス感染に関する報道を見過ぎているかもしれない。東京に住んでいる身としては「医療崩壊」や「爆発的感染」が身近に迫ってきているような予感がして怖いなと思うこの数日、素晴らしいニュースが飛び込んで来た。
京都大数理解析研究所の望月新一教授(51)による、数学の超難問「ABC予想」の証明に関する報せだ。京都大学は3日、数学の未解決難問「ABC予想」を証明したとする望月新一教授の論文が専門誌に掲載されると発表した。
私は「ABC予想」なるものが存在していることは知っていたが、不勉強故その内容は知らなかった。それが4日の新聞には「予想」のおおよその説明が添えられていたので「予想」が何たるかを知った。新聞を読まれご存知の方も多いと思うが、数学を学び教えたことのある者としては、自分なりの解釈・説明を綴っておきたい。
(1)二つの整数A・Bと、その和C=A+Bを考える。この時A、B、Cの条件として共通の約数は無いものとする。例えばA=2、B=5、C=7は条件を満たしていて〇で、A=3、B=6、C=9は共通の約数3を持つので✕
(2) (1)の条件を満たすA、B、Cについて、そのA、B、Cから
異なる素数を取り出し、そのすべての積Dを計算する。
A=2、B=5、C=7の場合、
D=②×⑤×⑦=70 である。(素数には強調する意味で〇印
を付けた)
(3) DとCを比較するとD=70>7=Cである。
(4)上の様にDとCを比較すると、殆ど多くの場合D>Cで、例外的にD<Cとなる。「稀にD<Cとなる」が「ABC予想」である。
(5)幾つかの例を調べてみる。
A=11、B=25、C=36 の場合、
A=⑪、B=⑤×⑤、C=②×②×③×③だから
D=⑪×⑤×②×③=330 でD=330>36=C となる。
(B=⑤×⑤であるが、Bからは素数⑤を1つとる。
C=②×②×③×③だから、Cからは②と③の2つをとる)
(6)「D<C」となる具体例は?
A=1、B=8、C=9 の場合で
A=1、B=8=②×②×②、C=9=③×③ で D=②×③=6
で、 D<Cとなる。(1は素数ではないので、D=②×③=6の
計算の中には登場させていない。)
この論文646ページからなるそうで、難解さから論文の内容チェックに8年もかかったとか。漸く、その正しさが認められたらしい。しかし、証明になっていないとする数学者もいるらしく、今後の行方を見守りたい。