徒然なるままに…なんてね。

思いつくまま、気の向くままの備忘録。
ほとんど…小説…だったりも…します。

春の魔法

2007-03-28 16:20:00 | ひとりごと
 菜の花の芽の辺りをを軽く湯がいて豆腐との和え物を作る…。
別に作っておいた出汁をかけて頂く…。

ほんのり春の香りの一品…。

 見た目は白い豆腐が綺麗だけど…味ならゴマや黒ゴマの豆腐も負けていない…。
ただし…ちょっとグロテスク…色彩的に好き嫌いがあるかもしれない…。


 朧月夜という唱歌をご存知だろうか…?
この唱歌を聴くとdoveの脳裏には、霞む月に照らされた畑一面の菜の花が浮かんでくる…。
香りまで感じるくらいに…。

 子供の頃…オカンの田舎へ遊びに行くと、あちらこちらで菜の花を見かけたが、植えてある規模は小さくて、この歌のイメージには程遠いものだった…。
 それなのに、この歌を聴くと、何故か、まるで見たことでもあるかのように状景が浮かぶのだ…。
畑の中の道を歩いて行く人や…鐘の音までも…。

 あれは…doveがまだ学生の頃…。
仲間と連れ立って春スキーに出かけた…。

 冬にも同じスキー場へ行ったが…その頃は下の街や村の方も雪がいっぱい…。
白い雪の中に木々が点々と浮かぶ山を見て、友人のひとりがゆかりのおむすびのようだと笑った…。

 さすがに三月ともなると下界には雪がなく…何処もかしこも春真っ盛りで…上へ行っても本当に滑れるのかどうか…少しばかり不安だった…。

 あと少しで下の街に到着というところ…だったと思う…。
突然…目の前に一面の菜の花畑が現われた…。

目の覚めるような黄色の世界…。
温かい春の色…。

お日さまの色…。

 この時doveは生まれて初めて…こんなにたくさんの菜の花を直に見た…。
あの唱歌が頭を過ぎった…。
思わず歌いたくなったけど…恥かしいからやめた…。

車は何事もなく進み…やがて畑を通り過ぎた…。

ほんの一瞬のこの光景が…今でも忘れられない…。
スキーができるかどうかなんて不安…その瞬間には消えていた…。

 スキー場の下の方のコースにはタンポポなどの可憐な花がそこかしこに咲いていて…雪のゆの字も見当たらない…。
けれども…山頂付近の広々となだらかなコースには…まだ雪が残っていて十分に楽しむことができた…。
それも最高に爽快な気分で…。

 ひとつの山の上と下…ほんの短い距離の間に…春と冬が同時に存在する不思議な光景…瞬時にタイムスリップしたような…なんとも名状し難い体験だった…。

多分…菜の花畑を眼にしたその時から…doveは別世界に飛んでいたんだ…。
ほとんど貸し切り状態のご機嫌なゲレンデで…去り往く冬を満喫…。

春のくれた魔法に…感謝…。
楽しかったよ…。