パソコンで出来ていたことが「HUAWEI」のタブレットで色々代替できることが分かってきた。そのなかでも特に、長文のメール文やブログ原稿の作成に音声入力が威力を発揮している。今日のこのブログも音声入力に頼って書き始めた。 藤井四段の快進撃が続いている。新聞などでご存知の方も多いだろうが、一昨日行われた「朝日杯将棋オープン戦本戦」では強敵澤田六段に、後手で54手の短手数で圧勝した。続いて行われた佐藤天彦名人との対戦では、名人得意の”横歩取り”に対して、自身初めて”横歩取り”戦法を経験し、121手の長手数になったが圧勝。タイトルホルダーに対して初めての勝利だった。その結果、準決勝では羽生永世七冠との”夢の対決”が実現する。2月17日(土)の「有楽町朝日ホール」に私も入場したいと考えているが果たして実現するか?(写真:藤井4段勝利の局面)
勝率部門でも永瀬七段を抜いて再びトップに立ち、連勝記録、対局数、勝数の四つ部門でのすべてでトップに立った。
私が驚いたのはそのことだけではない。朝日新聞デジタル版元旦の「藤井聡太四段、経済学者と対談 ツェルメロの定理議論」と題する記事だ。その時の彼の話から数学的能力の高さも感じた。今日はそのことを中心に記したい。
対談相手は、駆け引きを伴うゲームをモデルに、社会の事象を解き明かす経済学者の、大阪大の安田洋祐准教授。(写真:対談する二人)
安田氏は藤井四段が将棋を好きになった理由を尋ねたり、ゲームの話題に触れた後、いきなり二人でのゲームを提案した。
安田 ・・・ではここで、1対1で数字を数え上げるゲームをしてみましょう。「1から順番に数字を数え上げる」「一度に三つまで数えることができる」「ある数字を数えた方が負け」というルールです。今回は、「21を数えたら負け」という設定にします。まず、1。
藤井 2、3。
安田 4。
藤井 (5秒ほど考えてから)5。
安田 6、7、8。
藤井 あっ、そうか……。これは多分負けです。
安田 なぜ、気づいたのですか。
[ここから先を読むにはデジタル版の読者会員にならねばならなかったが・・]
藤井 21が「4の倍数+1」になるからです。
安田 やっぱり、気づくのがとても速いですね。このゲーム、先手に必勝法があるのか、後手に必勝法があるのか、わかりますか。
藤井 後手必勝です。
安田 そうです。先手がどう数えても、後手は必ず4の倍数で、そして20で数え終えることができるからです。このように、有限の手数で終わりが来るゲームは、必ず先手必勝か後手必勝かが決まっています。これは、考えた学者の名前にちなんで「ツェルメロの定理」と言われています。将棋はとても複雑なゲームですが、同じようにどちらかが必勝になるはずです。 このゲームは「Not-21」と呼ばれるゲームだそうで、以下対談はまだまだ続くのだが、「先手必勝」や「後手必勝」など、私が興味を抱き続けて来たゲームの理論に係わる事柄なので、私流に話をまとめたい。
ゲームを始めて直ぐに藤井少年は自分が負けることを直感し、何故自分が負けるのかに気が付き、更にはこのゲームが「後手必勝」とまで言い切った。その判断の素早さと”数学的”理由付けに私は驚かされたのだ。
チェス・将棋・囲碁などのゲームでAIが人間に勝利した。しかし、それらのゲームで「先手必勝」とか「後手必勝」などの問題が解き明かされた訳ではない。全く別次元の話なのだ。その話題は「ツェルメロの定理」も含めて次回に。(写真:対談中の藤井聡太四段)